雑感 2012
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| さようなら 2012年 |
| 今年という一年は、自分に何を与え、自分から何を奪っていったか、 |
| 胸に手をおいて考えてみる時期になりました。 |
| 与えられたもの、奪われたもの、どちらにも |
| 大切な思い出が刻まれています。 |
| 何年か先、きっとなつかしく思い出すであろう、この一年の出来事・・・・・ |
| すべてを包み込んで、静かに時空のかなたに消えていきます。 |
| さようなら・・・・そしてありがとう。 |
| 再会 |
| できればもう一度会いたいと思う人はたくさんいるだろう。 |
| だが、 |
| 会うための”理由”がすでに失われた人には、 |
| 物理的に会うことが可能でも、どんなに会いたくても |
| 会わない方がよいと思う。 |
| 再会するには |
| 「何のために」という理由が必要なのだ。 |
| そんなものもなしに、いきなり再会すれば |
| ただ、うろたえるだけだろう。 |
| 思い切って |
| 一回限りの人生だからこそ、 |
| 二度とできない一回限りのことをしないと・・・・ |
| 開き直る |
| 「開き直った」と言えば聞こえはいいが、 |
| 要するに |
| それまで大事にしていた何かを捨てたということだ。 |
| 一度捨てると、もう二度と我が手には戻ってこないのだが、 |
| それでもいいと腹をくくった言葉である。 |
| 開き直らなければ前へ進めないこともある。 |
| 劣化 |
| 経年劣化が体のあちこちに現れる年になった。 |
| 部品交換というわけにはいかないので厄介だが、 |
| いたわりながら何とか使い続けるしかない。 |
| 「オレはどこも悪くない」と自慢する者は、 |
| 痛んでいるのに自覚症状がない、という劣化現象を背負っているのだから、 |
| あまり自慢げに吹聴しないほうがよいだろう。 |
| 同世代の中でそのことを自慢げに吹聴すると、 |
| 友達になろうとする人がいなくなる。 |
| 別れ |
| 自然消滅的に姿を見なくなった人は「別れた人」とは言わない。 |
| ”別れた人”と呼べるのは次の二通りだけだ。 |
| 去って行った人と置いてきた人・・・・・ |
| 自分の気持ちに反して、という意味では |
| 去って行った人の方が強く印象に残るが、 |
| 置いてきた人からみれば、自分が |
| 去って行った人になる・・・・・ |
| 追憶 |
| 若いうちは |
| 何十人、何百人もの人たちと関わりができて、 |
| 「記憶の箱」の中はごったがえしている。 |
| 不思議なことに、ある年になると、 |
| それらがきれいに整理されて片付いていることに気づくんだなあ。 |
| とっておきの人たちは、ちゃんと別の箱の中にまとまってくる・・・・・ |
| 箱のラベルには |
| 「追憶専用」と書かれている。 |
| 天命 |
| 今思えば、あれは”天命”であった・・・・ |
| 人は生涯に何度か”天命”とも言うべき役割を与えられる。 |
| 思い起こしてみるとよい。 |
| 人生の転機になった事実がどのようにして自分に近づいてきたか・・・・ |
| 自分から望んだわけではなく、 |
| 気がつけばそうなっていたはずだ。 |
| ”天命”であったとしか言いようがないではないか。 |
| あらゆることは自分の力で解決したと思い込みがちだが、 |
| ”天命”に従っただけなのかも知れない。 |
| 落とし穴 |
| 自分でつくった”落とし穴”に落ちる人はいないが、 |
| 他人がつくったように見えて、実は自分がつくった穴には |
| かんたんに落ちる。 |
| 「なぜこんな目に会うんだ!」と穴の中でもがき苦しみながら気づく。 |
| いつの間にかこんな穴を掘っていたんだ、と・・・・・・ |
| 自分のやり方で |
| 耳を傾けてもらえるかどうかはわからないが、 |
| 長く生きてきた者にまだできる仕事は、 |
| 人生における「落とし穴」の場所や、きれいな「花の咲く場所」を |
| 次の世代を生きる者たちに伝え残すことだと思う。 |
| 「大きなお世話だ!」と言われればそれまでだと承知の上で、 |
| 自らの経験から学んだ法則や例外をちゃんと示してやる・・・・ |
| やり方はいろいろあるだろう。 |
| 自分にできると思うやり方でやればいいと思うよ。 |
| あのとき |
| 今さらそんなことを・・・・・と思うことの中に、 |
| まぎれもない自分らしさが潜んでいる。 |
| かつてあのときに、それができなかったのはなぜか・・・ |
| あのとき実行をためらい、阻んだものは何であったのか・・・・ |
| 明快な答えが出せないとしても、 |
| それは今も自分の中に在るのだ。 |
| 疑う余地はない。 |
| 一日 |
| 目がまわるくらい忙しくて、一日があっという間にすぎていく・・・ |
| 何ものにも束縛されず、一日ゆっくりと時間がすぎていく・・・・・ |
| どちらも幸せな生活なんだなあ。 |
| 君にもいずれわかる。 |
| 持つ |
| 足らないことばかり気にしていると、 |
| あり余るほど手の中にあるものが見えなくなる。 |
| 十分持ってるじゃないか・・・・ |
| どちら |
| もう十分やった・・・と思えるからあきらめがつく。 |
| まだやれたのに・・・と思うから未練になる。 |
| スッキリしたければ、 |
| どちらなのかをまずはっきりさせなさい。 |
| 気持ちの整理は、そのあとのことになる。 |
| 何年 |
| あれから何年たったのだろう、と指を折って数えてみる出来事は、 |
| うれしいこと、悲しいことにかかわらず、 |
| 自分を人として成長させてくれた出来事だ。 |
| 五年たったのなら五年分、十年たったのなら十年分、 |
| 自分は人として大きくなった・・・・ |
| 二十年や三十年なら、 |
| それはもう自分の血肉の一部になっている。 |
| SL |
| SL(蒸気機関車)の人気が高いという。 |
| ならば、最新鋭の技術で新しく造ればいいだろうと思う。 |
| だが、それはやめたほうがいい。 |
| SLに人気があるのは、多くの人がその姿に |
| 「滅びゆくものの美学」を見ているからだ。 |
| 滅びゆく運命を背に、懸命に走るすがたに感動している。 |
| 姿かたちだけを似せても「美しく」ないのだ。 |
| 乗せてもらったおじさんたち世代とともに、 |
| やがて静かに消えていく運命だから美しい。 |
| もう一度 |
| あの人にもう一度会ってみたい、と思う人がいるだろう。 |
| 会ったら何を話すかを考えてみることだ。 |
| あれも話したい、これも話したいと次々に思いつく人ならいいが、 |
| 何を話したらよいかがすぐに思い浮かばないとしたら、 |
| その人には会わないほうがいいと思う。 |
| 会えばきっと後悔する。 |
| ほめる |
| 我ながらよくやった、とほめてやりたい・・・・・ |
| すばらしいことです。 |
| 自画自賛?自己満足? |
| いいじゃありませんか。言いたい者には言わせておけばいいんです。 |
| もう一度同じことをやれ、と言われても二度とできないだろうと思うなら、 |
| あれは確かに、我ながらよくやったことなのです。 |
| 弁当 |
| だれかのために「弁当」を作ったことがありますか。 |
| 弁当は、食べてくれる人がふたを開いたとき、 |
| どんな気持ちになるかを想像しながら作るものです。 |
| ”心遣い”とは何かを知りたければ |
| ぜひ弁当を作ってごらんなさい。 |
| 一度作ってみればわかります。 |
| 誇り |
| 自分の仕事に誇りを持て、と言う。 |
| 誇りを持って仕事をしたらどうなるのか・・・・ |
| むずかしい問題だが、一つ言えることは、 |
| そんなものを持たない人より、 |
| 職場にむかう足が軽くなるということ。 |
| 「誇り」というのは、 |
| 案外そういうものなんじゃないだろうか。 |
| 問題 |
| 解決できる問題だから今あなたの手の中にある。 |
| 解決できない問題は、 |
| はじめからあなたに近寄っては来ない。 |
| 弱点 |
| 望んでも手に入らないとわかっていても、欲しいと思うもの・・・・ |
| そう聞かれて答える中身が、 |
| あなたの最大の”弱点”です。 |
| 感謝 |
| 半人前の人間は、 |
| 感謝するということの意味を知らない。 |
| 対象は何であっても、 |
| ありがたい・・・という気持ちが芽生えた時、 |
| 人はようやく一人前になる。 |
| 判断 |
| 過去の判断を悔やんでみてもしかたがない。 |
| あのときはあれでいいと思ったのだ。 |
| 言ってみれば自分のまいたタネなのだから、 |
| その判断の結果訪れた現状を何とかしていくしかない。 |
| よく考えてみれば、人生はそんなことの連続・・・・ |
| 悔やまない判断を下したことなど、まれではなかったか。 |
| 願い |
| 願い、祈ればその思いは天に通じるという。 |
| まちがいなく通じるだろう。 |
| だが、 |
| 通じた願いをどうするかは、天の采配だ。 |
| 叶えてもらえないときもある。 |
| 強さ |
| 弱い人間が強くなる道筋はいくつもある。 |
| 見落とされがちだが、その中に「回避力」を身に付けるという方法がある。 |
| 正面切って相手と打ち合って倒れない強さではなく、 |
| 打ち合いになりそうな場面を避ける術だ。 |
| 無益な打ち合いを前以って避けることができれば、 |
| 十分「強い人間だ」と言ってもよいのではないか。 |
| 強そうに見える大木の枝がボキボキ折れる雪の時期、 |
| 強大な圧雪の下で冬を乗り切り、 |
| 来春に小枝一本さえも折らずに復活するしなやかな森の木々を見ていて |
| そう思う。 |
| 停電 |
| もしも今、五日間停電したら・・・と考えてみた。 |
| 灯りはランプがある、暖房は囲炉裏と石油ストーブでいいだろう。 |
| ガスがあるから煮炊きはできる、 |
| 水道が止まれば近くの沢にいって汲んでくる、 |
| テレビやパソコンが使えないのは仕方がない、 |
| 冷蔵庫や冷凍庫は使えなくても外に出しておけば十分すぎるほど冷える・・・・ |
| 不便はあるだろうが、電気なしでもしばらくは耐えられそうだ。 |
| オール電化?・・・ |
| そんなもの、田舎には縁のない話です。 |
| 学ぶ |
| 若い日、冬山に挑み、雪の中にテントを張って寝たことがある。 |
| 氷点下10度を下回る寒さの中で、熟睡などとても無理な話・・・・ |
| それでも、その厳しさ、過酷さが妙に心地よかった。 |
| バカなことをやっているなどとは決して思わなかったものだ。 |
| そんな体験が私のどこかで、これまでの人生を支えてくれた気がする・・・・・・ |
| 尋常ではない、厳しい環境の中にあえて身を置いてみるのも |
| 決して無駄ではないと学んだのではないかと思っている。 |
| 一日 |
| 笑って終わる一日も、 |
| 泣いて終わった一日と何一つ変わりはない。 |
| こころがどこを向いていたか、が違うだけだ。 |
| 鮭 |
| 鮭の遡上を見た。 |
| 何千匹もの鮭たちが、自分の生まれ育った川に帰ってくる。 |
| 傷つき、弱り切った体にムチ打って、懸命に上流を目指す姿に |
| 思わず目の奥が熱くなる。 |
| 産卵に適した川ならいくらでもありそうなのに、 |
| あくまでも自分の”故郷”にこだわる執念は見る者の心を打つ。 |
| 本当にごくろうさん。 |
| 産卵が無事終わり、いい子孫が残せるといいね。 |
| 隠す |
| おのれの強さを自慢し始めると、 |
| 当然あるはずの「弱さ」を隠すようになる。 |
