あるがまま    
         止まることを許されない川の水の流れは
         地形の傾斜という厄介な自然の器に逆らうことをしない
         雨風の激しくあたる木の梢に巣をもった親鳥は
         選択の失敗を愚痴ることもなく
         あるいは死をもたらすかも知れない自然の気まぐれを
         恨むことをしない
         逆らわず 手向かわず あるがままを受け入れて
         彼らの生は在る
         ただ一人「人」と呼ばれる者のみが 右往左往しながら
         無謀な戦いやおろかな営みを続けている
         無心に母の乳首に吸いつく幼子を見ているうちに  
         我もまた あるがままの雨風に打たれ
         我を支える地形に逆らわず生きていけたらと思う
         今朝 近くの森でフクロウの鳴く声を聴いた



                   


     結菜へ
   おまえをこの世に送り出すために
   母さんは わが身を切り裂く痛みに耐えた
   父さんは そんな母さんを必死で励ましながら
   生まれてきた おまえを 目に一杯の涙をためて迎えてくれた
   おまえは 決してひとりぽっちで生まれてきたのではない
   覚えておいてほしい
   愛するもののために 命をかけて闘ってくれた父や母が
   いつもおまえのそばにいたことを・・・・・・・・・
   そして 多くの人の祝福の眼差しがおまえを包んでいたことを・・・
   誕生 おめでとう  そして 感動をありがとう


             峠      2002年1月8日 火曜日
         人生には いくつかの峠があるという
         いつたどり着いたのかは わからないが
         下り道にいるところをみると どうやら
         私の峠は すでに後方になってしまっているらしい
         登り道・・・・・・・
         寒さや飢えから わが身や家族を守るために
         身につける装備が 一つまた一つ
         まるでウロコのように付け加わった
         気がつけば とんでもない重装備を背負っての登りであった
         峠を過ぎた今 役目を終えた装備を一つずつ外しながら
         登り道では目に入らなかった景色を 楽しんでいる
         私の峠は さて どこであったのか・・・・・・・・・
         あともどりの適わぬ山道を振り返りながら 考えている

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