心にオアシスを 郷愁と哀感は心の潤滑剤です





ひまわり

春にヒマワリのたねを二つぶ ならべて植えました。

かわいいふた葉が ちょこんとならんで芽を出しました。

それから雨がふり 太陽の光がさし 

二つぶのヒマワリはぐんぐん大きくなりました。 

どうしたわけか 右に植えたヒマワリの方が 

となりのヒマワリをおいぬき 大きくなりはじめました。 

追い抜かれたヒマワリはその日から成長が止まり 

伸びていく仲間の横でさびしそうでした。 

でも何日かたって 最初に花をつけたのは 

背の低いヒマワリでした。

大きく伸びた方は まるでその日をまっていたかのように

そっと花を開きました。

夏の畑で ヒマワリのやさしさをみつけました。



 

ひぐらし

「ひぐらし」というセミをご存じですか。

蝉しぐれのなかで 

およそ他の蝉の声とは異質の どこか哀愁をおびた

声で鳴く蝉です。

あの澄んだ 美しい声が

実は 凝縮された命が燃え尽きる執念の響きだと

気づいたとき ふと想うのです。 

燃え立つ思いを訴える響きは

かく静かで 美しくあらねばならぬと・・・・

ひぐらしの声を耳にしたら

静かに燃える あなたの胸の想いと重ねてみませんか。



 

あこがれ

確固とした自信がある

人を包み込むような 懐の深さがある

その存在が 人の気持ちを駆り立てる

疲れを感じさせない 頼もしさがある

幼い心では理解できない 感動がある

野辺に咲く 雑草の潔さがある

歳は重ねるが 老いは重ねない・・・・

行き先のわかっている道は おもしろくないのだから

せめて これくらいの憧れを持ちながら

生きてみるのもいいかも知れない

 

   


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