祈り
そこにあるもの
おいしい漬け物を食べたとき
その奥深い味を讃える人はいても
そうなるまでの何カ月 彼らの上にじっといて
無言の時を刻んだ 1個の石の存在に
気付く人はいない
形としてのあらゆる主張を拒絶され
重さのみを価値として使われた 1個の石を・・・・・
その使命をいやがるわけでもなく
喜ぶわけでもなく
それがさも当然のように 泰然として
薄暗い台所の片すみで
静かに その命を燃やし続けている 漬け物のおもし
そんな人生があっても いい
祈り
介助犬という犬がいる
種としての本能のほとんどを押し殺し
ひたすら傍らの人間のために生きる犬である
我が身を必要とする人間の願望の大きさに
気付いているかのような 眼差しが
彼を見るものの心をうつ
おそらくその巨大なストレスのために
長寿はおぼつかないであろう その一生に
本能としての喜びの一かけらでもいい
光るときがあることを祈る
卒業
負けて逃げ出すんじゃない
君は十分に闘った
そして
傷つきながらも 多くのことを学んだじゃないか
それでいいんだよ
もう 卒業したんだ
卒業証書はないけれど
そんなものより もっと輝く勲章が
君の心の中に光っている
大切にしろよ
これから いいこといっぱい 待っているから・・・・・