| 弱さを隠した人間には、こわくて近寄れない。 |
| ほめる |
| たとえお世辞だとわかっていても |
| ほめてもらって悪い気はしない。 |
| 人間に「自尊心」という厄介なものがあるかぎり、 |
| ほめることは常に「善」・・・・・・ |
| この法則を大いに活用すべきだが、 |
| ほめられた経験の少ない人間は、 |
| 他人をほめるのが下手だということだけは |
| 十分肝に銘じておきなさい。 |
| 若者たちへ |
| 輝いている宝石は、自分が輝いていることを知らない。 |
| 君たちもその宝石と同じ・・・・「若さ」という名の宝石だ。 |
| 紛れもなく輝きに満ちた時間の中に今君たちはいる。 |
| 何をやってもいい、何に興味をもってもいい、 |
| 輝きのあるうちにうんといろんなことに挑戦してみてごらん。 |
| おじさんたちにはもうできないが、それができるのが君たち宝石の特権だ。 |
| 同時に、 |
| 「若さ」と言う名の宝石は、もたもたしていると、 |
| あっという間にその輝きを失うものだということも |
| どうか覚えておいてほしい。 |
| 起死回生 |
| 一発逆転、起死回生の秘策があればよいが、 |
| そんなものはそうそうあるものではない。 |
| 形勢が不利な時は、じっと息をひそめてチャンスの到来を待つ・・・・ |
| 好機はかならずやってくると信じて待つことも |
| 立派な”戦い”となる。 |
| 勝算もないのに討ち死に覚悟で飛び出していくのは「匹夫の勇」だよ。 |
| 長い短い |
| 若いころは「この先長い人生だから・・・」と言っていた。 |
| 年をとると「短い人生だから・・・」が口から出てくるようになる。 |
| 人生が長いものか短いものかは正直わからない。 |
| しかし、 |
| 大半を費やした今、思うのは |
| やはり、人生は思いのほか短いものだということ・・・・・ |
| これを若い人たちにどう伝えればよいだろう。 |
| 強いということ |
| かつて強さを誇った人ほど弱くなった自分が許せない。 |
| 年をとると、 |
| テーブルに足をぶつけると、テーブルに腹を立てて蹴飛ばすようになる。 |
| 本当は、情けない自分に腹を立てて |
| テーブルに八つ当たりしているだけなのだが・・・ |
| そんな厄介な兆候が表れたら、 |
| うんと自分をいたわってやるのがいいだろう。 |
| 性分 |
| 自分ではどうにもならない、自分固有の行動様式を |
| 「性分」という。 |
| ”懲りないやつだ”と言われるのもそれが原因・・・・ |
| だが、この”性分”、 |
| 自分の行動を自分で納得するには役に立つ。 |
| 「まあ、オレの性分だから、しかたがないか・・・・」 |
| それでずいぶん助かったこともあるだろう。 |
| そうなんだ、性分なんだ、と思えば済むことは多い。 |
| 冬 |
| 「春夏秋冬」は「起承転結」に通じる自然の摂理である。 |
| ゆえに、冬は「結」なのである。 |
| 何かが終わろうとしている。いや、終わらせなくてはならない。 |
| 来春が「起」になるために・・・・ |
| まだ引きずっているものがあるなら、 |
| 冬の間にはやく結んでしまうことだ。 |
| 奥深い味 |
| 心せよ。 |
| 人生の奥深い味は、 |
| 一挙にではなく、じわじわとやってくるものだ。 |
| 小さなことでも心が温まり、「いいもんだな」と思える時間が |
| やがて大きな満足と喜びをつれてやってくる。 |
| 今日の、小さな喜びを存分に味わっておきなさい。 |
| 分水嶺 |
| 残りの人生、このままでいいんだろうか、 |
| 漠然とした不安のうねりが次第に大きくなっていく・・・・・ |
| 心配いらない。そんな時はだれにもあるものだろう。 |
| 問題は、いつそのことに気づき、どういう答えを出すか、ということ。 |
| もたもたしていると、 |
| まるで”分水嶺”に立っている人間のように、 |
| 反対側に下りて行った人を、黙って見送るしかない。 |
| 分水嶺は、いつまでも立っているところではない。 |
| カラオケ |
| カラオケができて、 |
| 宴会や酒席がおもしろくなくなった、と感じている人は多いだろう。 |
| 聴きたくもない他人の歌を聴かされ、 |
| 歌いたくもない歌を無理やり歌わされ、 |
| 会話をしようにもうるさすぎてどうしようもない。 |
| カラオケに罪はないが、 |
| 盛り上げるための「創意工夫」の余地がないのだ。 |
| 宴会も一つのイベントなのだから、 |
| 智恵を出し、工夫して盛り上げるものではないのか・・・・・ |
| カラオケなどなかったころの宴会を経験したおじさんたちの、 |
| 素直な感想だ。 |
| 森の幼稚園 |
| 園舎もなく、園庭もなく、森の中が遊び場という幼稚園がある。 |
| 朝から一日中、森にでかけてさまざまな体験をしている園児たちの様子を見て、 |
| わけもなく感動した。 |
| そんな幼稚園を作ろうと思った先生たちと、 |
| そんな幼稚園で我が子を学ばせたいと思った親たちにだ。 |
| 子どもにとって「大切なもの」の尺度が街の幼稚園とは違っているのだろう。 |
| 森の幼稚園で学んだことが、その後の人生にどうかかわるのか、 |
| それはまだわからない。 |
| だが、 |
| きっと何か、かけがえのないものが育っている、と |
| 先生や親たちは考えている。 |
| 巣立ち |
| かつて涙と共に故郷を離れた体験がある。 |
| 汽車の窓から見える見慣れた風景がそっと見送ってくれた・・・・・ |
| 寂しさや切なさや、この先どうなるのだろうという心細さで |
| なつかしい景色も涙でかすんだことを思い出す。 |
| 今思えば、あの時がまぎれもなく私の”巣立ち”であったのだと思う。 |
| それ以後、巣に立ち寄ることはあっても |
| 二度と巣に戻ることはなかったから・・・・・ |
| 手を見る |
| ・・・・働けど働けど 我が暮らし楽にならざり ぢっと手を見る・・・ 石川啄木 |
| そうですか・・・手を見るんですか。 |
| なるほどねえ、わかる気がするなあ・・・ |
| そんなときに足を見る人はいない、なんて無粋なことは言いません。 |
| 自分の手を、じっと見るんですよね。 |
| 知らせ |
| うれしい知らせが届いたら、素直に喜ぶことだね。 |
| 届けてくれた人が、 |
| 「あなたもいっしょに喜んでほしい」と思って知らせてくれたものだろう。 |
| どうでもいいと思っている人に、 |
| そんな知らせは届けないものだ。 |
| 石 |
| 人生は、一つひとつ石を積み上げていく営みだと言われる。 |
| 積む石は、上にいくほど次第に小さいものになっていくだろう。 |
| そうしないと崩れるからだ。 |
| ならばぜひ、心にとめておきなさい。 |
| 最初に大きな石を積むほど、上にのせていく石も大きいものが積める。 |
| そう・・・若いころにどれだけ大きな石を積んだかで、 |
| 晩年に積む石の大きさも変わるということだ。 |
| 不器用 |
| 不器用にしか生きられない、と言うと、 |
| 何だか情けなくて、つまらない人間だと思われがちだが、 |
| 不器用な人間は生きることが下手だということではない。 |
| 要領のよい、器用な人間のようにできたらいいと思うことはあっても |
| どこかでそんなことはしたくないという気持ちになるだけ・・・・ |
| 不器用な人とは、そう思ってしまう人間なのだ。 |
| 判断 |
| パソコンのソフトに「バージョンアップ版」というものがある。 |
| かつては「今か、今か」と待ちわびたのに、 |
| そんなものを必要としなくなるばかりか、 |
| かえって迷惑だとさえ思うようになったら、 |
| 自分も年をとったと思ってまちがいない。 |
| 男 |
| 男には、「オレは男だから・・・」と |
| 自分に言い聞かせて決断する場面が幾度かあるものだ。 |
| それはどんな強力な武器よりも、勇気を与えてくれる。 |
| そう言い聞かせてやったことには |
| 不思議と後悔するものは少ない。 |
| 夢のような話 |
| 初めは「夢のような話だね。」と言われる。 |
| 実現して「夢のような話」ではなくなると、 |
| かつてそう言った人たちは口をそろえて、 |
| 「無茶なことをするもんだ。大丈夫なのか?」と言う。 |
| どうせ夢だからと思っていたものを現実のものにしてしまった者への |
| 密かな羨望(せんぼう)がそう言わせる。 |
| 出来過ぎ |
| 目指すなら「まあ、こんなものかな」を目指しなさい。 |
| まちがっても、 |
| 「こりゃあ、出来過ぎだ」を目指してはなりません。 |
| 出来過ぎると、次から自分にはその力がある、と |
| とんでもない勘違いをしやすいものです。 |
| 会話 |
| <Aさんの場合> |
| 父:「好きな女の子はいるのか?」 |
| 息子:「ああ、いるよ」 |
| 父:「どんな子だ?」 |
| 息子:「どんなって・・普通だよ」 |
| 父:「親は何をしてる?」・・・ |
| ・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
| <Bさんの場合> |
| 父;「好きな女の子はいるのか?」 |
| 息子:「ああ、いるよ」 |
| 父:「その子のどこに惹かれたんだ?」 |
| 息子:「いつも笑顔でいるところかな」 |
| 父:「そうか、いい人に出会えたな」・・・・・ |
| 心残り |
| 人には、大きな心残りがひとつある、という。 |
| 私のそれとあなたのそれが、 |
| 同じであってくれるとうれしい。 |
| 底 |
| 落ち込んでいては何も始まらないが、 |
| 落ち込んで、一度「底」を見ておかないと、 |
| 這いあがる勇気はわいてこない。 |
| 「ここが底だ」と思った時に、それまで下ばかり見ていた人間が |
| 初めて上を見上げる。 |
| そうしたかった |
| 自分もできればそうしたかった、と思いつつ、 |
| それとは反対の生き方を選ぶ人がいる。 |
| 彼の目の前に、「そうしたかった」と思う生き方を貫く者が現れると、 |
| 目障りで気になってしょうがない。 |
| そこで、何とか自分の仲間に引き入れようと画策する人が出てくる。 |
| やめておけばよいのに、力を入れれば入れるほど、 |
| 自分がみじめになる。 |
| 素直に「彼は彼、私は私」・・・でいいのだ。 |
| 階段 |
| 階段は一段ずつゆっくり上るものだ。 |
| 中には二段跳びで上る輩もいるが、 |
| 上から下を見下ろして優越感に浸れるのもわずかの間・・・・ |
| やがてみんな上り終わる。 |
| そこに立てば、 |
| 「オレは二段跳びで上って来たんだぞ」と威張ってみても、 |
| 何の意味もない。 |
| 階段は「人生」である。 |
| 我が道 |
| だれがどう思おうと知ったことではない、我は我が道をゆく・・・・・ |
| というのは、潔くてカッコいいが、 |
| これを実行するのは生易しいことではない。 |
| しかし、あこがれる。 |
| ならば、あこがれが残っているうちに |
| せめて”我が道”が見える地点には立つことだ。 |
| 歩きはじめるのは少し先でも、道が見えていれば間に合う。 |
| 自負 |
| 「オレが必要なら黙ってついてこい」と言える先輩であれ。 |
| おまえたちには負けぬ経験と技は持っている、という自負があれば |
| 見込みのある若者は必ずついてくる。 |
| 若者がいくら望んでも手に入らないそれらの経験と技は |
| 彼らにはこの上なくまぶしく見えるものだ。 |
| 師匠 |
| ”師匠”と呼べる人を何人持っているか・・・・ |
