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2/Feb/2026 update

演技だと思えば気も楽になる

「悪雪だと、アルペンターンで逃げちゃうんですよね」

そう言うゲストは、いったい僕に何を期待しているのだろう。
おそらくは、悪雪をものともせず、何事もなかったかのようにスイスイとテレマークターンで降りてくる――そんな“特殊な技法”の伝授なのだとも思う。

でも、正直に言えば、そこを確実に保証する技術などありはしない。

いつものように僕はこう返した。

「それ、テレマークを“演じてる”からだよ」

テレマークターンをしている、というより、テレマークターンを演じている
そう考えてみたらどうだろう、と。

悪雪という環境の中で、「このまま演じ続けるのは危ないな」という判断が働く。
その結果、より良い方法、より安全な方法を選んだ。
それがたまたまテレマークターンではなかった――ただ、それだけのことなのだろう。

そもそも、テレマークを始めた頃のことを思い出してほしい。
テレマークポジション、ずいぶん練習したでしょう?
形を作り、姿勢を真似て、「こう見えるはずだ」というイメージを身体に刷り込んだ。

それを「演じていた」と言われれば、確かにそうだったはずだ。

そして時間が経ち、その“演じること”に身体が馴染んできた。
意識せずとも、スッとテレマークターンに入っていける。
もう、普通にテレマークターンをしている。

「上達したなあ」

では、何が上達したのか。
それは――演じるスムーズさだ。

世間では、これを「テレマークターンが上手い」と呼ぶ。
けれど、ここで大事なポイントがある。

それは、スキーが上手いこととは、別のカテゴリーだということ。

テレマークを演じている、と気づいてしまえば、
案外あっさりと、その演技をやめることもできる。

BCでは、この判断がとても大事だ。
「テレマークターンができなかった」という事実を悔やむ回路は、正直いらない。
それよりも、安全を優先できた判断こそを、僕は評価したいし、褒めるべきだと思っている。

悪雪で、テレマークターンができなかった。

――よろしいんじゃないでしょうか。

それは失敗ではなく、
スキーという行為を、ちゃんと**“生きた判断”として扱えた証**なのだから。


そして読者は、もうお気づきのことかもしれない。
B-teleのカリキュラムには、初期段階からのその「演じるテレマークポジション」が存在しない。

一切なくて、
それでテレマークターンっぽく見える滑りとなる。
演じていないのに。

そこがまた厄介なとこなんだけど。。

僕はただ単純に、ヒールフリーであることの利点を抽出して
メソッドラインを作り上げた。つまりは物理で。

それが、僕のB-teleである。

もし
「悪雪だ」と断じる機会が、他の人より少ないとしたならば、
それは物理由来だからなのかもしれません。

反応と反射、もしくは型


スキーは反射のスポーツである、という言葉は正確だと思う。
ここで大事なのは、「反応」ではなく「反射」だ。

反応には順序がある。
雪面を見る。
状況を理解する。
どう動くかを決める。
そして身体を動かす。
この流れには、必ず時間が介在する。

反射には、その順序がない。
雪面が変わった瞬間に、
身体のどこかがすでに動いている。
判断は後から追いつくか、
あるいは最後まで現れない。

スキーでは、この差がそのまま結果になる。
斜面は待ってくれないし、
雪は毎瞬違う顔を見せる。
反応しようとすれば、
動きは必ず一拍遅れる。

多くの技術指導は「正しい動き」を教える。
だが正しい動きを再現しようとするほど、
身体は反応型になる。
頭の中にある動作を呼び出し、
それをなぞるからだ。

反射は再生ではない。
起きたことに対して、
身体が直接応じることだ。

反射が働いているとき、
身体はどこかで雪とつながっている。
強く踏みつけているわけではない。
離れているわけでもない。
ごく薄く、途切れない圧が、
足裏から全身に行き渡っている。

そのため、身体は固まりきらない。
関節は伸びすぎず、畳まれすぎず、
結果として全体はやや伸びた印象になる。
それは高さを作ろうとした姿勢ではなく、
反射が働ける余白が残った状態だ。

スキーの操作の多くは、
減速や流しといった微妙な調整でできている。
その加減を考えながら行うことはできない。
考え始めた瞬間に、
調整は遅れ、反応に変わる。

スキーが上達するというのは、
反射を速くすることではない。
反射が起き続ける状態を、
途切れさせないことだ。

そして不思議なことに、
反射でスキーができるようになると、
山で滑った記憶そのものが、
以前よりもずっと彩りを持ち始める。

あの斜面は急だった。
あそこは雪が重かった。
日陰に入った瞬間、板が変な反応をした。
そうした斜度や雪質の変化が、
輪郭をもって思い出されるようになる。

一方で、
練習してきた「型」を
斜面の上で表現することに躍起になっていると、
その山の記憶は驚くほど薄くなる。
何回ターンしたかは覚えていても、
斜面の輪郭どうだったかは残らない。

もちろん、満足の形は人それぞれだ。
どちらが正しい、という話ではない。
これ以上でも、以下でもない。

ただ、ヒールフリーなのだから、と思うことはある。
せっかくの可動域があるのなら、
その自由さを使って、
反射そのものを楽しめばいいのに、と。

リフトに揺られながら、
斜面の下で型を繰り返している人たちを眺めていると、
そんなことを、よく考えてしまう。

「あーテレマークしてますねー」で終わってしまう理由

毎年、シーズンインの数日間は近くのゲレンデをいくつか回る。
実際に滑るのはせいぜい一時間ほど。そしてリフトから眺めるこの時期の人たちは、やっぱり熱量が高いのか上手に見える。「あぁ、この人はきっと雪を待ちわびていたんだろうな」と思わせるような、上手なアルペンスキーヤーやスノーボーダーが多い。

そもそもゲレンデとは、マッチョな運動を歓迎するためにきれいに整えられた場所だ。
ビシッと圧雪され、スピードは安心して出せるし、急斜面のカービングだって好きなだけ試せる。リフトが何度でも運んでくれる。
だから、この場で「上手い人」とは、速さだったり、斜度への強さだったり、いわゆる“マッチョ基準”に寄り添える人たちのことになる。

そんな世界に、ふいにテレマークスキーヤーが滑り込んでくる。
破綻なく、それなりに、たしかに滑っている。けれど、不思議と「上手いなぁ」とは思わない。ただ「あぁ、テレマークをしている人だ」という感想だけが残る。そして、申し訳ないけれど、その人がこの先さらに上手くなる未来は、うっすらとすら見えない。

僕はTAJの指導員として20年ほど、毎年のように研修会に参加してきた。
それは同時に、テレマークスキーヤー(指導員)がある段階で成長を止めてしまうという、静かな“定点観測”でもあった。困らずにターンができるようになったあたりで、多くの人が伸びなくなる。道具を細くしたり太くしたり、形を変えてみても、到達点はせいぜい「テレマークの中では上手い」で止まる。

けれど、その原因はテレマークスキーそのものにあるわけではない。
滑っている“場所”、つまりゲレンデの価値観がそうさせているのだと。マッチョな運動を前提に最適化されたゲレンデで、同じ尺度で比べられれば、テレマークが不利になるのは当然なのだ。
もし、テレマークの本質が、ソフトタッチや静けさ、柔らかさといった、マッチョとは逆方向の美しさにあるのだとしたら──

その瞬間、上手さの物差しはまったく違うものになる。
ヒールフリースキーの答えは実はそこにあるのだと。
だからこそ、この道具は山でこそ輝く!
これが僕がアルペンスキーで山に入らず、ヒールフリーを選び続ける理由なの。

ゲレンデで上手なテレマーカーが見当たらないのは、テレマークが悪いのではない。
ただ、そこがゲレンデだからだ。マッチョな世界に合わせようとしても、天井は知れている。
──そんな、ちょっと切なくて、でもどこか腑に落ちるだろうお話でした。

テレマークはコスプレという見方

やはり「表現」と「物理」のところなのかしらねぇ……テレマークは。

さて、紫色のスパイダーマンのスーツを着てアルペンスキーをしている一団がいるとする。
「お! スパイダーマンがスキーしてる?! コスプレ? 写真写真?」なんて反応になる。別段、嫌じゃない。なんか楽しそうだし。でも寒くないのかしら? 下にヒートテックでも着こんでいるのかしら?? そっちのほうが心配だ。

そして――スキーの上手い・下手はさておき。なんたって“スパイダーマンであること”が第一義。
うん。僕はテレマークスキーも、どちらかというと同じステージに立っていると昔から思っている。

あの足を前後にして滑ろうとする姿。あれは「やろうとしてやっている運動」であり、これはもう“表現”と呼んで何の問題もない。
テレマークスキーという一つの表現。スタイル。いや、もはやテレマークスキーというコスプレだ。

「なんだ、コスプレか!?」
そう考えるとスッキリする人は案外多いのではなかろうか。

そこで、コスプレの定義を引用してみよう。
「アニメやゲームのキャラクターに扮し、そのキャラを演じること」。
なるほどね。スパイダーマン、バットマン、ガンダム、そしてジブリのキャラクター。

ではこの定義にテレマークスキーを当てはめてみると――
「テレマークスキーの道具を身につけ、テレマークターンを演じること」。
ぎゃっ! なんの瑕疵もない。そのまんまだ。

さらに言えば、この定義の本質に気づいているだろうか。
そう、コスプレと言うからには“アニメやゲームのキャラクター”、つまりは**「架空の存在」**を対象にしているわけだ。

……ん??
ということは、「テレマークはコスプレだ」という論の核心は実は、
「テレマークは架空だ!」
ということなのか?

