邂逅




邂逅(かいこう)

顧みれば

幼い日々は やさしかったか

何を夢み 何と闘ったか

何に胸ふるわせ 心をときめかせたか

失意の季節を いかに脱したか

幾度 忘れ得ぬ人とめぐり会えたか

そして 今

生きていることが 幸せであるか

生きる希望を どう組み立てるか

私がもっと私であるために 


記憶

幼い日

まるで疑うこともなく

サンタクロースを信じていた

大きくなって そんなものはいないと分かっても

心の中に サンタの住む部屋ができた 

たとえ 中身が空になっても

そこは 人を信じることができる部屋・・・・

一人がいなくなっても

また次のサンタが入ってくる 

人を信じて生きていくためには

サンタクロースを信じた 時の記憶がいる


                   

燃えるために必要なすべてを取り除かれて

炎をあげることも

煙を出すことも許されず

ただひたすらに おのれを潔く

静かに 静かに燃やし尽くす

やがて我が身が 白い灰になるまで・・・・・・

        

だが 炭よ

おまえのあの静まり返った温もりの中には

炎をあげて燃え盛る木には真似のできない 

一筋の鋼の意志が私には見える

私はその意志をもらって 温まっている



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