| 人間として成長したかどうかを知りたければ、指を折って数えてみるとよい。 |
| ”師匠”とは、 |
| その人のおかげで大切なものを得ることができた人のことである。 |
| 人間 |
| 悲しいことを分かち合う人はいなくても何とかやっていける。 |
| だが、 |
| うれしいことをいっしょに喜んでくれる人はいてほしい。 |
| それが人間だろう。 |
| 闇(やみ) |
| 夜空の星があんなにも輝いて見えるのはなぜだか知ってるかい? |
| 星たちのまわりを暗黒に保ってくれる名もなき「闇」があるからだ。 |
| 輝く星を話題にすることはあっても、 |
| 彼を支える闇を美しいと讃える人はいないだろう。 |
| 闇が美しいから、星が輝くんだ。 |
| 人間もきっと同じだよ。 |
| 試練 |
| 「天は乗り越えられる試練しか与えない・・・・」 |
| なるほど、 |
| 難題に直面したとき、 |
| そう考えてみるのも一つの手だと思う。 |
| 誇り |
| 信念を持ち、それを貫いて生きるというのは容易ではない。 |
| そんなものとは無縁の人たちからは |
| ただ「意地をはっている」としか見えないのかもしれない。 |
| しかし、 |
| その”意地”が大事なのだ。 |
| ”意地”として貫き通したものは、晩年、間違いなく自分のひそかな誇りとなる。 |
| 呼び方 |
| 他所で自分の妻や夫のことを何と呼ぶか・・・・ |
| これは結構悩ましい問題である。 |
| 妻、女房、かみさん、家内、奥方、細君、ワイフ、かあちゃん・・・・・・ |
| 夫、主人、だんな、亭主、宿六、とうちゃん・・・・・・ |
| どれを用いるかで、夫婦の関係がおよそ推察できるだろう。 |
| 厄介だと思うなら、「つれあい」と呼ぶのが差し障りがないという話だが、 |
| つれあい?・・・・・ |
| やっぱり何だかしっくりこない。 |
| 感動 |
| 絵の描ける人は絵にすればよい。 |
| 詩や文章に自信のある人はそれで表わせばよい。 |
| カメラが好きな人は写真に撮ればよい。 |
| 手段にかかわらず、自分の手で創作したものを生み出せ。 |
| それらを見れば、自分がどんなものに感動したのかが分かってもらえる。 |
| と同時に、 |
| どんな人間なのかをわかろうとする人も出てきてくれるだろう。 |
| 表現することにはそんな力がある。 |
| 過去 |
| 歳をとると、過去を振り返る機会が多くなる。 |
| あんなこともあった、あんな人もいた・・・・ |
| しかし、なつかしむことはあっても、 |
| 若いころと違って、決して深く追究しようとはしなくなる。 |
| そんなことをしても、何の意味もないと思うからだ。 |
| 過去とは何か、その意味が黙っていても次第にわかってきて、 |
| 出会いも別れも、すべてが |
| 「つまり、そういうことだったのだ」と思えるようになる。 |
| 世代 |
| おじさんたち世代の青春時代のBGMは”フォークソング”だった。 |
| ギター一本でつくりだす世界は、 |
| 若い君たちの聴く音楽の世界とはまるで違うが、 |
| こころを揺さぶる名曲がたくさんあったんだ。 |
| あの頃、そんな歌を聴かせてくれて輝いていた人たちも |
| みんな”いい歳”になった・・・・ |
| 歌も歌い手も、みんな一緒に時代を生きてきたんだという気がする。 |
| 親 |
| 自分が親になってはじめて”親のありがたさ”を知るという。 |
| ここまで育ってきたのは自分一人の力ではなかった・・・・と |
| 幼いわが子を見ていると気がつくからだ。 |
| 健在でいる親なら、今だって君たちのことを誰よりも心配している。 |
| どんな些細なことでも共に喜んでくれ、 |
| 病気になればまっ先に心配してくれる・・・・・ |
| この世で唯一利害損得抜きで存在する・・・・それが”親”だ。 |
| そして今、そんな親に、君たちもなろうとしている。 |
| 知識 |
| 人は勉強や経験を積んで多くの知識を得るが |
| 知識は、ただ頭に詰め込んだだけでは役には立たない。 |
| だが、 |
| 知識と知識をつなぎ合わせたり、知識を土台にして推論したりすることで、 |
| 無限の可能性が生まれる。 |
| 創意工夫ができるのは「知識」のおかげだということも |
| 大切な「知識」の一つである。 |
| 紅葉 |
| 山の木々が一斉に紅葉を始めた。 |
| 冬の足音を聞きつけたのだ。 |
| 恐るべき”感性”である。 |
| わが身を守り、来春まで生き延びるためのあらゆる手立てを |
| 彼らは人間などにはお構いなく着々と進めている。 |
| 紅葉を愛でるなら、 |
| 頑張って生き延びろよ、とぜひ声をかけてやれ。 |
| 輝き |
| かつてあれほど輝いていたものが |
| 気が付けばいつの間にか色あせている・・・・ |
| 時間とともにたしかに色は変わるが、 |
| それでも輝きの輪郭はまだ明瞭だろう。 |
| 輪郭まで曖昧になったら、 |
| つまり、輝きそのものを疑うようになったら、 |
| それはもはやあなたの”もの”ではない。 |
| つながり |
| 人間は一生の間にいったい何人くらい、 |
| 名前と顔が一致する知人を持つことができるのだろうね。 |
| 名前が思い出せなくても、顔は浮かんでくる、という人なら |
| もっと多くなるだろう。 |
| 彼らがみんな自分のことを覚えてくれているかどうか、は定かではないが、 |
| みんなどこかで自分とつながったことのある人たちだ。 |
| その人がいなければあの場面はなかった、という意味では |
| 自分の人生を共に築いてくれた人たちとも言える。 |
| みんな達者で暮らしていてほしいと思う。 |
| 成熟 |
| 実力は伴わないのに、体裁だけは一人前、という光景によく出くわす。 |
| 一時的に周囲をだませても、いずれ化けの皮がはがれる。 |
| 要するに「成熟」していないのだ。 |
| 人を引きつけ、うならせるには十分に熟すことが必要なのだ。 |
| 今は無理でも、経験と努力でやがて熟す時は来る。 |
| それまでは、実力がないのだから、それを隠さず、”未熟”であれ。 |
| 未熟だからとバカにされることを恐れるな。 |
| 人でも組織でも、「成熟」には時間がかかるものだ。 |
| 意味 |
| 今やっていることに何も価値が見い出せない時があるもんだ。 |
| やっていることすべてが無意味に思えてくる・・・・・・ |
| 空しいよなぁ、そんな時は・・・・ |
| だけどね、 |
| だからと言って放り出せないのなら、 |
| 何とか食らいついていくしかないだろう。 |
| そのうちきっと、意味を教えてくれる人が現れる。 |
| 君が一度も考えたこともなかったような視点でね。 |
| 淋しい人 |
| その立場や職に与えられた「権限」なのに、 |
| それを「権威」や「権力」と勘違いする人がいる。 |
| そんな人を何人も見てきた。 |
| 淋しい人だな、といつも思っていた。 |
| 陰陽 |
| 磁石の”プラス”と”マイナス”が教えてくれることがある。 |
| 同極同士は反発し合い、異極同士は引き合う。 |
| この法則を身近な人たちにあてはめてみるとよい。 |
| なるほど、と思い当たることはないだろうか。 |
| つまり、そういうことなんだな。 |
| しあわせ |
| ささやかでも、達成感や満足感が得られればうれしいものだ。 |
| それを仲間と分かち合えたら、なおうれしい。 |
| やってよかった、また頑張るぞ、と思えれば最高だ。 |
| 高望みしなければ、 |
| ”しあわせ”はいつもすぐそこにある。 |
| 魅力 |
| だれかにほめてもらいたい、自分を認めてもらいたい・・・・・ |
| そう思ってやっていることって、結構あるもんだよ。 |
| 動機としては、決して崇高なものではないかもしれないが、 |
| それでも懸命にやっている姿が、 |
| やがて君の魅力になっていくんだよ。 |
| ほめてもらいたいから、 |
| 人は頑張れるんだ。 |
| 意味 |
| やりたいことがあって、やれる時間があって、やる気力と体力がある。 |
| やってみる、その結果に自分で満足する・・・・・ |
| そんな状態で暮らすことを「悠々自適」という。 |
| ただ時間と暇を持て余していることではない。 |
| 素数 |
| 1とその数以外で割り切れない数を「素数」という。 |
| 2、3、5、7、11、13、17、19、・・・・・・ |
| なぜこのような数が存在するのか、 |
| 不規則に表れる素数の並び方にはどんな意味があるのか、 |
| 世界中の数学者たちがその謎に挑んでいるという。 |
| この宇宙を創りだした法則に何か関係があるのではないかという仮説を |
| 懸命に立証しようとしているらしい。 |
| 凡人には全く縁のない話であるが、 |
| 謎、秘密と聞くと何やら面白そうな話である。 |
| さびしい |
| さびしいから人恋しくなる。 |
| 人恋しくなるからさびしくなる。 |
| どちらもほんとうだと思う。 |
| 要するに、だれか一人がそばにいれくれればいいんだよね。 |
| さびしいときというのは、 |
| なぜか、自分のまわりが妙に静かなんだなぁ・・・・・ |
| 情熱 |
| 一本のろうそくにともる灯だけを生涯描き続けた画家がいる。 |
| たまねぎだけを何百枚も描き続けた画家がいる。 |
| 感動する。 |
| 描かれた絵もさることながら、 |
| そこまで追い求める執念に似た”情熱”に感動する。 |
| 上司 |
| ”いい上司”とは、 |
| 公平に命令する者でもなく、物わかりのいい者でもない。 |
| 普段はどうでも、部下がいちばん困っている時に、 |
| その原因を指摘し、解決策を短い言葉で指示できる者だ。 |
| いくら経験を積んでも、人間というものを理解しようとしない者には、 |
| とうていマネはできないだろう。 |
| 彼岸 |
| 川の向こう岸を”彼岸”という。 |
| 橋がない時代には、そこに広がる景色や風土は |
| 想像してみるしかなかった。 |
| がむしゃらに道をつくり、橋を架けて |
| 見てみたいという思いは何とか実現したが、 |
| こちらと何も変わりはなかった・・・・ |
| 向こう岸などというのは、そういうものだ。 |
| 憧れているうちがいい。 |
| 筋肉痛 |
| 歳をとると、筋肉痛は二日後か三日後にやってくる・・・という話を |
| なるほど、と納得できる年齢になった。 |
| なぜすぐに痛みが表れないのか、と考えてみた。 |
| 医学的なことはわからないが、 |
| すぐに反応すると「オレはまだ若い!」と勘違いして、 |
| 無理を重ねてしまうからだろう。 |
| 「お前はもう若くない」と忠告してくれているのだ、と理解している。 |
| 風 |
| 掛け替えがなく、なくてはならないものだと気づくのは、 |
| 何かの拍子に心の中に一陣の風がさっと吹き抜けた時・・・・・・ |
| 飛んで行かないように、思わずおさえたものが、 |
| いまのあなたにとって、最も大切なものです。 |
| 父 |
| 子どもたちがそれぞれ独立し、時間が経っていくにつれて、 |
| 父親の存在感は薄れていくものだと多くの父親は感じていることだろう。 |
| ”果たすべき役割”が終わったのだ。 |
| 母親には我が腹を痛めた記憶があるので、もう少し役割は続くだろうが、 |
| さて、そうなると父親はどうすればよいか・・・・・ |
| ”父親として”彼らの目の届くところに立ってやっていればよいのだと思う。 |
| 存在そのものが、残された役割だ。 |
| 思い出す |
| 人類の歴史上、最も古い表現方法は「踊り」と「絵」である。 |
| 無心に遊ぶ幼子を見るがいい。 |
| この両方を存分に楽しんでいるではないか。 |