はい、その通り。物理云々ではないのだよ。

だってワールドカップがそうじゃない?テレマーク姿勢が“演じられていなければ”ペナルティ。一旗門で一秒プラスだ(1/100 秒を争っているのに、なんとも大胆なルール!)。

つまり、テレマークとは――
**“演じるもの”**なのよ。

そうと割り切れば、いろんな風通しが良くなってくる。
スキースクールは「ターンの物理がどうこう」ではなく、“表現としてのやり方”を教えればいい。まあ、現状すでにそうなってるのかもしれないけど……「安定したテレマークポジション」、みたいなね。

また、バックカントリーに行くならちゃんとATスキーで行く。でも、ゲレンデやメローなところならテレマークがいいよね?テレマークターンを“演じやすい”斜度や環境をしっかりチョイスすればいい。
ん? これこそ現実じゃんね。

つまり、テレマークとはコスプレなのだ。スパイダーマンと同じ。
「一体全体、どうしたら手から糸が出るんだろう??」って物理のところが問題なんじゃない。大事なのは**“表現/スタイル”**なんですよ。

スキーが上手い/下手?
だからそこじゃない。そこじゃないのよ。

それがアルペンスキーを同時にしている人のテレマークスキー観、なのではなかろうか?
僕はそれを A-tele として区分してる。

P.S.1
この “コスプレ感” なんだけど、実は30年前の革靴時代より、プラブーツを経て今のNTNのほうがだいぶ強まってる気がするんだよね。
だって当時の道具だと、足を前後にするのって “物理の合理性あるかもな?” ってひとつの解っぽかった。

で、物理といえば B-teleね。こちらは30年前の道具から変わらない、ヒールフリーであることの優位性の証明。
同じ “物理” でも、手のひらから蜘蛛の糸をピュッと出す難易度に比べたら……まあ、かわいいもんだよね。

技術を磨くことと、エモさの調和

僕は技術を磨く。
ここで言う技術とは、好きか嫌いか、楽しいか楽しくないかとは無関係に、
ただ正確で再現可能な行動や知識のことを指す。
感情を排した精密さ。それが技術であり、その純粋さに価値がある。

一方で、人が深く心を動かされる瞬間がある。
それは技術の巧拙ではなく、環境や自然との調和の中で生まれる情動だ。
条件が整い、行動と周囲の力が絶妙に釣り合ったとき、
心は静かに震える。その感覚こそ、僕が「エモい」と呼ぶものだ。
そして、この感覚を体現するために設計したのが、僕のスキーレッスンだ。
そこでは、「磨く」という考えを独自のスタイルで具現化している。

まず室内でホワイトボードを前にして座学を行うことから始まる。
行動の方向性や哲学を共有し、どの関節をどう使うか、イラストや裸足の状態を通して具体的に学ぶ。
そして最も大切なことは、使う言葉を選び、それを明確に定義することだ。
自分の動作を他人に、言葉で正確に伝えることは実はかなり難しい。相手との定義上のズレがあるからだ。
もしそこが合致すれば、滑った後にビールでも飲みながら、自分の成果を言葉で報告したり、アドバイスを受けたりすることができる。アフタースキーは実に大事で、これもまたうちの特徴だろう。
繰り返す。自分の運動を言葉化できること、それこそが技術を磨くということなのだと僕は経験から信じている。

さて、磨かれた技術は、静かに、しかし確実にエモさへの道を開くだろう。
それは感情ではなく、精密さの中に宿る静かな力だ。
そしてその力が、自然や環境との調和を可能にし、
わずかな瞬間だけ現れる確かな情動を生む。

結局、人が求める「エモさ」とは、技術と調和の交差点にある。
感情のままに動くのではなく、磨かれた技術を通して初めて、
その静かな震えが心に届くのだ。
技術の磨き方の一例として、当スキースクールのスタイルをあげてみた。

ターンの“エモさ”と、必要十分の美学

スキーのターンには、言葉では説明しきれない魅力がある。
白い斜面に板を置き、重力に身をゆだねながら軌跡を描く──
この一連の動きには、どこか情緒的な余韻がある。
僕はそれを「エモい」と呼びたい。

エモさとは、自然の力と自分の身体が、ふとした瞬間に共鳴するあの感覚だ。
斜度、スピード、雪質、空気の温度。
そのすべてが自分のターンと釣り合った時、
ターンは単なる技術を超え、情動へと変わる。

しかし、ゲレンデにはしばしば“やりすぎたターン”がある。
斜度以上に深く回し込むカービング。
必要以上のエッジング。
自然の要求量を超えて、自分の技術だけをひけらかすような動き。
それはエモさというより、むしろ自己陶酔に近い。

日本語には「必要十分」という言葉がある。
また「足るを知る」という美意識もある。
スキーのターンにも、まさにこの感覚が生きている。
斜度に対して必要なだけ板を傾け、
雪質に合わせて十分なだけ圧をかける。
自然が求める量と、自分が返す量が等しくなる時、
ターンはもっとも美しく、もっとも安全で、そしてもっともエモくなる。

過剰なターンが生まれる背景には、
ゲレンデという人工環境があるのだろう。
管理された斜面は、自然のフィードバックを鈍らせる。
その結果、「深く回すほど上手い」「強く傾けるほど魅せられる」といった
スポーツ的価値観だけが増幅し、
調和よりも自己表現が先に立つ。

ところが、環境が山やバックカントリーへと変わると、
話はまったく違ってくる。
自然の声は急に大きく、鋭くなる。
斜度のわずかな変化が、雪質の細かな違いが、
スキーヤーの命を左右する。
そのとき必要なのは、派手な技術ではなく、
自然と自分の間にある“丁度いい交差点”を取る感覚だ。

エモさの核は、この調和にある。
調和を感じられる人は、滞りなく安全にも強い。
調和を無視し、自己陶酔に走る人は、自然の変化に脆い。

ターンの魅力は、結局ここに行き着く。
技術でも、自信でも、派手さでもない。
重力と雪と身体の対話が、瞬間的に合致したときにだけ生まれる、
ごく小さな、しかし確かな情動。

それが、僕の思う「エモさ」だ。

ライトスキーの紹介

さて…。
僕はスキー場のすぐ脇に住み、白馬/小谷が生活圏。そして何より、これまで30年間、スキーを仕事の中心に生きてきました。インストラクター歴も30年になります。そして実際は、ゲレンデよりもバックカントリーで楽しむことが多い――こんなスキーインストラクターは、実はかなり珍しい部類かもしれません。一般的に「スキーインストラクター」といえば、ゲレンデと共にある存在、と言い切ってよいでしょうから。

そんな私によくいただく質問があります。
「どうしてヒールフリーのテレマークを30年も続けているんですか?」
その答えが、案外みなさんを驚かせるのです。

答えはこうです。
「人が多いところが苦手なんですよね。普段から静かに生活しているもので…。ひとりで静かにいたい。ヒールフリーなら歩いて人のいないところへ行けるし、静かに自分だけで滑って帰ってこられる。そんな行動様式が好きなんです。まぁ、ゲレンデサイドに住んでる現状で言うのもどうかと思いますけどね(笑)」

そう、僕にとってヒールフリーの価値は、何より 「歩けること」 にあります。
質問者の多くは「テレマークポジションやテレマークターンの魅力」について、30年分の答えが返ってくると思っているでしょう。でも返ってくるのは、まさかの「着眼点そこ!?」という答え。つまり「どうしてテレマークなんですか?」という問いへの答えを、みなさん勝手に“ダウンヒルの魅力”や“ターン技術の話”に限定して期待しているわけです。

繰り返しますが、私がテレマークスキーを続けてこられた第一義は 「ヒールフリーであること」
理由はシンプルで、“歩ける”から。ここが本当に大事なのです。

当然、「歩きやすさ」を重視すれば、プラスチックブーツより革製ブーツに軍配が上がります。重いブーツや太いスキーより、軽快な道具の方が歩きには向いています。ダウンヒルは、必要十分な技術さえあればカバーできますしね。

よく使う道具でいえば、

  • BCクロカン

  • XPLORE

  • 75mm規格の柔らかな革製ブーツ+3ピン

いずれも滑走面にステップカットの入った軽いスキーと組み合わせます。これでさっと歩き出し、さっと滑って帰ってこられる。未明から朝にかけて空の色が変わる時間帯が大好きですし、夕暮れもまた格別。日中なら森の中を歩くことが多いですね。

こうした「気軽さ」と「軽快な道具立て」のセットを、私はまとめて “ライトスキー” と呼んでいます。現状では、前述の BCクロカン/XPLORE/3ピン がこれに相当します。私が大好きであり、最も得意とするヒールフリーの分野です。


■ スクールのメニュー

当スクールでは、ライトスキーのメニューを2つ用意しています。

● ライトスキー・ダウンヒル

ダウンヒルのテクニックに特化。

● ライトスキー・ハイキング

実際にバックカントリーへ歩いて行き、滑って帰ってくる体験型。

滑りを深めたい方には前者を、全体像を体験してみたい方には後者をおすすめしています。
レンタルも種類豊富に揃っていますので、お気軽にご活用ください。
レッスン・体験はスキースクールの枠内で 11月-7月の間 で承っております(活動はYouTube:telehiro でご覧いただけます)。


■ 「テレマークはライトスキーに入らないの?」という質問について

よくいただきますが、答えは 「入りません」
理由は単純で、テレマークスキーはもはや“ライト”ではなくなったからです。

そして、これは私の勝手な定義ではありますが、
「テレマークスキーはダウンヒルに向けて進化してきたもの」
と捉えています。

30年前、テレマークスキーは革靴に細長いスキーでした。
それが現在ではNTNへと進化しています。
「ヒールフリーだから歩ける」というスタートではなく、まず「ゲレンデでテレマークポジションやテレマークターンを楽しむもの」へと変わってきた、と私は感じています。

ダウンヒルを主眼に置いたテレマークには、当スクールでは 「B-tele」 というプログラムをご用意しています。ご希望の方には 「A-tele」 も。詳細はまた別ページで説明しますね。


長くなりましたが――
「ヒールフリースキーは歩くためにあるもの」。
これがライトスキーカテゴリーの基本線です。

そして当然ですが、ライトスキーから入ると、テレマークスキーを自然に好意的に捉えられるようになります。「なるほど、しっかりした道具だなぁ」と。一方で、いきなりテレマークスキーから始めてしまい、「踵が固定されていないから不安定だ…」という印象から入ってしまうのは、やはり不幸な出発点だなと感じています。

せっかくヒールフリーの世界に足を踏み入れるなら、
その“ヒールフリーであること”を、ぜひポジティブに!

ヒールフリーの世界と、看板を書き換えるということ

そーねぇーー…。最近つくづく思うのだけれど、僕自身がテレマークスキーをどう定義してきたのか、改めて振り返る機会が増えた。「ヒールフリーのジャンルの中で、ダウンヒルに向けて進化してきたもの。そして現在はNTNシステムに至る」。これが僕の定義だ。

ただ、ダウンヒルスキーというのは結局どうしても“マッチョ”な志向とならざるを得ない。パワー、スピード、競技、カーヴィング……そういった方向性に自然と向かってしまう。だからもし、僕の定義どおりにテレマークスキーがダウンヒルの方向へ進化したジャンルだとするならば、テレマークスキーは必然的にマッチョにならざるを得ない。

実際、YouTubeを見渡せば「一生懸命テレマークしている動画」が山ほどある。なるほど、さもありなん、である。

となると、これまで僕がテレマークスキーに“柔らかさ”“器用さ”“静けさ”といったものを特徴として語ってきた姿勢と、どう整合性を持たせるのか。ここらでいったん整理しなきゃいけないんだろうなぁ、と感じているのは、実はここ数年来の懸案なのでありますよ。


ゲレンデではマッチョ、BCではソフトタッチ

そんなわけで「テレマークスキースクール」という看板もどうなんだろうな?と。
僕自身、マッチョ気分を表現したい時にはゲレンデに出てアルペンスキーをする。朝イチの静かなゲレンデ、1時間ばかりを“ばびゅーーん!”と飛ばして気分爽快。アルペン最高〜〜。あー気持ちいい!!

一方で、人のいない静かな山の中、BCに入って行くときは、やはりヒールフリースキーなんだよね。テレマークのときもあれば、BCクロカン、XPLOREだったりもする。歩いている時間そのものを楽しむ時間だから、滑りで多少苦労しても、歩きやすいソフトブーツを選ぶことが多い。ま、滑るの上手だし(笑)。

そして「BCにおいてはマッチョはダメよ」と、僕はここに明確な線引きをしている。暴力はアウト。日本の冬の森、柔らかい雪……あの空気の中では、人は自然と優しく静かな気持ちになるとおもうんだけどな。。ヒールフリースキーによる静かでソフトタッチな操作こそがジャストフィット!テレマークもまた然りなんだよね。ただし、それは75mm規格までのハナシ。ブーツはT4まで。ここがソフトタッチを実現できる上限だと考える。


呼び方の問題と、看板のゆくえ

そこで問題は「呼び方」である。

本音を言えば、75mm規格を“テレマークスキー”、NTNを“マッチョテレマークスキー”なんて呼びたいところだが、さすがにふざけすぎか(笑)。マーケットを見る限り、すでにNTNこそが“テレマークスキー”であって、3ピンやT4は、通販サイトにおいてはXPLORE、BCクロカンと同じ“ノルディックツーリング”カテゴリーに入っている状況だ。

なるほど。もはや僕のまほろば倶楽部は「ノルディックツーリング・スキースクール」なのかもしれない。得意分野がそこなんだから。

30年掲げてきた“テレマークスキースクール”の看板を、そろそろ書き換える頃合いなのかもしれない。看板を下ろせば、“テレマークターンの呪い”からもスッパリ解放されるだろうしね。だって、僕が動画でやっている操作はテレマークターンなのか否か……テレマークインストラクター歴30年の僕が「否」と言って“B-tele”と呼んでいるくらいなのだから。

まずは「ノルディックまほろば倶楽部」か?
雪原の中にセンターハウスとか欲しくなるねぇ〜。White grass
いや、日本の地形を考えると、ダウンヒルは避けられない。そうなると「XCDまほろば倶楽部」の方が合うのかもしれないなぁ。ちょっと分かりにくいかもしれないけど(笑)。

そんなことをつらつら考えていると、なんだかちょっとワクワクしてくる。


B-tele:最初からB-teleをインストールしていただいたお客様から、「前後差」「前足」「後ろ足」「テレマークポジション」「荷重」「乗る」といったテレマークスキーメソッドには欠かせないワードは聞かれない。これは実験済み。だってそのようなアイディア無しに僕みたく滑れてるわけだから。。一方で、旧来のスキー操作(うちでA-teleと呼ぶ)とミックスしちゃったりすると盛大にこんがらがるみたい。なるよね。。

「B-tele」――ターン目線ではないスキー

スキーをフォールラインに対して横向きにして、雪面にエッジをこすりつけるように抵抗をかける。
これが、硬い雪面でのブレーキ操作。いわゆる「ズラす(skidding)」という動きです。

でも、雪が深いときはどうするか。
スキーを“潜らせて”抵抗をつくるんです。これが「潜らせる(digging)」。
実際の滑りでは、このズラしと潜らせるを、状況に応じて組み合わせて使います。

ここで、大事なポイントは三つ。

ひとつ目。ブレーキ操作は山側のスキー、つまり内足一本で行う。
谷側のスキーはあくまで補助、あるいは別の目的で使います。

ふたつ目。山側の脚の関節の使い方です。
伸ばすとブレーキ、縮めるとリリース。
つまり、減速と加速を意図的に作り出せるんですね。
加速を長く出せる人ほど速く滑れる――だから、ブレーキ操作への信頼がとても大事なんです。

三つ目。使うのは、山側スキーの“テール”部分。
ズラすのも潜らせるのも、スキー全体ではなく、後ろのテールだけを使う。
トップからテールまで全部使う必要はありません。
このシンプルな動きで、僕の滑りは成り立っています。

割と明快かと思います。

だから、僕の滑りは誰にでも完全コピー可能です。
テレマークポジションも、テレマークターンも、両足均等荷重も必要ありません。
それでも、動画にあるように、いろんな環境、斜度、季節でスキーを楽しむことができます。

それが、僕=telehiro の滑りです。
名付けて「B-tele」。

ターンではないスキー。
スキースクールで詳しくお伝えできます。
興味を持たれた方は、ぜひ一報を。

スキーは刃物

ここ三週間ばかり、珍しくアルバイトをしている。茅刈。
広い茅の草原で、茅葺き屋根の材料になる茅を刈る仕事だ。使うのは鎌一本だけ。これでザクザクと茅を刈っていく。完全な肉体労働で、しかもかがんでの作業だから、腰にも優しくない。

刈る→まとめる→立てる。
この繰り返しを、朝から、休憩をはさみながら、暗くなるまで続ける。

キツい。これが正直な感想だ。
けれど、翌日もまたザクザクと刈り始めている自分がいる。

キツいけど、嫌じゃない。
もしかして、好きなのかもしれない。

そこでふと立ち止まって考える。
いったい何が楽しいのだろう?

刈り進めていくことで成果が目に見える単純さ――これは真冬の除雪作業にも通じるかもしれない。だから好きなのか?

いや、たぶんこっちだろうと思う。
鎌、つまりは刃物を、シンプルに“刃物として”使って作業している小気味よさ……これなんじゃないかなぁ。

刃はもちろん、休憩のたびに研ぐ。
その研いでスパッと切れる感覚――あれがまた、いいのだ。
チェーンソーだってそう。刃物モノの作業、「切る」「当てる」「引く」……そんな言葉の世界。

そのあたりが面白くて好きで、痛い痛いと腰をさすりながらも続けているんだろうな。

同じことはスキーにも言える。
スキーには“エッジ”という刃物が付いている。これを上手に雪面に当てて、ズラしたり切ったりして操作するんだ。

「引く」なんてのは、ヒールフリースキーの真骨頂。
お刺身を“引く”ような感じで雪面にタッチできるんだから、たまらない。

そう、スキーは刃物なんだ。
だから操作が鈍くなる太い板が好きじゃない、のかもしれないなー。

脱テレマークという視点

― XPLORE、BCクロカンが示す新しいヒールフリーのかたち ―

スキーショップの方が寄ってくださり、しばし売れ行きについてお話しました。
テレマーク、BCクロカン、XPLOREを扱っているとのことです。そして開口一番、「XPLOREってどうですかね?」と。

先日、立山に持っていったセットが玄関にそのまま置かれていたこともあるのでしょう。
この手の話は答えに窮するわけではないのですが、相手に分かってもらおうとすると少し手間のかかる話題でもあります。

とはいえ、結論だけ述べるなら非常にシンプルです。
要するに――テレマークスキーをしている人にしか売れないようなら、それまでということです。
つまり、ゲレンデでダウンヒルを楽しみながら「XPLOREでもテレマークターンを決めたい!」という人にしか売れないのであれば、マーケットは非常に小さいということです。

テレマークに関しては、ブーツがプラスチック製になった時点でダウンヒル志向が強まりました。
その結果、舞台の主役はBC(バックカントリー)から整地されたゲレンデへと移っていきました。
これは自然な流れだったと思います。

一方で、それ以前の革ブーツは歩くことを前提にしていたように思います。
ヒールフリーで歩くことができ、「スキーで歩ける!山に行ける!」という感覚です。
NNNBCもXPLOREも、本来はその“歩く”主体のフィールドでこそ活きる商品であり、決してゲレンデにマッチするものとは思えないのです。

さらに、BCクロカンやXPLOREは、その名前からしてテレマークスキーではありません。
だからこそ、テレマークターンに縛られず、ある意味そこから逃れることができる。
そうした展開の中に、マーケットを広げる余地があるのだと思います――いわば「脱テレマーク」という形で。