| 多くの人は、描く、踊る楽しさを少しずつ忘れながら大人になっていく。 |
| ときどき、「心が踊る」、「空想を想い描く」経験をしながら |
| それらを思い出してはいるが・・・・・ |
| 批判 |
| 事が終わってからその結果を批判することなら誰にもできる。 |
| 批判するなら、 |
| 結果が出る前、事が行われる前にするべきだ。 |
| 白い目で見られるだろうし、気まずい雰囲気になるかもしれない。 |
| その度胸がないなら、一切口を開くな。 |
| それが礼儀だ。 |
| 温存 |
| ややこしいこと、めんどうなことに立ち向かうには |
| それなりのエネルギーが必要です。 |
| そんな余力はない、と思うなら今は近寄らないことですね。 |
| それでも向こうから押しかけてくることもあるので、 |
| その時のためにエネルギーは温存しておく・・・・・ |
| それが正しい年寄りの在り方だと思います。 |
| 恐れ入りました |
| 思いもよらぬ事態が、思いもよらぬ時にやってくることがある。 |
| そうなったら仕方がない、じたばたせずに何とか乗り切るしかない。 |
| 方策はただ一つ・・・・ |
| 決して後ろ向きに背中を見せながら、逃げの態勢で向き合わないこと。 |
| 解決を迫ってわが身にやってきたのだから、 |
| 最後まで正々堂々と面倒をみてやって、 |
| 「恐れ入りました」と言わせてやれ。 |
| 背中を守る |
| 後のことは引きうけた。 |
| 後顧の憂いなく、存分にやってきなさい・・・・・ |
| 難問に立ち向かおうとするとき、 |
| かつてそう言ってくれた”人生の師”がいた。 |
| 前なら自分で守れるが、 |
| 背中を守ってくれる人間がどうしても必要なときがある。 |
| できる人 |
| ほんとうに「できる人」とは、 |
| 平素から自分の能力や才能を存分に発揮する人ではない。 |
| そんな人は確かに有能で「できる人」だろうが、 |
| 必ず敵対するか、快く思わない人が現れて摩擦が起こる。 |
| ふだんは目立たないが、ここぞというときに |
| さりげなくだれも思いつかない方法で難題を解決できる人・・・・・ |
| ほんとうに「できる人」とは、そういう人を言うのだろう。 |
| 怖い人 |
| 仕事でも私生活でも、つき合っていて |
| ”怖い”と思う人がいる。 |
| ”怖い人”とは、 |
| 自分の持っていないもの、弱点を絶えず撃ち続ける人である。 |
| 怖いのだが、その人から言われたことは |
| 知らず知らず体の中に溜まっていき、 |
| 何年かあとになると、自分を立派に支えてくれていることに気づく。 |
| ”怖い人”にはぜひ出会うべきだ。 |
| かつて |
| 今君の目の前にいるおじいちゃん、おばあちゃんたちは、 |
| かつてロングヘアーで街を闊歩し、 |
| ミニスカートをはいて美脚を競った人たちです。 |
| 「うそっ!マジですか?」 |
| マジです。 |
| 安住の地 |
| いまいるところが居心地のよい、落ち着くところなら言うことはない。 |
| だが、そうでないなら、 |
| 早く手を打ったほうがよいと思う。 |
| そこが「安住の地」であるかどうかは、 |
| 幸せに生きられるかどうかの第一関門だからだ。 |
| すべての運気はまず寝起きする場所に左右される。 |
| 純朴 |
| 田舎で暮らす子どもは”純朴”だという。 |
| 有り余る自然の中で暮らしている、ということもあるだろうが、 |
| もっと大事なことは、 |
| 働く親や祖父母の姿を間近に見て育っているからである。 |
| 働くということの意味や厳しさを、幼いころから学べば、 |
| 少なくとも「頭でっかち」な子どもには育たない。 |
| 彼らのくったくのない笑顔は、 |
| 両親や祖父母たちが自らの背中を見せながら創っているものだ。 |
| いのち |
| 野辺に咲く野草の可憐で、 |
| 清楚な美しさに気がつき、感動できるようになったなら、 |
| もう君も立派な「熟年」だね。 |
| 人として熟さない、未熟な人間には、 |
| それらはただの「雑草」としか見えないだろうよ。 |
| 感動できる君には |
| まちがいなく「いのち」というものが見え始めているのだ。 |
| 対案 |
| 的を射た鋭い批判はするのに、一向に信望の集まらない人がいる。 |
| 批判はできても「自分ならこうする」という「対案」の出せない人である。 |
| つまり、 |
| ただ”ケチ”をつけているだけなのだ。 |
| 知的 |
| 「知的な人だ」と言われる人は、決して博識を誇る人ではない。 |
| 多くの人が感情的になる場面でも、 |
| ものごとの判断を冷静に、論理立てて行える人だ。 |
| そのために多少の知識は必要だろうが、 |
| 問題は知識の量ではなく、深い「洞察力」である。 |
| 先の、先の、先を読む力である。 |
| 人間を「知的な人」と「情的な人」に分けるとしたら、 |
| 君はどちらに入るんだろうね。 |
| つぶやく |
| テレビの番組表を見ていて思う。 |
| ”ゴールデンタイム”と言われる夜の7時〜8時台にならぶ番組は、 |
| 我々世代にはとてもじゃないが馴染めないもの・・・・ |
| 狙いは少なくともあなたたちではない、と放送局に言われている気がする。 |
| 折しも、全国の統計で65歳以上の人が人口の25%になったと伝える。 |
| 団塊世代の高齢化は今後ますます加速するだろう。 |
| 4人に1人を占める我々を締め出しておいて、こんなことを続けていると、 |
| 今に見ていろ、やがて手痛い目にあうぞ、と |
| リモコンのチャンネルボタンを変えながら一人つぶやいている。 |
| 迷った時 |
| 迷った時は、 |
| 尊敬する先輩の真似をせよ。 |
| 頑張ってもなかなか先輩の通りにはいかないかもしれない。 |
| だが、 |
| 見よう見まねでもいいから真似をしていれば、やがて何かが見えてくる。 |
| 目標 |
| 多様な価値観や生き方を持つ者が集まる集団や組織だから、 |
| それらを一つにまとめてある方向に動かすというのは難しい。 |
| そこで、否応なく全員が達成しなくてはならない”目標”が設定される。 |
| 確かに外見は全員が一つの方向へまとまって進んでいるように見える。 |
| 問題は、だれもその目標の意味や価値を評価できないときだ。 |
| 「やっている」のではなく、「やらされている」と感じる時だ。 |
| そんな目標は、仮に達成できても、 |
| 何一つ”達成感”は生まれないし、 |
| 立案し、推し進めた者への不信感だけが強くなる。 |
| みんなが生き生きと立ち向かえる目標をつくりだすのも |
| 指導者、管理職の資質である。 |
| 迷わず |
| この世で一番美しいものは?と問われたら |
| 迷わずこう答えよう。 |
| 泥水の中にあっても気高さと気品を失わず、 |
| 泥水を飲んでも泥に染まらず、 |
| 泥水までをもきれいだと思わせるもの・・・・ |
| 涙 |
| 悲しいわけでもないのに、ふいに涙がこぼれる・・・・ |
| 魂の一番やわらかいところに、何かが突き刺さったのだ。 |
| めったにない事だが、 |
| そんな体験をしたとき、 |
| 人はまちがいなく、何かが変わる。 |
| 福岡弁(?) |
| いったいアンタたちゃ、どげーなっとーと? |
| ちゃっちゃくちゃらじゃなかね。はっきりしんしゃい。 |
| どげーこげーゆうたっちゃ、つまらんばい。 |
| やるならやる、やらんならやらんと、はっきりさせんね。 |
| そげなところでゴチャゴチャゆうとらんで、 |
| はよう態度ば決めんしゃい。 |
| 編み出したもの |
| 他の誰にもマネのできないことを君はやっている。 |
| 今、君の置かれている環境や境遇を君の才覚で生きているということ・・・・・ |
| 君は、そう生きろと誰かに言われたのではないだろう。 |
| 多少の不満や不安はあっても、 |
| 今ある君の現実は、紛れもなく君が君自身で編み出したものだ。 |
| 大したもんじゃないか。 |
| 自信を持って、胸をはって、今日も行ってきなさい。 |
| 安い |
| 私もそうだが、 |
| 誰しもガソリンを入れるときに、一円でも安い店をさがす。 |
| 店も一円や二円の違いを強調して客を誘う。 |
| 今はかつてと違って価格が店頭に表示されているので、余計気になる。 |
| だが、あらためて考えてみれば、 |
| 一円安くても、30リットルで30円だ。 |
| 30円がないと困る人間は、車なんぞに乗るはずがない。 |
| みんな何かに踊らされている気がする。 |
| 若者たちへ |
| 傷つくことを恐れる気持ちは、 |
| 歳を重ねるたびに強くなる。 |
| 傷だらけになってもなお道を探せる気力と勇気は、 |
| 君たち若者だけの特権だ。 |
| 若者たちよ。 |
| 傷つくことを恐れてはならない。 |
| 我々年配者にはない、立ち直るための驚異的な復元力が |
| 君たちには備わっていることを忘れないでくれ。 |
| 経験 |
| 男女が互いに惹かれあっているのに、結局別れていく・・・・・ |
| 映画やテレビでそんな場面に出会うとなぜか心が騒ぐ。 |
| なぜもう一歩を踏み出さないのか、というもどかしさ、 |
| きっと後悔するぞ、という歯がゆさがそうさせる。 |
| かつて”失恋”の経験を一度でも持った者は、 |
| なぜか例外なくそう思う。 |
| 役割 |
| 若い人たちがさも当然のように甘受している”文化”に |
| 年配者たちはなかなかついていけない。 |
| いつの世もそうやって世の中が動いていくのだろうから、 |
| それはいい。 |
| 年配者に役割があるとすれば、 |
| それは |
| 頑固に、少し前の”文化”が錆びつかないように磨くことだ。 |
| 自慢話 |
| 優越感がチラホラ見え隠れする”自慢話”は鼻につくものだ。 |
| おまけにそんな自慢話は、大抵くどくどと長くなる。 |
| 自慢したければ、短く一回だけ・・・・を心がけよ。 |
| 聞く者が「もっと聞かせろ」と言えば、そうすればよい。 |
| 自慢話とは、 |
| 自分で慢心に陥る話のことである。 |
| 迷った時 |
| どちらにするか迷うことがある。 |
| 言えることは、 |
| 迷った時は大変な方を選べ。 |
| 大変な方を選んでおけば、 |
| 将来の選択肢がそれだけ多くなる。 |
| 問い |
| 勉強しろ!と我が子に迫る親や学校の先生たちは、 |
| 「どうして勉強しなければいけないの?」という子どもの問いに、 |
| 何と答えるのだろう。 |
| 一つの答えがここにある。 |
| 娘:「なんで学問をするの?学問をしたらどんないいことがあるの?」 |
| 父:「学問をすれば自分で考えることができる。自分で考えることができれば |
| 人間、どこにいても生きていける。」・・・・(山田洋次監督「たそがれ清兵衛」より) |
| 秩序 |
| 酷暑でカラカラに乾いた大地に恵みの雨が降る・・・・・・ |
| 地中にしみこんだ雨は、 |
| 複雑に絡まり合った木々や草花の根に |
| 公平に水を分け与える。 |
| 彼らの誰一人、水を独り占めしようとする者はいない。 |
| 我々には見えない地中には |
| 大木も小さな野草もわけへだてなく水を受け取って、 |
| ともに潤う、美しい秩序がある。 |
| 夫婦とは |
| 些細なことに泣いたり、笑ったり、怒ったりしながら、 |
| 長い時をかけて同じ時間を静かに積み上げていく。 |
| そして積み上げられた時間を二人の歴史として紡いでいく営み・・・・・ |
| それが互いに必要とする人と生涯いっしょに暮らすということだ。 |
| 反骨 |
| 振り返ってみて、納得できないことに逆らったことはあるだろうか。 |
| 周囲の視線をはね返して、反骨の精神を貫いたことはあるだろうか。 |
| 「あのときは、我ながらよくやった」と、 |
| 自分をほめてやりたくなることはなかったか。 |
| 気まずくなる人間関係やある種の不利益を覚悟して、 |
| 慣習やしがらみ、常識だと思われていたことにあえて反発する意思を、 |
| 自分の態度や生き方で示すことは、容易なことではない。 |
| だが、 |
| それが一つでもできたなら、「オレはオレだ!」と胸を張って、 |
| これからも生きていける。 |
| 花 |
| 庭に咲く花を切って花瓶に生ける・・・・・ |
| 部屋の中が華やかになる。 |
| やがて実をつけ、種を育てようと懸命に生きてきた花々は、 |
| その望みを絶たれた”無念さ”を黙って飲み込むしかない。 |
| その無念さを人間はきれいだと言いながら楽しんでいる。 |
| 失敗 |
| そりゃ長く生きてりゃ、私にだって痛恨の失敗の一つや二つはあるさ。 |
| その時にはずいぶん落ち込んだものだが、 |
| 今思えば、いい勉強になったと思う。 |
| もう少し長く生きてごらん。 |
| 君にもきっとそう思える日がくる。 |
| 世間体(せけんてい) |
| やってみたい気持ちはあっても、 |
| もうそんな歳ではない、と思うことは多い。 |
| 体力的な問題でそう思うのなら仕方がないが、 |
| ”世間体”がそう思わせているなら、 |
| まったく愚かなことだと思うよ。 |
| やってみたけりゃ、やればいいんだ。 |
| 今やっておかないと、もう二度とできないと思うよ。 |
| 人目なんかを気にしている場合ではないだろう。 |
| 負け惜しみ |
| 「負け惜しみ」の真意は、 |
| 負けるはずはないと思っていた相手に敗北を喫してしまった悔しさだ。 |
| 読みが甘かっただけのことだが、 |
| それが自分で素直に受け入れられないときに口に出る。 |
| 心得ておかなければならないのは、 |
| だれもそれを聞いて賛同や同調はしてくれないということ。 |
| ここは潔く負けを認める場面だとわかっているから・・・・ |
| 支え |
| 運動会で一番盛り上がるのは、「地域対抗」のリレー。 |
| 今いる場所がどこであろうと、 |
| 高校野球で応援するのは自分の出身県の高校・・・・ |
| 人が「社会や地域」をつくり、育てながら、その中で暮らしている、ということを |
| 思い知らされる瞬間だ。 |
| 「おらが村」、「おらが故郷」という意識は |
| 人間のもっとも深いところで消えることなく、 |
| その人間を支えている。 |
| 番 |
| 自分の思い通りに事が運んだら、こんなにうれしいことはないが、 |
| そりゃ、うまくいかないことだってあるさ。 |
| そのかわりにだれかが、うまくいったと喜んでいるのだろう。 |
| なぁに、心配しなくても、こんどはきっと君の番だよ。 |
| 創造 |
| 「創造する」ことの大きな意味は、 |
| そうするための時間が残り少なくなってきたころに、初めてわかる。 |
| 何かを自らの手で生み出し、形を与え、後世に残す・・・・・・ |
| 少なくとも自分よりは長生きして、後の時代を生きてくれるものを |
| 何か一つでも残しておきたいと思うようになる。 |
| 子どもを育てるのも、作品を創るのも、 |
| みんなそういうわけだからだろう。 |
| プロ |
| ネットの普及でテレビ離れが進んでいるそうです。 |
| 娯楽の多様化はテレビ局には手ごわい相手でしょうね。 |
| 近ごろ、「骨太」の番組が見られなくなったのも |
| テレビ離れの原因の一つだと思うのですが・・・・ |
| 番組を制作する方がプロなら、 |
| 視聴するこちらも、テレビ放送が始まって以来の”見るプロ”なのです。 |
| ”ニセモノ”ばかり作っていては |
| ”見るプロ”は近寄ってきませんよ。 |
| 頼りになる |
| 「オレに任せておけ」と自信満々、胸をたたく者に限って、 |
| いざとなると姿が見えなくなるもんだよ。 |
| 真に頼りになる者とは、 |
| 相手を安心させるような話を容易く述べない者だろう。 |
| そして、いざというときには、だれに頼まれなくても |
| 真っ先に一番前に出る者だ。 |
| 勝負 |
| 恋愛は望むが、失恋して傷つくのがこわい・・・・・ |
| なるほど・・・そうかもしれないが、 |
| 人を好きになるというのは、言ってみれば「勝負」なんだよね。 |
| 一か八か、意を決して自分からぶつかってみないとどうにもならないんだ。 |
| 断られて傷つきたくないから、そんな大げさなことはしたくない・・・・、 |
| そんな若者がふえていると聞く。 |
| 傷つくことは少ないだろうが、まあ、チャンスは遠ざかるだろうね。 |
| 生涯失恋の経験を一度も持たないなんて、 |
| 実にもったいないと思うよ。 |
| 通過点 |
| 人生最高の幸福も最悪の事態も、 |
| つまるところ、ひとつの「通過点」だということです。 |
| そういう自覚を持って生きるか否か、は、 |
| 「今」という時を自分らしくできるかどうかと深い関係があります。 |
| 静かに味わっても、じたばたしながら大騒ぎをしても |
| いずれ通り過ぎる一つの点に変わりはありません。 |
| 平凡 |
| 平凡な人生だった・・・と言いながら、 |
| よく考えてみるとずいぶんいろんなことはあった。 |
| 決していい加減にしてこなかった、それらの一つひとつの出来事が、 |
| 今思えば「平凡な」ものになっているだけ・・・・・ |
| 平凡な人生・・・・・ |
| 手抜きをせず、全力で立ち向かった者だけが |
| 使うことを許される言葉である。 |
| 記憶 |
| 一日に何万と言う脳細胞が死滅しているというのだから、 |
| 記憶力の低下もやむを得ないだろう。 |
| 人の名前が思い出せない、出来事は覚えていてもその場所が出てこない・・・ |
| そんなことは想定内のこと。 |
| 今もわが脳は、消してもよい記憶と残すべき記憶を |
| 懸命に選別していることだろう。 |
| 健全な年寄りになるためには、 |
| 残すべき記憶の選択を誤らないことだね。 |
| バランス |
| 気力>体力・・・・・何かがやれるだろうが過信は禁物だ。。 |
| 気力<体力・・・・もうそんな歳ではない。 |
| 気力=体力・・・・・・いまがチャンスだ。 |
| 大切な人 |
| あなたのことを今でも大切な人だと思ってくれている人がいる。 |
| いま音信はなくとも、きっとどこかにいる。 |
| あなたがだれかのことを |
| そう思っているように・・・・・・・ |
| よわさ |
| おもしろそうだから、ほしくなる。 |
| ほしくなるから、すこしむりをする。 |
| すこしむりをするから、なにかがおかしくなる。 |
| なにかがおかしくなってはじめて、 |
| あんなものにまどわされたじぶんのよわさをしる・・・・・ |
| そうだったときづけば、まだまにあう。 |
| 好意 |
| 好意をもって自分と接してくれた人たち・・・・ |
| 数えれば次々に顔や名前が浮かんでくる。 |
| その人たちの温かい気持ちに支えられたこれまでの人生であった。 |
| 願わくば、 |
| わたしもだれかの、そんな記憶の中にいてほしい。 |
| やり方 |
| 聖人君子ではないから、 |
| 他人の成功はやはり羨ましい。 |
| だが、だからといって自分を卑下することはやめておきなさい。 |
| オレにはオレのやり方がある、と決めたのだから、 |
| もう一度自分の足元をしっかりと見る・・・・・ |
| 君は君のやり方で、りっぱにやってるじゃないか。 |
| それで十分だ。 |
| 見守る |
| 見守る・・・・・ |
| やさしく、温かい、実にいい言葉ではないか。 |
| ただ「見る」のでもなく、ただ「守る」のでもなく、 |
| ”見守る”のだ。 |
| 自分を見守ってくれる人がいると思えば、 |
| どんな困難でも立ち向かえそうな気がする。 |
| 見守られる側から、いずれ見守る側へと人は変わっていくのだが、 |
| それもまた人生・・・・・ |
| 願い |
| しあわせになってください・・・・・ |
| 君もだれか他人の幸福を心から願ったことがあるだろう。 |
| その人は、きっとしあわせに暮らしている。 |
| 雨のように |
| 畑をつくってみると、 |
| 雨のありがたさが本当によくわかる。 |
| そうだね、 |
| 君の存在の大切さは、その雨のように |
| 必要に迫られた人が認めてくれるんだと思うよ。 |
| だから、欲しがられたときにうんと力を出しなさい。 |
| そんなときは必ずくるから、あせらなくても大丈夫! |
| 短所 |
| 人間の短所は、対人関係のなかでその存在が明らかになる。 |
| 無人島に一人で暮らしていれば短所などありえないだろう。 |
| 「あなたの短所は?」と聞かれても、 |
| おそらくすぐには答えられないのは、 |
| それは、短所だと言われるものの多くは、 |
| 他人とのかかわりの中で決まるものだからだ。 |
| 自分で思っている短所とはおそらくちがっていると思うよ。 |
| 親子 |
| この世で最高の親子の関係は、 |
| 「生んでくれてありがとう」と言える子と、 |
| 「生まれて来てくれてありがとう」と言える親の関係だ。 |
| したがって、最高の親孝行は |
| 「生んで育ててくれてありがとう」と親に伝えることだろう。 |
| ふだんは照れくさくて口にできない言葉だが、 |
| 機会を見て、かならず伝えておくことだね。 |
| 季節・夏 |
| 普段は心のどこかに眠っている海の記憶、山の記憶、田舎の記憶が、 |
| 目をさまし、鮮明によみがえってくる季節がやってきた。 |
| 幼いころ、若き青春時代、そこに埋めてきた時間が |
| 今頃になって思いがけず輝き始めることがある。 |
| 苦い思い出もたくさんあったはずなのに、 |
| 不思議に爽やかで、愛おしい記憶だけが顔を出しては来ないか・・・・・・ |
| 夏は遠い日の記憶が芳醇な香りを放つ季節である。 |
| 蝉(せみ) |
| 地上に出てからわずか一週間の命だ、と聞いて |
| あわれだ、はかない、などと思わないことだ。 |
| 彼の一週間は人間の八十年に匹敵するわけだから、 |
| ひたすら伴侶を求めて懸命に鳴き続ける彼の一日の密度は |
| おそらく人間の比ではない。 |
| 彼の声を聞きながら、 |
| お前ほど濃密で、充実した時間をオレはすごしているだろうか、と |
| 自省するのが正しい蝉の鳴き声の聞き方である。 |
| 帰省 |
| この夏も全国で帰省する人が大勢いるだろう。 |
| 故郷や、父母や祖父母の待つ家に向かうのは |
| 暑い中、経費がかかり、移動の時間もかかり、大変である。 |
| しかし、 |
| 帰省する場所があるというのはしあわせなことだと思うべきだ。 |
| そこには自分を待ってくれている人がいる。 |
| 自分がこの世のだれとどんなつながりを持って生きているのか、を |
| あらためて教えてくれる人たちが、間違いなくそこにいる。 |
| 原点 |
| 生命の誕生に立ち会う、人を好きになる、心を許せる友を持つ・・・・・ |
| 人として味わえる”しあわせ”の原点です。 |
| 問題 |
| 先生:「A地点とB地点を往復します。行きは平均時速60キロ、 |
| 帰りは平均時速40キロです。さて往復の平均時速は何キロですか。」・・・・・・ |
| 生徒:「二つの平均だから60+40=100で、100÷2=50になり、 |
| 往復の平均時速は50キロです。」 |
| そう答えると不正解になる。正解は48キロ・・・・・・ |
| 中学生のころ、 |