さて、テレマークスキーそのものが悪いわけではありません。
ただ、ヒールフリーをダウンヒルだけで使い、しかもあまり格好良くないテレマークターンの、どこかナルシスティックなだけのイメージが、これまでマイナス方向に作用してきた面はあると思います。
それが今、ヒールフリー類似商品の登場をきっかけにあぶり出され、見直されつつあるのだとすれば――テレマークスキーにとっては、むしろチャンスになり得るのかもしれません。

僕のYouTube動画に何かしらのヒントがあれば幸いかも。

WhyとHow 〜テレマークスキーにおける「なぜ」と「いかにして」〜

「なぜ?」と「いかにして?」。
生物は如何にして進化してきたか――これは進化論として説明されている。

しかし、如何にして最初の生命が誕生したのか? または、なぜ生命は誕生したのか?
この問いに対する答えは、いまだに出ていない。
それは、神が作った!と言う可能性を否定できないからだ、云々。。

さて、話をスキーに戻そう――混沌のテレマークスキーに。

スキースクールに入校したとしよう。そこで行うことは何か?
それは、如何にしてテレマークポジションをターンの中で安定させるか、といったことではなかろうか。
つまりは、「How」の問題である。

しかしながら、受講する側はこうも尋ねたいのである。
「なぜテレマークポジションなんですか?」
これはつまり、「Why」の問いである。

では、この最初の問いに、インストラクターはどのように答えるのだろうか?
YouTubeを検索するといくつか例が見つかる。

例1:「テレマークはアルペンと違って踵が固定されていないため不安定です。だから足を前後にして、重心を低くして安定させるんです。これがテレマークポジションです!」
例2:「ジャンプの着地、アレですよ」

うーん……。
「不安定なんだったら、最初からアルペンにすればよかったな」と、誰もが思うだろう。
そして、少し鋭い人なら、「足もとが滑る環境で、足を前後にして本当に安定するのか?」と疑問を抱くはずである。

さて、いかにしてテレマークポジションを組み込んだテレマークターンを洗練させるか――これがスキースクールの得意分野だとしても、
では、なぜその土台となるテレマークポジションが必要なのか、納得のいく答えを示せるインストラクターは果たして見つかるのだろうか?

ちなみに、テレマークスキーインストラクター歴25年の僕は、この「なぜ」にどのように答えるだろう?

Q: なぜテレマークポジションが必要なんですか?
A: 物理的な理由ではなく、コスプレだからです。演技なんです。
その演技や表現を楽しむのが、テレマークスキーなんですよ。

Q: テレマークは不安定なんですか?
A: 動きやすいんです。動きやすいって、良くないですか?
そもそも「安定を図る」って、誰が決めたんですかね?
ヒールフリーで、雪と対話しながら自在に落下していけるのって、素敵だと思いますよ。
逆に、動きが制限されているアルペンだから、雪を押しつぶしていくようなターンをしなくちゃいけないんだなー、とは感じますけどね。

Q: 結局?
A: そう。ヒールフリーでヨカッタな・・はB-teleになるんです(笑)。
WhyはB-teleのアイコンを見てください。
Howは3時間の室内講習とYouTube動画にて。表現ではなくて物理の説明なので、誰もが必ずコピーできるところがウリなんです、はい。

テレマークターンの定義

一応、スキースクール(まほろば倶楽部)では、テレマークターンを言葉で定義づけをしている。

テレマークターンとは、修得したテレマークポジションを、ターンの過程で表現したもの、またはキメようとしたものをいう。

ここでいう「テレマークポジション」とは、足を前後に開き、腰を落とした姿勢のことで、後ろ足のカカトはスキーから離れている状態を指す。

簡潔に言うと、
「テレマークポジションをターンの一連の動きの中で表現したもの」
これをテレマークターンと呼ぶ。

つまりは、テレマークターンとは表現なのだ。
だからこそ「いろんなテレマークがある」「いろんなテレマークがあっていい」という言葉が生まれる。

そして、その表現の質を評価し、グレードを付けるのが「技術検定」という仕組みである。
最初のステージでは、この表現をしようとする意図が見えれば合格だ。
次のステージでは、表現の安定性が求められる。
さらに上のステージでは、表現力に加えてスピードやキレも評価の対象となる。

僕の見方では、これが**TAJ(Telemark Ski Association of JAPAN)**が行っている技術検定の流れだろうと思う。

ただし、TAJ自体には、「テレマークターンの定義」そのものが存在しない。
皆さん知ってましたか?
定義がないのによくぞ検定をやっていられるなぁ、と正直嫌味抜きで感心してしまう。
まさに定義と言う根っこの無い検定を。

無くて済んでしまっている現状、その程度こそを、協会、または他なりでテレマークスキーを普及しようとしている人たちには着眼してほしい。

ちなみに補足ではあるが、上のハナシは全て当スキースクール的には「A-tele」に該当するとして、「B-tele」と区別をしている。B-teleは表現ではなくて実践技術だからだ。技術なので誰もが達することができる。

テレマークスキーってスポーツなん??

そもそも「スポーツって何だろう?」――そんな問いから始めてみたい。
一般的には、身体を使い、技術や力を発揮し、競技性や挑戦がある活動。そんなイメージだろう。
スポーツには、身体能力や精神力を試す側面があり、若さや筋力、そしてパフォーマンスが強く意識される。

さて、テレマークスキーの世界を振り返ると――30年前の革靴時代は、この定義からすれば「スポーツ」と呼ぶよりも、身体を自由に動かして滑る“遊び”だった。
勝敗や記録よりも、滑走感や自己表現、そして遊び心が中心。
精神性も身体性も、今よりずっと柔らかかった。

しかし、時が経つにつれブーツは硬くなり、安定性やパワーを重視する設計へと進化した。
市場は若く筋力のある人をターゲットに道具を最適化し、僕はそれを“テレマークスキーのスポーツ化”として今回切ってみた。
その結果、NTN規格は滑走の精度やスピード、競技性を追求するマッチョ仕様の道具となり、昔の柔らかいテレマーク感覚は周縁化してしまった。

だから、ベテラン勢が「あれはテレマークじゃない」と言うのも自然な反応だ。
単に身体が道具に合わなくなった場合もあれば、スポーツ化された世界そのものに違和感を覚える心理的な理由もある。
結局、道具も身体も文化も、スポーツ性を前提に最適化された世界に寄っていった結果なのだ。

こう考えると、単なる懐古とは言えない
「あれはテレマークじゃない」という声も、スポーツ化による構造的な変化への自然な反応として理解できる

僕に限って言えば――昔のテレマークはスポーツではなかったな、と思う。
だからこそ、その感覚に惹かれたのだろうし、今では道具や環境を選びながら、そのトーンを維持して楽しめている。その“スポーツから少し距離を置いたテレマーク”で。
うん、なんだかスッキリした理解かも。

スポーツしたければゲレンデでアルペンするし。しかもマッチョにね!

ヒールフリーという二つの世界

今から30年ほど前、テレマークスキーといえば革靴が当たり前でした。
スキーもクロスカントリースキーにエッジが付いたような細身のものです。

私はアルペンスキーから入ったので、かかとが上がる軽快さ、
そして何よりも「スキーで歩ける」ということに衝撃を受けました。

もちろん、ゲレンデの中を逆走して歩くわけにはいきません。
だから自然と、里山へ、さらに高い山へと足を伸ばすようになったのです。
未知の場所へスキーで踏み入れる、それだけで楽しかった。

シールを貼って登ることもあったし、ステップカット(うろこ板)で歩くこともありました。
下りに関しては、どんな形であれ降りてこれればそれでよかった。
あの独特なテレマークターンは、どちらかといえば“妙技”として見られていたと思います。

だから当時、私の周囲ではテレマークスキーは「山に行く人の道具」でした。
アルペンスキー=ゲレンデ。テレマークスキー=山。そんな時代です。
道具の見た目も、アルペンスキーとはまったく違っていました。

やがて2000年代に入ると、プラスチックブーツが普及しました。
革靴に比べれば軽快さや特別感は薄れました。
歩けはするけれど、歩きやすいとは言い難い。
しかしその代わりにブーツの剛性が高まったことで、ゲレンデでの滑走を楽しめるようになったのです。

そして現在。NTNという新しい規格の登場で、道具はもはやアルペンスキーと見まがうほどになりました。

NTNになると、「歩けるかな?いや、このマッチョな道具立てはダウンヒル用、ゲレンデ向きだな」という印象です。
こうして、ひと口にテレマークスキーと言っても、時代とともに中身は大きく変化してきました。

そして今、新しくテレマークを始めようという人たちは、マーケットの流れの中で自然とNTNを選びます。
そしてゲレンデ/ダウンヒル寄りの方向へと。
テレマークポジションを覚え、テレマークターンを習得して、よりマッチョなスキーイングへ。アルペンスキーと似た感じでしょうか。

――でも、ここでふと思います。

あの30年前、
「スキーで歩けるんだ!」という新鮮な感動から始まり、
ゲレンデの外、雪の世界に一歩踏み出した私たちのテレマークは、
このまま消えてしまうのでしょうか?