| 数学のおもしろさを教えてもらった、記念すべき問題である。 |
| 年齢 |
| いわゆる”出世”をした知人や友人はたくさんいる。 |
| より高い「肩書」を持つことに価値を求める生きかたを選んだようだ。 |
| それはそれでいい。 |
| そんなものとは無縁の年齢になってみれば、 |
| みんなただの老人である。 |
| 進歩 |
| 大量生産・大量消費の世の中は、 |
| 「待たない」「待てない」文化をつくりだした。 |
| 欲しいものはすぐ手に入り、したいことはすぐできる・・・・・ |
| それが当たり前で、少しでも待たされるとイライラして |
| 落ち着かなくなる。 |
| ほんの少し前までは待つのが当たり前の世の中だったんだけど・・・・・・ |
| 待たない、待てない文化は、便利と言えば便利だが、 |
| ほんとうに進歩した、と言えるんだろうか。 |
| 消去 |
| 無駄かもしれないが、やってみないとわからないことがある。 |
| やってみると、多くの場合やはり無駄であったということになる。 |
| 成果が得られなかったことを「無駄」と考えると、確かにそう言えるが、 |
| やってみたという事実は、 |
| 決して無駄なことではない。 |
| 多くの選択肢のうちの一つを、まちがいなく消去できたのだから・・・・ |
| 1+1=2 |
| どう転んだって1+1=2なのだが、 |
| 見栄やプライドで何とか3や4に見せかけようとする。 |
| 巷ではそれを「悪あがき」と言う。 |
| 何十年かたって、苦笑いとともに「バカなことをしたもんだ」と当時を思い起こし、 |
| 未熟であったおのれを思い知る材料になる。 |
| 世の中には・・・ |
| 世の中にはいろんな人がいるものだ、とわかるのは |
| いろんな人に囲まれているときではない。 |
| たった一人の目の前の人間が自分とは違う存在だと感じたときだ。 |
| 彼と自分が違うだけなのに、 |
| 世の中にはいろんな人間がいる、と思ってしまう。 |
| 決意 |
| やると決めたのなら、さっさとやってしまいなさい。 |
| ためらっていると、決意が鈍るでしょう。 |
| やると決めたのに結局やれなかったときの後悔は、 |
| 相当重いものだと承知しておくことです。 |
| 言わなくても |
| 必要以上に自分を誇示し、売り込もうとするのはやめておきなさい。 |
| 君がどれほどの人間かは、 |
| 何も言わなくても、もうみんなわかっている。 |
| しかも、 |
| 怖ろしいほどに見抜かれている。 |
| 処世訓 |
| 「なるようにしかならない」という処世訓をぜひお持ちなさい。 |
| その一つを持っていることで、 |
| 生きることがずいぶん楽になりますよ。 |
| 一歩から |
| 怒っても、大声を出しても、天を仰いでため息をついても、 |
| 事態は何一つ変わらない。 |
| 変えたければ、やることはただ一つ、 |
| 変えたい方を向いて、何かを始めることだ。 |
| とにかく一歩を踏み出さなければ |
| 山の頂はいつまでたっても雲の中にある。 |
| 感動 |
| 「感動」という心のふるえが人生を味わい深い存在にしてくれる。 |
| このごろ、心がふるえる「感動」を一つでも持っただろうか。 |
| 感動のない暮らしは、 |
| 何となく生きてはいけるが、胸の踊る実りは期待できない。 |
| 自尊心 |
| 足りないものは素直に借りて、何とか切り抜ければよいではないか。 |
| 君のプライド?・・・ |
| 何を言っている!そんなものはだれも気にしちゃいないし、 |
| なりふり構わず動くのにじゃまになるだけだろう。 |
| 切り抜けたあとの君の額の汗をみれば、 |
| 「よくやった!」と誰もが思うだけだ。 |
| 先行き |
| きっとちがうはずだ、と疑う気持ちは |
| おそらくそうなのだろう、と思う気持ちには勝てない。 |
| 人は先行きの見えない場所に立つと、 |
| 疑いより納得のほうを大事にする。 |
| 自由 |
| どこでどんな暮らしをしていても |
| 人は絶えず何かに追われ、誰かに監視され、何かに束縛されている。 |
| その息苦しさから、自由になりたいと誰もが願うが、 |
| 解放されるのは至難の業だ。 |
| ならば、せめておのれの居場所を少しでも |
| 居心地のよいところにする努力をするしかない。 |
| みんなそうやって”今日”を生きている。 |
| 存在 |
| 兄弟姉妹の存在はつぎの三つにわけられる。 |
| ライバルか、戦友か、同居人か・・・・ |
| そのいずれであるかによって、 |
| 人生の組み立てが変わってくる。 |
| うわさ |
| 自分の耳に入らないだけで、 |
| ずいぶんいろんな人たちが私やあなたのうわさをしていることだろう。 |
| うわさとは、つまるところ「人物評価」である。 |
| どうか意地の悪い人だとか、厄介な人だという |
| 評価でないことを祈ろう。 |
| こころをこめて |
| 杉みき子さんの童話「わらぐつの中の神様」に、 |
| ”こころをこめてつくったものには神様がいる”という話がある。 |
| こころをこめてつくる・・・・・・ |
| 実にいい言葉だ。 |
| たとえば、手書きのラブレターと携帯のメール・・・・・ |
| 二人の仲立ちをしてくれるはずの”神様”も |
| メールにはきっと腰が引けている。 |
| 選ぶ |
| 長い坂の下につえがまとめておいてある。 |
| 汚すことには何の抵抗もないのに、 |
| 汚れたつえと新品のつえが目の前にあれば |
| だれもみな、新品のつえを選ぶ。 |
| 何ゆえ? |
| 悪口 |
| 悪口を言う者は、聞く者に暗に同調を求めている。 |
| ”おまえを信用しているからこんな話をするんだぞ”という匂いがするし、 |
| 味方になれ、という勝手な押し付けにも聞こえて、 |
| はなはだ不愉快である。 |
| 悪口を言いたくないのも、聞きたくないのも |
| ただ一つ、その理由による。 |
| 憂い |
| 笑顔だけで人は惹かれるのではない。 |
| 憂いの表情・・・・ |
| 憂いの表情には、人の心を揺さぶる秘めた力がある。 |
| もしも忘れられない人がいるなら、 |
| きっとどこかでその人の憂いの表情を見てしまった・・・・・ |
| 記憶が離れていかないのは、それが原因だろう。 |
| 末裔 |
| 自分が”狩猟民族”の末裔か、 |
| それとも”農耕民族”の末裔なのか、を知る方法がある。 |
| 血の滴るレア(浅焼き)の肉を平気で食べられるか否か・・・・ |
| これは案外的確な判定法だと思うのだが・・・・・ |
| 今話題の「レバ刺」を食べたいという人たちは |
| 紛れもなく、”狩猟民族”の末裔であろう。 |
| よろこび |
| 喜び、悦び、歓び、慶び・・・・・ |
| ちがいがわかれば、経験を積んだ |
| 立派な大人です。 |
| 逃げ道 |
| 逃げ道をつくることに巧みな人間は、 |
| 大ケガはしないかわりに、 |
| 本気で作っても、逃げ道しか作れない。 |
| 掟 |
| みんなが必死に痛い目に合うことを共有しようとしているときに、 |
| ”オレはいやだ”と背を向ける・・・・ |
| もう二度とだれも近寄ってこなくなる。 |
| 教養 |
| すべて”押しつけられる”ものには |
| 押しつけようとする者の勝手な価値観や美意識がある。 |
| 始末が悪いことに、 |
| 本人はまったくそのことに気づいていない。 |
| 教養がある、ということの証しの一つは、 |
| 押しつけられて迷惑をする人が見えているかどうか、である。 |
| 一点 |
| かつてあれほど輝いていたものが |
| その輝きを失いかけたときにどう状況を打開するか・・・・ |
| 再度磨いてみるか、経年の宿命だと割り切るか、 |
| それとも役に立たないと捨てるか・・・・・ |
| 男女の関係の行方は、恋人同士であれ夫婦であれ、 |
| この一点で勝負が決まる。 |
| あやまち |
| 愚かな過ちを懲りもせず繰り返す・・・・ |
| どうやらそれが人間の本質のようだ。 |
| 少しは進歩したと言えるなら |
| 同じ過ちは繰り返さなくなってきたことくらい。 |
| それができているなら、上等ではないか。 |
| そのことがわかる年齢になった気がする。 |
| ボロ隠し |
| 立派すぎてはいけない。 |
| 完璧すぎてもいけない。 |
| だれが見ても非の打ちどころのない人間なんて、 |
| おもしろくない。 |
| あちこちに”ボロ”があって、 |
| それを懸命に隠しながら生きている人間がおもしろい。 |
| 隠していてもときどき”ボロ”が顔を出すから |
| おもしろい。 |
| 不遇 |
| 芸術家は不遇の時期に真の名作を生み出すという。 |
| 悩みや苦しみ、嘆きや悔しさを”バネ”にしているからだろう。 |
| 不遇はつらいが、決して意味のないことではないということ・・・・ |
| 足腰が鍛えられ、人間として大切なものが研ぎ澄まされるのは |
| 多くの場合、そんな時だ。 |
| 人間は飽食から鋭いものは生み出せない。 |
| 支え |
| 一つの思い出を心の支えにして生きていく・・・・・ |
| あるんだなぁ・・・そんなことも。 |
| 折れそうになる心をちゃんと支えてくれる思い出もある・・・・・ |
| たいせつにしなくちゃ・・・・ |
| 思い出をつくるために生きているわけじゃないんだが、 |
| そうやって思い出が勝手に |
| 倒れそうになる自分を助けてくれることもあるんだよ。 |
| この世には |
| おもしろいのは |
| ウソだとわかっていても不快に感じないことがある、ということ。 |
| かなしいのは、 |
| ほんとうだとわかっているのに、ウソに思えるときがある、ということ。 |
| どちら |
| 仕方なしにそうやって生きているのか、 |
| それとも、自らの意志でそこに立っているのか・・・ |
| つべこべ言う前に、 |
| そのことをはっきりさせなさい。 |
| 話はそれからだ。 |
| 予感 |
| 失うかもしれないものの大きさに躊躇して、 |
| あと一歩が踏み出せなかった経験のある人の多くは、 |
| そのことをどれだけ真剣に反省しても、 |
| きっとまた同じことをする・・・・・ |
| そんな予感はしないか。 |
| いろいろ |
| まあ、人間だもの、いろいろあるさ。 |
| もちろん、僕にだって心配や悩み事は人並みにあるよ。 |
| だれかと分かち合えればいいのだろうが、 |
| こればかりはほとんど無理だろうね。 |
| 何とかしようとがんばっていれば、 |
| そのうち、きっといいこともあるさ。 |
| みんなそうやって生きているんだと思うよ。 |
| 悪口 |
| ずるい人間は、 |
| 意気込んで始めたはずなのに、思ったようにいかなくなると |
| 決まって誰かの悪口を言いだす。 |
| 人間、だれかの悪口を言い始めるとおしまいなんだよなぁ・・・・ |
| 二度とチャンスはやってこないと思うよ。 |
| 何かが |
| 昔日をふりかえっていて、ふと思うことがある。 |
| あのとき、自分を突き動かしたものは何であったのか・・・ |
| 思い当たることもあれば、まったくわからないこともある。 |
| 何かがそうさせた、のは間違いないのだが、 |
| その”何か”は、今も自分の中に眠っていて、 |
| 次の出番をまっているような気がしてならない。 |
| 正体は不明だが、なぜかいとおしい。 |
| 診断 |
| 一度味を覚えてしまうと、それが忘れられなくて |
| 次も同じものを求めたくなる。 |
| 医学的には「依存症」・・・・・ |
| 文学的には「未練」・・・・ |
| 言い方はちがっても、なかなか断ち切ることは難しい。 |