もし今のテレマークスキーが、ヒールフリーでありながらもダウンヒルに特化した存在になっていくのなら、
それはそれで良いと思います。
「テレマークスキー」は、ヒールフリーの進化系、ダウンヒルスキーとして残れば良いのです。

一方で、あの軽快さ、歩くことの自由を大切にする世界は、
名前を変えて新しい世界観として生まれれば良い。

だから私は、テレマークという名前からはあえて距離を置き、NNNBCに道具を変え、
それを 「BCクロカン」 と呼ぶことにしました。(←当時はSNSBCとNNNBCの二つが存在していたため)。
気軽に軽快にバックカントリーを歩き、滑り、雪と対話する、もうひとつのヒールフリーの世界です。
もちろん、そこにはテレマークポジションもテレマークターンもありません。

最近では、同じ方向性を持つ「XPLORE」といったシステムも登場しています。
どちらも、「ヒールフリー=歩ける」という原点に立ち返ったラインナップです。

まとめるとこういうことです。

  • 同じヒールフリーのテレマークスキーが“ダウンヒル”を追うなら、

  • BCクロカンやXPLOREは“歩く移動”から入門できるよう。

  • どちらもヒールフリー。

  • でも、目的も文化も異なる。

  • そして、この二つが共存してこそ、雪の世界はもっと豊かで、もっと深くなる。

YouTube動画の表紙
YouTube動画の表紙

YouTubeの過去動画を見ると、自分のスキー技術の変遷がよく分かります。ここにあるのは16-15年前、つまり2010年頃の映像。この時期の僕は「ヒールフリーだからこそ可能な、パワーレスなカービングターン」を目指していたようです。

映像を見ると特徴は明らか。アルペンスキーで一般的な「上下動」がなく、リズムもなく、ただつるつると不整地を滑り降りています。外スキーが自然に大きな弧を描いているのも分かります。

当時よく話していたのが「X軸とY軸」。

  • Y軸=上下動。アルペンは基本的にこちらが主流で、力をスキーに対して垂直に加えたり抜いたりする動きです。

  • X軸=水平方向の動き。スキーのテールからトップへ向けたベクトルで、アルペンでは構造的にほぼ不可能。

ヒールフリーでは踵が解放されているため、一歩踏み出す動きがそのままX軸の操作につながります。包丁に例えるなら、上から振り下ろすのがY軸、刺身を引いて切るのがX軸。両方の組み合わせですが、ヒールフリーではX軸を主体にする方が合理的な可能性すらあります。

この頃の外スキーの弧は「オートマチック」な動きです。外足を意識して動かしているのではなく、内足の操作が外スキーを自然にX軸方向へ導いているのです。動画後半の床での動作説明をスローで見ると分かりやすいでしょう。

ターンの終わりで外足の足首は伸びた状態。そこから縮みながら内足が先に回旋し、その動きに引っ張られるように外スキーが円弧を描きます。しかも常に母趾球のサイドが接地したまま浮かないため、きれいな谷回りと山回りが生まれるのです。これはアルペンスキーではできない動きです。ヒヒヒ。

なぜ?そもそもターンの終わりに外スキーの足首なんて伸びませんからね。ここ大事。だからローカットブーツ履いてるんですよ。フフフ。

YouTube動画の表紙
YouTube動画の表紙

前半は横滑り、そしてズラシについての着眼点です。
スキーをフォールラインに対して横向きに置き、この状態からフォールライン方向にズラし落とす動きを、うちでは「横滑り」、斜め方向に進む動きを「斜め横滑り」と呼んでいます。まずは言葉の定義から。

斜面上でスキーを横に向け、身体を真っすぐに立てた状態から始めます。脚は山側と谷側に分かれていますが、通例、山側の脚の方が曲がっています。その山側のスキーのエッジ角を緩め、進みたい方向に軽く押してあげます。ここで言う「押す」とは、体重を乗せることではなく、曲がっている脚を伸ばす動きのことです。山側の脚はすでに曲がっているので、そこから伸ばすことができます。エッジ角を緩め、押し出す方向はフォールライン方向、前方向、後ろ方向と様々。ここで身体や目線の向きは関係ありません。

そして、この横滑り/ズラシはブレーキの要素であり、圧雪斜面や硬い斜面でブレーキを調整しながらかける運動です。この「押してズラす」力加減を説明する時、僕がよく使うのがホールケーキの「ナッペ」の例えです。回転台の上にスポンジを置き、生クリームをステンレスのヘラで均一に塗っていく――あのヘラがスキーです。押し当てる繊細さやヘラの角度。これが横滑りのイメージです。決して力技ではありません。まとめると、横滑り=ズラシは**「山側のスキーの外側エッジ」をメインに使う**。傾けて押すのであって、乗るのではない。イメージはケーキのナッペです。

冒頭に示したアルペンスタンスとテレマークスタンスでの横滑りを比べてみます。両者に共通して見えるのは、身体が「くの字」に屈折していること。アルペン用語で言えば外向傾です。これは「谷側のスキーに体重を乗せている」時に現れる、もっとも一般的な形かもしれません。

しかしB-teleでの横滑りでは、身体は真っすぐに立っています。なぜなら山側の脚を押し伸ばしているからです。この「真っすぐな身体」が、後半のひねり・ひねり戻し・回転軸の動きにつながります。

後半では、アルペンスタンスとテレマークスタンスの二通りで、横滑りからの回転(スピン)を紹介しています。アルペンスタンスよりもテレマークスタンスの方が、フォールラインに対して体全体が強く捻られるため、ひねり戻しの際の開放パワーがより強く出力され、スキーがより速くスピンします。つまり、どちらのスタンスでもスピンは可能ですが、テレマークスタンスにする理由は、より強い捻りとひねり戻しの力を生み出すことにあります。その力さえあれば、スキーは90度以上、しかもオートマチックにスピンします。ヒールフリーもしくはローカットブーツであることのできる利点です。

ここから次のステップは、ズラシで押し伸ばした身体や脚が**「フッ」と縮む瞬間**です。この一連の動きで見られる特徴的な姿勢が、B-teleのアイコンスタンスです。

アイコンスタンスは、ブレーキで押し伸ばした状態から身体が瞬間的に縮んだスタンスで、以下の特徴があります。

  • 上半身は真っすぐで、その真下に両足が位置している

  • 両膝が前方に尖がって曲がっている(ヒールフリーまたはローカットブーツでなければ取れないスタンス)

イメージとしては、床に仰向けに寝て膝を立てる動作に近いでしょう。背中、お尻、両足が一直線上に並び、この一直線が回転軸となります。

テレマークスタンスでズラシにより溜めた捻りのエネルギーを、アイコンスタンスで縮むことで解放します。これにより強力なひねり戻しが生まれ、回転軸が真っすぐであるためスキーはほぼその場でスピンします。また、しゃがむのではなく「縮む」動きでスキーは瞬間的に空中に浮くため、スピンの速度も増します。

B-teleの連続ターンは、横滑りでの押し伸ばし/ブレーキ要素、身体を縮めてのアイコンスタンス(加速要素)、伸ばしひねりと縮めひねり戻し、真っすぐな回転軸という要素が組み合わさって初めて完成します。前半のブレーキ要素から後半の加速・回転要素へと自然に発展する一連の流れが、この動画で表現されている動きです。

B-tele アイコンスタンスの説明

B-teleのアイコンスタンスとは、ズラシで伸ばした身体(脚)を、縮めて元に戻した姿勢を表します。

見た目の特徴:

  • アイコンスタンスでは、身体の下に両足が位置している

  • 両膝が前方に尖って出ている(ヒールフリーゆえ、もしくはローカットブーツゆえ、アルペンではできない)

機能的な原理:

  • 動きの起点は、私たちが呼ぶところの センターオブマス(骨格の中心、みぞおちあたり)

  • ここから 伸ばして加圧/ズラシ を行い、元に戻すことで 減圧/空中スピン が生まれる

身体感覚・イメージ:

まとめ:

  • 動作の起点は センターオブマス で、ここを基準に伸ばす・縮めるを行う

  • アイコンスタンスが高い姿勢であるか縮んだ姿勢であるかは、必要とされる環境要因による

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皆さん、自分の滑りを動画で確認したことはありますか? 実際の滑走中、板の動きを目で追えている人はほとんどいません。僕自身もそうで、スキー板は視界に入らず、想像しながら操作しています。

今回の自撮り映像から得られた気づきをシェアします。NTN+ステップ板、少し雪が重いコンディション。滑り出すとすぐに内足(後ろ足)がふらつき、数ターン後に外れてしまいました。滑っている最中は感触で「おかしい」と思うだけですが、映像で初めてその原因が見えたんです。

僕の操作の基本は、内足テールを使ったブレーキ。硬い斜面ではズラシ、深雪では潜らせる。やっていることは同じで、テールを「1→2→3→4」と動かすことでスキーをコントロールします。その軌跡がシュプールとして雪上に残るわけです。

ローカットブーツではスムーズにできるこの動きも、NTNでは作用点がズレるため難しくなります。その結果、内足が不安定になったのですね。要するに、僕の滑りは「背後=内足テールでブレーキをかけている」ということ。これを知れたのは自撮りのおかげです。 2025年4月8日

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アルペンスキーでは「小回り」「大回り」という言葉をよく使いますよね。日本のスキーヤーやインストラクターにとっては、当たり前のように耳にする表現です。「次は小回りしてみましょう」「今度は大きく回ってみましょう」──つまり、自分から意図してターンの大きさを選ぶのがアルペンの特徴です。

ではテレマークではどうでしょう?「テレマークで小回りしてみよう」「テレマークで大回りしてみよう」と言うのも、もちろん成り立ちます。

ただ、今回の動画で僕がしているのはB-teleです。見た目だけで言えば「小回り」に分類されるでしょう。でも、ここが大事なところで、僕自身は「小回りしよう」と意図しているわけではないんです。むしろ自動的、受動的。斜度があり、落下の力に任せて左右交互にブレーキをかけていったら、結果として小回りっぽいリズムになった──それが現実です。

ではなぜスキーがクルッと速く回るのか?ポイントは二つ。「ブレーキ」と「回転軸」です。ヒールフリー、特にローカットブーツなら回転軸をまっすぐ保つことができる。その軸と、溜まった力、そして捻りが合わさることで板が軽快に回るのです。

整理すると──

  • アルペンの小回り:自ら意図して行うターン。

  • テレマークの小回り:斜度や重力が自然にリズムを作ってくれるターン。

こう考えると、テレマークって急斜面でとても便利だと思いませんか?

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皆さん、まず僕の滑りの特徴をお話しします。私は腕を上げません。肘を前に出しません。肘がカクカクもしません。なぜか? それは肩を前にかぶせていないからです。

多くのスキーヤーに見られる典型的なシルエット──肩が前に出て、顔も前に出て、腕も前に突き出している──こういう姿、見覚えありませんか? アルペンでもテレマークでも、頑張ってターンしている人によく見られる姿勢です。

では、なぜそうなるのか。腰やお尻が後ろに下がってしまうからです。そのバランスを取ろうと、肩を前にかぶせ、腕や顔を前に出す。いわば「相殺の動き」です。

では、どうして腰やお尻が後ろに下がるのか?それは足首が動かないブーツ、踵を固定するアルペンシステム──ここ数十年の一般的なアルペンスキーですね──では、小さくなると自然と腰が後ろへ移動してしまうからです。

そして「小さくなる」動きの理由。多くの人は「膝を曲げながら荷重する」という動作をしているからだと思います。ですが、正直、僕にはこの動作の意味が理解できません。だから僕はやりません。

一方で、僕も動画では小さくなっています。冒頭でウェーブを越えたとき、確かに姿勢が沈み込んでいます。でも肩は前に出ていない。腕も動いていない。上半身は立ったままです。

なぜか?膝が前に出ているからです。ローカットブーツ(T4)で足首が動くから。テレマークなので踵が上がるから。結果として膝が前に出て、腰やお尻の真下に足をキープできる。沈み込んだ瞬間でも「上半身―腰/お尻―足」が一直線になっています。これはアルペンではできません。なぜならアルペンは膝が前に出ないから。だから前述の「典型的シルエット」になってしまうのです。

ここで整理しましょう。

  • 「小さくなる」のは荷重のためではない。圧を受け止めるため。

  • 小さくなった時に身体を一直線にできれば、それを回転軸として使える。

  • だから僕はくるりと回れる。上半身は突っ立ったまま。肘も張らず。顔も前に出さず。

板をたわませる力は「関節を伸ばす」ことで調整します。これがB-teleの動きです。一方で、足の前後差こそがテレマークの特徴だと言いながらも、やっていることはアルペンと同じ──それを僕はA-teleと呼んでいます。

どちらを選ぶかは、皆さんの好み次第です。

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皆さん、私がNZでクロスカントリースキーのインストラクター資格を取ったときに、ノルウェーの先生からいただいた忘れられない言葉があります。

「Walk on your ski, not on snow.」
「雪の上をスキーで歩くのではなく、スキー板の上を靴で歩くんだよ」──これを聞いた瞬間、本当にショックでした。そして深く納得しました。

考えてみてください。硬いアスファルトの上なら、酔っ払っていたって歩けますよね? スニーカーで硬い地面を歩くのと、柔らかく曲がるクラシカルブーツで硬いスキー板の表面を歩くのは、実は同じことなんです。これ、凄い発想だと思いませんか?

普段、私たちは靴底で「硬い」「柔らかい」を感じています。だからこそクロスカントリースキーにはビンディングが必要なんです。いつも靴底の下には硬い板がある。だから安心して、自然に歩ける。まるで日常と変わらない感覚で。景色を楽しみながら、隣の人と会話をしながらでも歩けるんです。

一方で、日本ではよく「道具は身体の一部」と言いますね。この場合、境界はスキーと雪面との間にあると考えがちです。でも、ノルウェーの方が教えてくれた境界線は違います。靴底とスキー(あるいはビンディング)の間。

これはスキーを「移動の手段」として育んできた文化があってこその視点なんだと、私は深く感じました。じぃ〜〜んと心に響いた瞬間でした。

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皆さん、今日はスピードコントロールについて話しましょう。

まずクロスカントリースキーを例に考えます。コースを走るとき、スピードを上げるには自分の力で出力しますね。そしてスピードを落とすにはブレーキ操作が必要です。車で言えばアクセルとブレーキ、自転車で言えばペダリングとブレーキにあたります。

では、ダウンヒルスキーはどうでしょうか?
スピードを上げるにはどうするのか、スピードを落とすにはどうするのか──答えはこうです。

  • スピードダウン → ブレーキをかける

  • スピードアップ → かけていたブレーキをリリースする

そう、つまりスピードアップもブレーキの操作の延長なんですね。スピードを上げるために特別な力を出すのではなく、ブレーキをどのタイミングでどれだけリリースするかがスピードコントロールのカギになります。

ダウンヒルスキーでよく言われる「いかにスピードをコントロールするか」というのは、結局のところブレーキ操作をいかに上手に行うかということと同じです。
だから僕はレッスンでいつも「スキーはブレーキだよー」と言っているわけです。

皆さん、今日は「テレマークターンって何ですか?」という問いについて考えてみましょう。

僕の答えは、こうです。

「同じ部族であることを示す証(あかし)、あるいは入れ墨のようなもの」

ちょっと変わってる表現ですね。では具体的にどういうことか。
テレマークの道具を履いて雪の上に立ったら、まずは足を前後に開いてみます。できましたか?大丈夫、これで「同じ部族」です。そしてダウンヒルの途中で、その型をビシッと決められればポイントアップ。部族内でのヒエラルキーも上がります。

ヒールフリーの道具なら当然テレマークターンだろう、という思い込みの消し難さ、という点で僕はこれを“入れ墨”と表現しました。さらに言えば、「稽古における作法」と考えることもできると。

テレマークターンは、意図をもって表現される動きです。何も知らない子供が自然発生的にする姿ではありません。だからこそ「お稽古」という表現がピッタリ合うんです。上手下手も作法の一部。

そして面白いのは、テレマークスキーをしている人は自然とテレマークターンをしている人に目が向くこと。「あ、テレマーク発見!」と感じる瞬間です。僕の場合、それが嬉しい感情につながります。ラッキー!プラスの感情ですね。

一方で、テレマークの道具を履いてアルペンターンばかりしている人を見ると、どこか悲しい、残念な気持ちになります。でもこれは上手下手の問題ではありません。「同じ部族なのに…」という感情が根底にあるんでしょうね。。僕自身、A-tele人生が長かったのでよくわかります。

さて、次回は「B-teleはテレマークターンなんですか?」について話します。お楽しみに…?

皆さん、おはようございます。今日はちょっと**テレマークスキーって何?**というテーマについて、朝ジョグしながら考えてみました。

ジョグや自転車に乗りながら、ずっと何かを考えるのって、子どもの頃から好きなんですよね(←赤毛のアンか!?)。椅子に座って考えるより、建設的でスッキリするイメージがあります。

さて、テレマークスキーをどう説明するか。まずは順番を整理してみます。

  1. ビジュアル

  2. 特徴

  3. できること

  4. 自分が関わってきた時間

  5. 現在の状況

まとめると、僕の結論はこうです。

「ヒールフリーのジャンルの中で、ダウンヒルに向けて進化してきたもの。そして現在はNTNに至る」

スッキリしましたね。ジョグ効果かも(笑)。
最初の文章は簡潔に、あとは説明を補足するパターンです。

ところで、「ヒールフリーのジャンル」とは何でしょう?
スノーシュー、クロスカントリースキー、BCクロカン、XPLORE、75mm革、75mmプラ、NTN…など、道具の名前のことです。その中で、特にダウンヒルに向けて進化してきたのがテレマークだと説明しています。

僕がテレマークを始めたころは革靴でした。そしてすぐに75mm規格のプラスチックブーツが登場。さらに現在はNTN規格も。30年の変遷を見てきた者として言うなら、「ハード化の一本道だったなぁー」と感じます。

ただし、今からテレマークを始める人にとっては、現状が最初のテレマークです。「ハードになったなー」なんて感覚はありません。アルペンスキーと同じゲレンデで滑る、ダウンヒルのテレマーク。

ちなみに、数年前からロテフェラー社のHPを見ると、3pinビンディングはテレマークのページにはなく、バックカントリーに分類されています。BCクロカンやXPLORE、3pinはバックカントリー。NTNがテレマーク。

これを見るたびに、「うちのテレマークスキースクールって、本当にいいのかな?」とか、「看板の『楽ちんテレマーク』って再考すべきじゃない?」なんて、つい考えてしまう今日この頃です。

この調子で、次回は**「テレマークターンとは?」**に続きます(←大丈夫か…?)。

皆さん、今日は「スキーが上手」って具体的に何でしょうね?

僕の場合、着眼点は大きく三つです。

  1. 速いこと

  2. 急斜面を滑り降りられること

  3. 静かであること

この三つの要素が揃っている人を、僕は「スキーが上手だな〜」と判断しています。

面白いのは、「ターン」という要素はここには出てこないことです。そしてテレマークでも同じです。
つまり、僕の中では 「スキーの上手下手」と「ターンの上手下手」は別枠ということ。

あくまで、僕の場合の基準ですが、皆さんも自分なりの「上手の定義」を考えてみると面白いですよ。

皆さん、スキーはターン弧を連続して描くものだ、と思っている方は多いかもしれませんね。
しかし、今日は少し違った見方も紹介します。

実は、スキーとは「ブレーキ」と「方向転換」の組み合わせで滑るものなんですよ〜。
実際に私(telehiro)がYouTubeで滑っているのは、この考え方に基づく滑りです。

まずブレーキについてです。
ブレーキ操作はターン弧で行うものではなく、スロープに描くバナナ形で操作します。

  • 硬い斜面でバナナを描くことを「ズラス

  • 深雪で描くことを「潜らせる

どちらも主にインサイドスキーのアウトエッジ、しかもスキーの後ろ半分を使ってバナナを描きます。
ポイントは、ブレーキ操作はインサイドスキーの方が使いやすいということ。アウトサイドスキーではありません。

次に方向転換です。ここでは3種類を用意しています。

  1. キックターン:静止状態から行う方向転換

  2. ウェッジターン:滑りながら行う方向転換

  3. 空中スピン:くるっと回る回転。
    ※空中スピンはヒールフリーシステムやローカフブーツなら可能で、アルペンスキーでは不可能です。アルペンの場合、小さくてもターン弧の動きになります。