| だから、 |
| 人生はややこしく、複雑になるが |
| お陰で面白くもなる。 |
| 一人 |
| 孤軍奮闘した経験などない者が、 |
| 「一人でも立ち向かえ!」と勇ましく語る。 |
| 一人で闘う厳しさや寂しさを一度でも味わった者は、 |
| むやみにそれを人に勧めたりはしない。 |
| 寂 |
| 頑丈だと思われる人間の心にも穴があくことがあるんだね。 |
| 大切なものがその穴からポロポロこぼれていく・・・・・ |
| 止めようと思うんだがどうしようもない・・・・・・ |
| さびしいというのは、 |
| きっとそんな状態を言うんだなあ・・・・ |
| 男 |
| 女性はどうなのか、わからないが |
| 女に惚れた男は、その時には |
| 彼女が70や80歳になった姿など決して想像しない。 |
| その歳になってはじめて、こんなおばあちゃんになるのか、と知る・・・・ |
| よくできている、と思う。 |
| 言葉 |
| 説明責任・・・・ |
| 最近よく耳にする言葉だ。 |
| 説明責任を果たしていない、と言われるときは |
| 多くの場合、それ以上説明をすると「ボロ」が出るときである。 |
| 問う方、問われる方の双方、それが十分わかっていて、使う言葉である。 |
| 若い |
| お若いですね・・・ |
| この言葉、女性には”天使のささやき”であるらしいが、 |
| そう言われて喜ぶ男は少ない。 |
| 若いと言われることは、 |
| お前はまだまだ半人前だと言われているに等しいと感じるからで、 |
| 若造、ひよっこ、と同意語になる。 |
| 男は |
| 「若い」と言われて素直に喜べない、厄介な生き物である。 |
| 会話 |
| 女はいくつになっても女でいたい・・・・ |
| 某化粧品メーカーのCMを聞いたある夫婦の会話。 |
| 夫「女はいくつになっても”女”じゃないか。」 |
| 妻「そりゃそうだけど、”女”がちがうのよ。」 |
| 夫「どう違うんだい?」 |
| 妻「男のあなたにはわからないでしょうね。」 |
| さっぱりわかりません。 |
| 句読点 |
| 一話完結・・・・・ |
| 何事もそれがいい。 |
| 下手に続きを作って期待を持たせようなどともくろむと、 |
| ロクなことにはならない。 |
| 一事の終わりには読点「、」ではなく、 |
| 句点「。」を記せ。 |
| 小心者 |
| 小心者と言われたって? |
| 言いたいやつには言わせておけ。 |
| この世に小心者ではない人間は |
| 大勢の人を平気でだます悪人か、悟りを開いた達人くらいのものだ。 |
| みんな小さな不安でいつもビクビクしながら生きているもんだよ。 |
| みんな小心者だから、 |
| 「勇気」という言葉がこの世にあって、 |
| 大切な意味が込められている。 |
| 物色 |
| 男であろうと女であろうと、好きになる、惚れるということは |
| 相手の全部を好きになるということだ。 |
| あそこはいいけど、あそこはいや、などと選んだりはしないもの・・・・ |
| もしそんな気持ちが少しでもあるなら、 |
| 好きになろうとしているのではなく、 |
| ただ”物色”しているだけだ。 |
| いい人 |
| フーテンの寅さん・・・・・ |
| この男の恋はいつも相手の”マドンナ”のこの一言、 |
| 「寅さんて、いい人ね・・・・」で終わる。 |
| 女にとっては好意を表わす言葉でも、 |
| 男にとってこんなに残酷な言葉はない。 |
| 寅さんの中に、かつての自分を重ねて見ている男は多い。 |
| 未練 |
| 振り返ったとき、 |
| 後悔や未練がなく、順風満帆、何にもひっかからない人生など |
| 退屈でつまらないだろう。 |
| 後悔や未練は、速く流れすぎる自分の人生を |
| ゆっくりにしてくれる防波堤のようなものだったということに |
| いずれ気がつくときがくる。 |
| 好んで手に入れるものではないが、 |
| あとになって振り返れば、それも自分の人生の |
| 貴重な一部であった・・・・・ |
| 待つ |
| このために生きてきたんだ、と思えることに |
| いずれ出会えるでしょう。 |
| もう少し待ってみてごらんなさい。 |
| 葛藤 |
| 今迷いながらも「こうしてみようか」と煮詰まりつつある方向・・・・ |
| それでいいのではないですか。 |
| 思いつきやひらめきで見つけた方向ではなく、 |
| そこに至るまで、あなたの真摯な葛藤があったのですから。 |
| 仮にうまくいかなかったとしても、 |
| 葛藤した記憶はあなたを裏切りません。 |
| 思い切ってやってみてもいいと思うのですが・・・・・ |
| 足跡 |
| 人生は砂浜に残した自分の足跡のようなもの・・・・・ |
| どんなに深く、大きく踏みつけようと |
| 自分がいなくなれば、やがて波がきれいに消し去る。 |
| かつてそこを歩いた人がいたという記憶だけは |
| 波の上を吹きわたる風が伝えてくれるだろう。 |
| 肩の力をぬいて生きようじゃないか。 |
| 秘訣 |
| 繊細に思慮し、大胆に行動する・・・・ |
| 之、大事を成す秘訣。 |
| 大胆に思慮し、繊細に行動する・・・・・ |
| 之、秘め事を成す秘訣。 |
| 心得たし。 |
| 心配 |
| あれほど心配したことも、終わってみれば |
| ただの”こと”でしたね。 |
| でも、こんなことなら心配しただけ損だった、と思わないことです。 |
| 心配し、悩んだ分だけ、 |
| ”こと”が軽く済んだはずですから。 |
| 対峙 |
| 「待ったなし」でやってくるものがある。 |
| そんな相手には、こちらも「待ったしない」の覚悟で対峙するしかないだろう。 |
| 「待ったなし」だとわかっていて、 |
| このごろ、「待った」を連発しようとしてはいないか。 |
| どんな理由をつけようと、むだである。 |
| 舞台 |
| どんな名優でも、脇役でも、 |
| 役者は仕事が終われば否応なく舞台を降りねばならない。 |
| 舞台を降りる・・・・・・ |
| どう理解したらよいかわからない、”人生の終焉”は |
| きっとそういうものなんだろう。 |
| 私たちが演じてきた”ドラマ”もやがて終わり、 |
| 舞台には、次の役者たちが出番を待って並んでいる。 |
| 成熟 |
| 人には気高さと醜さが同居している。 |
| そんなバカな、と思うなら、 |
| 君はまだ未熟だ。 |
| 成長はできても”成熟”するのは、もう少し先だろう。 |
| 方程式 |
| 中途半端はいやだから、何でも完璧にこなそうとする。 |
| 他人の倍、疲れる。 |
| それで完璧にできればよいが、そうはいかない。 |
| あせって、イライラし、落ち着かない。 |
| 自分はだめだ、と自己嫌悪に陥り、落ち込む。 |
| この連鎖を飽きもせず、繰り返す・・・・ |
| 長生きできない。 |
| 生き方 |
| 人には人それぞれいろんな生き方がある、ということが |
| ほんとうにわかるのは |
| 自分の生き方に迷いが消えたときだろう。 |
| 自分はこうやって生きると腹が据わったら、 |
| 不思議と他人の生き方が見えてくる。 |
| 甘える |
| 子どもは受け入れてもらえるとわかっているから甘える。 |
| 甘えを許さない人だと見れば、甘えることはしない。 |
| 子どもは動物的直感でそれが察知できるが |
| 大人になるとなぜかできなくなる。 |
| だから、甘える相手をまちがえて |
| ひどい目にあう。 |
| 痛み |
| 別れはどうしてつらいのか・・・・ |
| もっといっしょにいたいという思いを断ち切られる痛みがあるからでしょう。 |
| どんなに痛くても耐えねばならないものであると |
| 学んでいくのも人間です。 |
| 食事 |
| 食堂やレストランで食べた食事がおいしくないと思っても、 |
| 決して店の中でその話をしてはいけないね。 |
| するなら店を出てからにしなさい。 |
| 店で働く人がもしそんな会話を耳にしたら、 |
| きっと耐えられないと思うよ。 |
| その人たちの責任じゃないんだもの。 |
| 金を払ったとはいえ、 |
| 文句を言わずに食べ終わることは、食事を提供してくれた人たちへの、 |
| 最低限の礼儀だと思うよ。 |
| 残すもの |
| 子や孫たちに何を残してやるか・・・・・ |
| 金や財産などは論外、 |
| 残してやるものはただ一つ |
| ”楽しかった思い出” |
| 命 |
| 花が咲いた。 |
| 命あることを全身で喜んでいる。 |
| 命あることを花のように喜ぶ人間は |
| 少ない。 |
| ハードル |
| 人にはそれぞれに |
| 前に進むためにどうしても飛び越えなければならない”ハードル”があるもんだ。 |
| 長い時間をかけて飛び越え方を考え続けることもあるだろうよ。 |
| このハードル、他人の力を借りることはできないんだ。 |
| どんなに苦しくても、つらくても自分の力だけで挑むもの・・・・・ |
| しかし、 |
| そうやって飛び越えたときの喜びもまた自分のものになるんだが、 |
| 人生を生きる喜びとは、 |
| この達成感なんじゃないかな。 |
| 線 |
| 一歩踏み越せばいいのだとわかっていても |
| 越えられない一つの”線”の前で立ち尽くしている君へ・・・・・ |
| 他人が引いた線なら、なかなか越えられないが、 |
| もしも自分で引いた線なら |
| きっと越えられる。 |
| 変わる |
| 10代や20代・・・変わることを望んで動き回る。 |
| 30代や40代・・・変わることが怖くなり、守りを固める。 |
| 50代・・・変わることが面倒くさくなる。 |
| 60代・・・変わらなくてもいいと思うようになる。 |
| 変わるということ・・・・・・ |
| どうだろう、思い当たらないだろうか。 |
| 還 |
| 何かにつまづき、心も体もヘトヘトに疲れた時に |
| 人は自分のほんとうに帰るべき場所が見えてくる。 |
| やさしい人 |
| 「やさしい人がいい」・・・ |
| 生涯の伴侶や恋人を求める者は口をそろえてそう言う。 |
| そう言う君たちに、 |
| 相手がやさしい人間かどうかを見極める眼力や感性はあるだろうか。 |
| わたしにはどうも自信がない。 |
| だから |
| 「あの人はやさしい人だ」とは |
| めったに口にしない。 |
| 道 |
| あの暗闇のなかで自分を導いてくれた |
| 一つの灯りの温かさを忘れない人は、 |
| きっと幸せになれる。 |
| やり直し |
| 人生、もう一度やり直せたらいいと思うが、 |
| この年までもう一回、あらゆることを最初から組み立て直すのかと考えると、 |
| 少しおっくうになる。 |
| 一回限りがちょうどいいのかも知れない。 |
| 無駄 |
| 無駄なこと? |
| そうかもしれないな。 |
| だが、やってみるとこれがおもしろいんだ。 |
| やってておもしろい、楽しいと感じるものは |
| おそらく他の者から見れば無駄なことなんだろうが、 |
| 知ったこっちゃない。 |
| 無駄を捨てて効率をあげることばかり考えてると |
| おまえさん、ちっともおもしろくない人間になっちまうよ。 |
| 関係 |
| 人間関係で安易に |
| 「捨てる」だの「切る」などという言葉を使う人を信用しない。 |
| 「つながる」ということがどんなことかを、ほんとうにわかっている人か、 |
| そんな言葉を使う前は本当に「つながって」いたのか・・・・・ |
| それがはっきりするまで |
| どんなに”いい人”に見えても信用しないことにしている。 |
| 男と女 |
| 男は身勝手だ、と女は言う。 |
| 女は嫉妬深い、と男は思う。 |
| 身勝手にふるまうのが男、 |