まとめます。練習すべきポイントは次の通りです。

  • ブレーキパート:「skidding」と「digging」
    → 実は動かし方はほぼ同じなので、まとめて「skidding=digging」と覚えてOK

  • 方向転換パート:「kick turn」「wedge turn」「aerial spin」の三つ

これを身につければ、ゲレンデだけでなく山の稜線から滑り降りることも可能になります。
雪質やコンディションに左右されず、笑顔で楽しめますよ〜。

皆さん、今日はA-teleとB-teleの違いについてお話しします。

まず基本的な考え方の違いです。

  • A-tele:スキーはターンだよ〜

  • B-tele:スキーはまずブレーキ操作でしょ

Aの場合、ターンにはブレーキ操作も含まれてしまいます。
Bの場合は、ブレーキ操作と方向転換が独立しています。

ターンの入り方も違います。

  • A-teleは、ブレーキが効いてくるのを待って次のターンに入ります

  • B-teleは、ブレーキをターンに関係なく操作できるので、待つ必要はありません

その結果、ターン弧も変わります。

  • A-tele:大きくなる傾向

  • B-tele:小さくも大きくも自在

急斜面での操作も差があります。

  • A-tele:急斜面は大変

  • B-tele:ブレーキ操作は緩斜面より急斜面の方がしやすい

板への力のかけ方も異なります。

  • A-tele:板に体重を乗せる

  • B-tele:板を押したり引いたりして操作

ここまでの部分は、アルペンスキーもテレマークも共通です。

さて、テレマークの場合に話を絞ると、

  • A-teleはテレマークスタンス崇拝、あるいはコスプレイ的要素

  • B-teleは道具のアドバンテージに着目、つまりヒールフリーローカフブーツの特性を活かす

見せ場の違いも面白いです。

  • A-tele:ターン後半の独特なテレマークスタンスが見せ場。大胆な動きがカッコイイ

  • B-tele:トランジションの一瞬と控えめなブレーキング操作が見せ場。静かな動きもカッコイイ

ただし、複雑なコンディションの山で滑る場合、僕はB-teleモードで降りてきます。
安全かつ安定、そして道具の特性を最大限に活かせるんですね。

皆さん、今日はスキーと身体の力の出し方についてお話ししましょう。

まずは**center of mass(重心ではなく骨格の中心)**から考えます。
ここでいうcenter of massとは、身体を揺らしたときに一番揺れない場所。おそらく肺の下、みぞおちあたりですね。

このcenter of massから同じ距離にある関節は、ペアで似たような動きをします。
想像してみてください。

  • 肩の骨と骨盤

  • 肘と膝

  • 手首と足首

例えば肘と膝を同時に曲げるのは簡単です。しかし、肘を曲げつつ膝を伸ばすと、一瞬戸惑いますよね。

さらに、center of massに近い骨は大きく、そこから離れるほど小さく細かくなります。筋肉や腱も同じ。
中心部には大きな骨と筋肉、端には細かい骨と腱が多数。

ホワイトボードに図を描くとわかりやすいですね。
ここで僕が言うのはこうです:

  • 力を出すのは身体の中心部の骨と筋肉

  • 状況を探り、知覚して動かすのは手や足

なんとなくイメージできますか?

ここからもう一歩。スキーを上達する時、腰や肩の向きに着眼する人が多いですが、これはあまり有効ではありません。
理由は簡単。腰や肩は「馬鹿」なんです。意識してすぐに動かせない部位なんですね。指摘されても即座には修正できません。

一方で、手や足はどうでしょうか。
「人差し指あげて〜」と言えば、全員即座に同じ動作ができます。これがスマートであることの証左です。。

さて結論です。

ダウンヒルスキーには大きな力が必要です。
その力は身体の中心部からひねり出します
でも、中心部を意識して直接動かそうとすると難しい。

正解は、出力のスイッチや目盛りを手や足に置くことです。
手や足に着眼して指揮させ、中心からの出力をコントロールする。

これが僕のB-teleの考え方です。
具体的には足周りの動かし方に着眼します。日本語では「CHU♪」と表現しています。
残念ながら、これに関しては対面でしかお伝えできません

YouTube動画の表紙
YouTube動画の表紙
YouTube動画の表紙

皆さん、ちょっと考えてみましょう。テレマークスキーヤーって、テクニックの話をするのがあまり得意じゃないように見えませんか?
なんでだと思いますか?僕には一つの仮説があります。それは……目指すべきスキーのゴールが明確にないから、ということです。

では、テレマークスキーを始めた人の目標って何でしょう?いきなり「ゴール」とは言わずに、当面の達成目標としましょう。それはおそらく……テレマークポジションで安定したターンを完成させることではないでしょうか。そう、あの足を前後に開く滑りですね。

でも、ここがポイントです。その当面のゴール、案外行き止まりだったりするんです。そして十年以上経ってもそこからあまり成長していない……。
そんなあなたに、僕はこう聞きたい。

「あなたはテレマークポジションを演じているだけではありませんか?」

おそらく、薄々気づいているのではないでしょうか?スキーのゴールと、演じることのゴールは別物だと。

もしも、あの足を前後に開いた滑り方がスキーのゴールと同じライン上にあるなら、堂々と技術論を交わせるでしょう。でも現実はどうでしょう。YouTubeを見ても、演じることに努力している人が50%。残りの半分は、その段階を終えた後にアルペンスキーの力強さに近づこうと奮闘し、さらに半分は弱めの道具でまた演じ始めている……僕の見るところはそんな感じです。

では、本当のスキーのゴールとは何でしょう?僕はこう考えます。

「道具の持つ利点を最大限に発揮させた先にあるもの」

例えば、固定されハイカットなアルペンブーツのアルペンスキーにはアルペンスキーならではのゴールがあります。
一方で、ヒールフリーなテレマークスキーにはテレマークならではのゴールがあります。軽快なXCDにも、それぞれのゴールがあるでしょう。

このゴールの周囲を、キャッチーなワンワードで表現できたら、と僕は思っています。
アルペンスキーなら「強さ」「暴力性」。
テレマークなら「器用さ」「柔らかさ」。

この住み分け、素敵じゃないですか?
だから、テレマークスキーをアルペンスキーに近づけようとするのは、実はちょっと愚かなことでもあるんです。

さらにもう一つ。テレマークにおいて、足を前後に開くことは道具の特性として可能で、アイコンのように思われています。でも、ダウンヒルにおいては必ずしも利点にはなりません
利点の一つが現れるのは、両足が揃った時です。
僕が言う「B-tele」のアイコンを思い出してください。

さて、ここで皆さんに問いかけます。
「器用さ」と「柔らかさ」をゴールに設定した場合、そこからどう展開していくのでしょうか?
ちょっと考えてみましょう。

さて皆さん、ブレーキングの要素は二つあります。「ズラシ(skidding)」と「潜らせる(digging)」ですね。

硬い斜面ではズラシを使い、雪に厚みのあるコンディションでは潜らせるを使います。ここで重要なのは、どちらの場合も山側のスキーをメインに使うという点です。体の関節を伸ばしてスキーをたわませ、そこに力を押し込みます。着眼点はたわませるのはスキーの後ろ半分だけということ。トップからテールまで全体をたわませるわけではありません。テクニックの詳細はまた別の機会に説明しますね。

さて、ブレーキ操作が終わったら関節を縮めて戻します。関節を縮めて戻すと、一瞬スキーが空中に浮き、スピードがアップします。もし事前に体をひねっていれば、そこで瞬間的に回転も可能です。つまり、捻る方向で山側のスキーを押し伸ばしておけば、戻したときに板は自然に回るということです。それも空中で、しかも素早く。

その後は、別のサイドのアウトエッジの後半部分に徐々に力を加え、同じ動作を繰り返していく。これが僕の滑りの基本パターンです。

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皆さん、ダウンヒルスキーのテクニックでよく語られるのは「ターン」じゃないでしょうか? つまりターン弧のことです。確かにターンそのものに楽しさやスリルはありますし、僕もそれはよく分かります。でも、スキーインストラクターとして技術を眺めると、最優先で大事なのは「ターン弧をどうブラッシュアップするか」ではなくて、どのようにスピードをコントロールして降りるかなんですね。

驚くかもしれませんが、ターン弧とスピードコントロールには実は直接の関係はありません。なので、ここではスピードコントロールの要、つまりブレーキ操作について話します。ブレーキが効くか、また強弱を自在に操れるか。ここがポイントです。自然とスピードアップもついてきます。斜面では物理的に落ちますから、スピードコントロールとは要するに「減速のコントロール」と言えます。加速は勝手に起こりますからね。

ブレーキには二つのパターンがあります。一つは「スピードが落ちるのを待つパターン」、もう一つは「自由にスピードを落とせるパターン」です。前者はよくターン重視の方に見られます。スピードが自然に落ちるのを待ってから次のターンに入る。日本語で言う「乗る」という状態かもしれません。中級斜面までは快適ですが、急斜面では苦手です。そもそも40度以上の斜面でターンしますか? 多くの場合、横滑りでズリズリ降りるでしょう。

ここで使えるスピードコントロールテクニックが、汎用のブレーキテクニックです。硬い斜面ではズラシ(skidding)が有効です。圧雪ゲレンデもそうですね。一方で、パウダーやクラストなど、雪に厚みのある場合は板が沈んでズラシにくくなります。そんな時はどうするか? 板を潜らせる(digging)んです。板が沈むことでスピードが落ちます。急激なスピードダウンで転倒する方も多いと思いますが、原因は二つ。

一つ目は板全体が沈むこと。具体的には、板前半部分が抵抗になって急に止まるため、「うっ!」となるわけです。だから埋める場合は、板全体ではなくブーツから後ろの半分で十分です。ここをブレーキの強弱として操作します。

二つ目は「乗っている」状態です。体重が一定のままだとコントロール感が薄れます。そこで体重を圧に変換します。運動で言えば「押す」と「引く」です。これで埋め具合を調整でき、スピードコントロールにつながります。つまり埋めてスピードダウン、浮かしてスピードアップ。板のテールを使うという点はズラシでも同じです。テールをズラしてブレーキ、戻して解放。

ここで意外かもしれませんが、このブレーキ操作を主に行うのは山側のスキーです。谷側ではありません。山側スキーのアウトエッジ、しかも後ろ半分です。ダウンヒル側のスキーは別の使い方がありますのでまた説明します。

まとめると、ダウンヒルで大事なのはターン弧ではなくブレーキです。ブレーキの役割を果たすのは山側スキーのアウトエッジ後半。硬い斜面ではここをズラして、厚い雪ではここを埋めてブレーキ。ブレーキは待つものではなく、操作するものです。強弱を操り、伸ばして押し、戻して引く。この動きの変換がヒールフリーの長所を活かすポイントです。

さて皆さん、アルペンスキーに比べて、ヒールフリースキーはより回転半径の小さいターンができます。なぜかというと、回転軸をより真っすぐに作れるからです。

例えば、体を縮める動作をすると、踵が上がることで膝が前に出せます。すると上半身の真下に両足をキープでき、そこから上半身と両足を結んだ線が回転軸になります。この回転軸が真っすぐだと、最小の円弧でターンできるんです。いわばその場でスピンするようなイメージですね。

ここで注意ですが、「縮む」動作と「しゃがみ込む」動作は違います。縮んだ瞬間、スキーは一瞬空中に浮きます。空中では、スキーが一番回りやすくなります。外から見ればショートターンに見えるかもしれません。でもこの動作をゆっくりにすれば、中回りや大回りにも応用できます。非常にシンプルです。

さらに、身体を縮める前には必ず身体を伸ばしておくことが必要です。以前もお話ししましたが、身体を伸ばすことでブレーキを掛けることができます。具体的には、山側の足の関節を伸ばすことで、くるぶしからスキーにパワーが伝わり、スキーのテールが**ズラシ(skid)**となりブレーキになります。深い雪では、テールを埋めることで同じようにブレーキになります。

つまり整理すると、ブレーキは身体を伸ばして、回転は身体を縮めて行う、これがヒールフリースキーの基本的な動きです。

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皆さん、まず最初にお伝えしておきたいのは、僕が勝手に「A-tele」と「B-tele」とでテレマークを区分けしているだけであって、これが日本全体の一般的な考え方というわけではありません。

重要な点として、B-teleは僕のオリジナルです。このアイディアに到達するまでに、テレマークスキー専門のインストラクターとして実に25年ほどかかっています。上に少し資料を添付していますが、理解の助けになればと思います。

さて、まずはA-teleについて。A-teleとは何かというと、B-tele以外のすべてのテレマークスキーテクニックの総称です。つまり一般的なテレマークはすべてA-teleの中に含まれます。技術論もティーチングメソッドも全部です。僕はAを否定してBを作ったわけではなく、正確には「AもBもある」という立ち位置です。

Aは長い時間をかけて存在してきたもので、その存在には理由があります。腰を落として足を前後に開く動作には、物理的に意味がある場合もあれば、楽しさやワクワク感、アルペンスキーとの違いを楽しむための理由もあるでしょう。僕自身も昔はAの中で活動していました。ターン弧をどう作るか、その中でテレマークポジションをどう安定させるかを考え、受講生に伝えるのがインストラクターの役目でした。当時は、ターン弧ありきだったんです。

ところが、B-teleを構築するきっかけとなったのは、ある疑問でした。「稜線直下の超急斜面で、本当にターンしたいのか?危なくないか?」というものです。アイシーで急な斜面では、まず横滑りで降りていくのが安全です。こんな状況で足を前後に開く必要はあるのか? 山側の足のかかとを上げてもいいのか? そもそもターンって何だろう? テレマークポジションは必要なのか? こうして急斜面での経験が、ターンそのものを疑問視するきっかけになりました。

そこで着目したのが、ダウンヒルで本当に必要なのはブレーキ操作だということです。ブレーキ操作が上手な人はスピードをコントロールするのも上手です。このブレーキ操作そのものに着目して体系化したのがB-teleです。Aは「ターン弧」、Bは「ブレーキ」。あらゆる斜面や環境に対応できるのはBです。Bがあれば、どんな斜面でも降りてくることができます。

さらに、Bを構築したことで気づいたことがあります。それは、アルペンスキーよりテレマークスキーの方が、いくつかの点で優位だということです。Aはターン弧を楽しめる条件の下で価値を発揮します。例えばリゾートゲレンデや快適な斜度、安心できる環境では、積極的な運動や大胆なターン、スピードを楽しむことができます。場合によっては力強さや暴力性さえ楽しめるでしょう。

一方、B-teleの世界では、より静かに、より柔らかく、より軽やかに滑ることができます。AもBも、どちらもあって良いのです。

というわけで、長々と話しましたが、まとめるとこうです。

  • A-tele:ターン弧を楽しむテクニック全般

  • B-tele:ブレーキ操作に着目したテクニック、あらゆる斜面・コンディションに対応可能

両方の考え方を理解して、状況に応じて使い分けるのが、僕の提案するテレマークスキーの考え方です。

皆さん、今日はLead Changeについてお話しします。

結論から言うと、B-teleにはその言葉も、意図的に行う運動も存在しません。え?動画を見るとワンターンごとに前後が入れ替わっているじゃないか? それをLead Changeと呼ぶのでは? と思うかもしれませんね。おっしゃることはよく分かります。でも、僕の体系では本当に意図した動きとしてのLead Changeは存在しないんです。

なぜかというと、B-teleではターン弧を前提にスキーを考えないからです。何度も言っている通り、B-teleの中心はブレーキ操作です。硬い斜面では「ズラシ」、雪に厚みがある場合は「埋める」。これがブレーキ操作の具体的な内容です。

では、皆さんがターンに見えている部分、その中の“Lead Change”と思われる部分はどうか? 僕の感覚ではこれは**「スピン」**と呼ぶ方が適切です。空中での素早い方向転換、両足同時に行います。その後は、山側のスキーを使って「ズラシ」と「埋める」を組み合わせてブレーキをかけ、速度を調整します。この時、山側の足首で斜め方向に圧をかけます。ですので、ハイカットブーツでは踵が上がって見えますし、ローカットだとほぼ足首の動き通りの見た目になります。踵が上がっているかいないかは、ブーツによるものであって、クローズスタンスやワイドスタンスの意識とは関係ありません。

ここまでがブレーキをかける山側のスキーの役割です。では谷側のスキーはどうなるのか? これは単純に前に押し出されるだけです。押し出された結果、自然に前に位置します。押し出す力を作るのは、空中でスピンした後に伸ばす山側のスキーです。山側のスキーを伸ばして押しずらすと、谷側の足は前方に逃げることになります。

ここで重要なのは、この「前方」という感覚です。自分の体の前方に足が位置できるということは、足首が伸びる動作が可能なブーツだとやりやすく、ローカットブーツが適しています。そして、この脚を伸ばす動作をしながら、必要な圧をかけて進行方向にスキーを滑らせるイメージです。まるで柳葉包丁でお刺身を切るような、滑らかで精密な操作です。

まとめるとこうです:

  • 山側のスキーは、くるぶし下で谷側に向けてブレーキをかける

  • 谷側のスキーは、シンプルに進行方向に滑るだけ

  • 空中で行う方向転換を「Lead Change」と呼ぶかどうかは別問題で、僕の感覚ではゼロに戻す動作

  • その後、縮んだ量を再び伸ばしてブレーキをかける…これを繰り返して標高を下げる

つまり、僕は直滑降の中でスピンとブレーキを繰り返しているだけです。ターン弧ベースの思考ではなく、AではなくBに分けた理由はここにあります。

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皆さん、今日はAとBという区分で説明します。これは理解を分かりやすくするための便宜上の表現です。

まず A-tele です。A-teleの基本は、板をたわませる力の主体が自分の体重であるということです。両足に体重をどう分散するか、と議論されることもありますね。「前の板に70%」「いや後ろの板に80%」など色々ですが、いずれにしても体重が主役です。そして、イメージのベースにはやはりターン弧があります。

一方、 B-tele では注目するのは山側の板だけです。力の源は押す力であり、どのくらい押すか、どのくらいズラすか、あるいはどのくらい埋めるか、という操作を板のテールのみで行います。そして後傾はせず、目的はブレーキ操作です。

このB-teleの操作は、ハイカフブーツよりもローカフブーツの方が適しています。なぜなら、足首の可動域が広いほど、押す力の微調整やズラす・埋める動きがしやすく、B-teleのアイディアがより機能するからです。

まとめると、Aは体重を使った板のたわませ、Bは足首の可動域を活かした押す力でのブレーキ操作、という違いになります。

皆さん、自転車や車にはブレーキがついていますね。スピードが出たらブレーキをかけてスピードを落とします。緩やかにブレーキをかけながら坂道を下ることもありますよね。

スキーも基本は同じです。弱いブレーキをかけ続けながら、コンディションを確かめつつ斜面を下りる。これがB-tele的な考え方です。

ではスキーの場合のブレーキとは何か? それは板の向きと使い方によって操作する力です。僕の場合、硬い斜面ではスキーを横にズラすことで摩擦を作り、ブレーキとします。これを「skidding」と呼びます。一方、雪が深い場合は板を雪の中に埋めて減速します。「digging」ですね。コンディションに応じて、この二つを組み合わせて使います。

ここで重要なこと。自転車や車はターンを繰り返して減速するわけではありません。装置であるブレーキを操作して減速します。スキーも同じ考え方でよいのです。減速はターン弧ではなく、ブレーキ操作で行う

僕の言葉で言えば、硬い斜面ではskidding、深雪ではdigging、これがブレーキ操作です。ターンの形ではありません。これって、もしかすると革命的な着眼点かもしれませんよ。