| 守るために用心深くなるのが女・・・・・・ |
| そんな身勝手な推理をするのは、 |
| たいてい、男である。 |
| つなぐ |
| 何かと何かをつなぐ・・・ |
| たとえそれがどんなに小さな行為でも、「つなぐ」という営みは |
| この世に生を受けたすべての人に与えられた”使命”でしょう。 |
| 自分がつないだものはしっかり見えていますか。 |
| 問 |
| ”情熱”は生きているか。 |
| 鎧 |
| 鎧(よろい)の役目は身に付けているときにわかるが、 |
| 鎧の重さは |
| 脱いだ時にはじめてわかる。 |
| 要 |
| やっぱりそうでしたか・・・・ |
| つらい状況だと察しはつきますが、 |
| 「はい」と「いいえ」を間違えないで使ってきたのですから、 |
| いずれどこかで起こることだったのです |
| 元気を出してください。 |
| 何があっても |
| その決意を貫き通すことです。 |
| そんなあなたらしい輝きがわたしは好きです。 |
| 子ども心 |
| 学校の給食費を滞納する親がいるという。 |
| 事情があるにせよ、まったくあきれる話だと誰もが言う。 |
| そんな誰もがあきれる親を持つ子どもが、 |
| 日々どんな気持ちで給食を食べているのか、想像できるだろうか。 |
| 無邪気に食べているように見えても、 |
| 後ろめたい思いはどんな小さな子ども心にもある。 |
| たとえ世間やマスコミが何と言おうと、 |
| 子どもに向き合う先生だけは、笑顔の奥にある切なさが見えていてほしい。 |
| 立場上 |
| 本心とはちがって立場上仕方なく言っているんだ・・・・・ |
| そんな釈明を聞くことがある。 |
| しかし、立場上仕方なく言い続けているうちに |
| やがてそれが本心になるんだなぁ・・・・ |
| 同年代 |
| 何だか自分だけが年をとっているような気分になることがあるだろう。 |
| 同年代の友人や知人といつも接していればいいが、 |
| 人と交わる機会が減るにつれて、その思いは強くなるようだね。 |
| だが、心配いらない。 |
| 同じように年をとっている仲間は大勢いるもんだ。 |
| 遠い昔の初恋の人だって、 |
| もうりっぱなおじいちゃん、おばあちゃんだろう。 |
| 期間限定 |
| 理想的な人にめぐり会えるなら最高だが、 |
| そもそも人間に「理想」など抱くから、間違いの元になる。 |
| 自分の望むような完璧な人間などいるはずがないではないか。 |
| いいところもあればダメなところもある、それが人間だ。 |
| そんな無理なことをしなくても |
| 出会った瞬間に「理想の人」と思わせるしかけを |
| 若者に限って神さまはちゃんと用意してくれている。 |
| 期間限定の、このサービスを大いに活用することだ。 |
| 一つ |
| たくさんあるものの中からたった一つを選ばなければならない・・・ |
| そんな場面は人生、いたるところにあるだろう。 |
| 一つしか選べないがゆえに |
| 切り捨てたり、あきらめたりしたものに未練は残る。 |
| あきらめきれないからと、未練をもう一度拾ったりすると |
| エラいことになる。 |
| 言葉 |
| 「このまえのアレ、どうなった?」 |
| 新入社員が一番ストレスを感じる上司の言葉だそうです。 |
| ”アレ”の中身が思い出せない、だが聞くわけにもいかない・・・・・ |
| 部下を持つ上司のみなさん、 |
| ”アレ”はやめてきちんと内容を伝えたほうが |
| お互いのためになりそうです。 |
| 解く |
| 試しに高校の数学の問題を解いてみればわかります。 |
| かつて解いていた記憶はあるものの、 |
| チンプンカンプン、今ではもうまったくお手上げです。 |
| それでいいのでしょう。そのかわり、 |
| 家族を養い、生計を立てるという、 |
| 高校生には決して解けない、人生の難問をいくつも解いてきたのですから・・・・ |
| 話 |
| あれほど待ち望んだものをやっと手に入れたというのに、 |
| いざ手に入ると、みんな我先にわがままを言いだす・・・・ |
| 足の引っ張り合い、悪口の言い合い、責任のなすり合い、 |
| みっともなくて、情けなくて、とても見てはいられない。 |
| おそらく”次”はもうないであろう。 |
| どこかの国の政権党の話である。 |
| 恋愛 |
| 恋の話など、男女の数だけあるもので、 |
| 別に珍しくもありません。 |
| それなのに、恋愛が小説や映画のテーマになるのはなぜか・・・・ |
| 答えは一つ、 |
| ひそかに自分と重ねてみることが許されるからです。 |
| いい時間 |
| 「あなたらしい、いい時間を持ってください。」・・・・ |
| 現役を退くときに、ある人からそう言われた。 |
| 自分らしい、いい時間を持つ・・・・・ |
| 迷いに沈みそうになったとき、 |
| いつもその言葉を思い出している。 |
| だれかのためや、何かのための時間ではなく、 |
| 自分自身のための時間を”いい時間”にする努力を忘れまい。 |
| 敗北 |
| 潔く敗北を認めるのも力量のうちだよ。 |
| 負けたのに「負けてはいない。まだまだ」と空意地を張ると |
| いっしょになって立ち向かってくれる仲間はいなくなる。 |
| 敗北を認めるのはつらいが、 |
| その原因をもとに捲土重来を期せば |
| いずれ敗北も美酒のつまみになる。 |
| 原像 |
| いくら年をとっても |
| 人間の本質なんて、そう変わるもんじゃないんだなあ。 |
| 二十歳のころと今とで何か変わったと言えるかい? |
| 経験や失敗をしたので、少し賢くはなっただろうが |
| 自分という人間の「原像」はちっとも変っていない。 |
| 今の自分の喜怒哀楽の場面を思い出してみるといいだろう。 |
| どんなものごとに心が動くのか・・・・ |
| あのころと同じでちっとも変っていないと思わないかい? |
| 特技 |
| 何の特技も才能もないと思うなら、 |
| 残された武器は”誠実さ”ですね。 |
| どんな些細なことにも、まじめに誠意をもって臨んでいれば、 |
| いつかそれが他人から見れば立派な”特技”となります。 |
| そんな人がほしい、そんな人を捜しているという人も |
| きっといると思いますよ。 |
| 一瞬 |
| 人生、割に合わないことばかりだが、 |
| ほんの一瞬、報われる時間が訪れる。 |
| 頑張っていれば、またそんな時がくるだろう、と思えるから |
| また割の合わないことに立ち向かえる・・・・ |
| 親孝行 |
| 親孝行について深く考え始めるのは |
| 人生も”たそがれ時”にさしかかったころ・・・・・ |
| まだ間に合うなら、 |
| できるかぎり自分の顔を見せてやることだ。 |
| 手土産や高価な贈り物など必要ない。 |
| ただ顔を見せるだけでいい。 |
| それが叶わなくなったときに、まちがいなく |
| そのことだけが悔やまれるのだから。 |
| 苦楽 |
| 若いころは、 |
| 苦楽を共にする人間など鬱陶しくてかなわない。 |
| 一人で気ままに生きることがこの上なく素晴らしく思える。 |
| だが、年をとってくると、 |
| 苦楽を共にできる人間がかけがえのないものに思えてくる。 |
| 問題は、 |
| 苦楽を共にできる人間は、若いころに見つけておかないと |
| 年を重ねるたびに自分のまわりからいなくなるということ・・・・・・ |
| 自信 |
| 「オレだからできたんだ!」・・・・・ |
| そうだ、あれは君だからやれたことだ。 |
| 君にしかできないことを君はやった。 |
| 他人がどう言おうと知ったこっちゃない。 |
| それでいいではないか。 |
| 花 |
| どんな花たちも、 |
| 人間に見てもらうためには咲いていない。 |
| 人間に愛でてもらうために色や形を競ってはいない。 |
| たとえ植えたのも、水をやったのも人間だとしても |
| 彼らの崇高な生きざまをほんの少し、 |
| 見せてもらっているだけだ。 |
| 会話 |
| 子ども:「先生、速く走るにはどうすればいいんですか」 |
| 先生:「そうだね、右足を出したら誰よりも速くすぐに左足を出すんだ」 |
| 子ども:「そうか。やってみます!」 |
| 自信を持たせるとは、そういうことである。 |
| 相手 |
| この野郎!と思う相手に、 |
| あなたが腹を立てるのはもったいない。 |
| 「おまえさんはそうやって生きて行きなさい」と |
| 心の中で一言・・・・ |
| それでいい。 |
| 恩と借り |
| 「恩がある」と「借りがある」・・・・ |
| 似てはいるけど、違うんだな。 |
| だから当然「恩を返す」と「借りを返す」も違う。 |
| 何が違うのかって? |
| 返せばそれで終わりになるかどうかってことだろう。 |
| 恩人に恩返しをするのは、関係を終わらせたいからではなく、 |
| これからも続けたいからだ。 |
| 人 |
| 一番たいせつな人は、 |
| いつも一番うしろにひっそりと立っている。 |
| 祖父母 |
| どんな無理難題でも、何とか応えてくれる存在・・・・・ |
| 子どもにとって、無条件で甘えられるのが「祖父母」である。 |
| 祖父母はそうでなくてはいけない。 |
| おじいちゃん、おばあちゃんと呼ばれるようになって初めて |
| 親の愛情とは根本的にちがう、もう一つの愛情の通り道があることを知る。 |
| 甘えてくれない孫を持つ祖父母には |
| 残念だが何かが欠けている。 |
| 先生 |
| ”先生”とは、 |
| 先に生まれた者をさす言葉ではない。 |
| 先に「生きて見せる」者のことを言う。 |
| 若き教師たちよ、教師をめざす若者たちよ、 |
| 先に生きて見せるだけのおのれの人生を創れ。 |
| 時代 |
| 恵まれた少年時代ではなかったと言う君へ |
| もしも君の言う”恵まれた”少年時代を送っていたら |
| 今の君はここにいなかった。 |
| ものごとの価値を決める見方や考え方のほとんどは |
| 君の言う”恵まれなかった”環境のなかで作られたものだ。 |
| いま君は立派にそれらを使って生きてるじゃないか。 |
| 祖父 |
| 祖父はうなぎ捕りの名人であった。 |
| 細い竹の先にこうもり傘の骨を取り付け、 |
| 尖端にミミズをつけた針をひっかけて、石の隙間に差し込んでいく。 |
| うなぎがいれば一気に糸が穴の中に引き込まれ、力任せに引っ張り出す。 |
| 私の仕事は祖父の後をついて回り、捕れたうなぎをかごに入れることであった。 |
| 祖父とどんな会話をしたか、もう覚えていないが、 |
| その鮮やかな技に幼心にも尊敬の念を抱いたものだった。 |
| 無口な祖父だったが、孫にとっての祖父はかくあるべし・・・ |
| そのことだけは確かに教えてもらった気がする。 |
| 子ども |
| 子どものころ、ほかの子どもたちより10年分の苦労をしたら、 |
| その10年は生涯取り返せない。 |
| いくつになっても常に10歳余分に年をとってしまう。 |
| 子どもを健やかに育てろというのは、 |
| 他ならぬその理由による。 |
| 桜 |
| 実にみごとな桜だね。 |
| 花じゃないよ。 |
| 花を咲かせ、花を支えている幹や枝のことだ。 |
| 彼らが厳しい冬を耐えて乗り越えたから |
| 花もその枝を借りて咲くことができたんだ。 |
| 桜がきれいなのは、花の手がらじゃないんだな。 |
| せっかく花見をするんなら |
| 幹や枝も愛でてやろう。 |
| 少年の日 |
| 小学校時代、悪ガキ仲間と掃除をサボって校舎の横の小川で |
| ドジョウを捕ったり、カニをつかまえたり・・・・ |
| たいてい、その日の帰りの会でだれかが報告し、先生から大目玉となる。 |
| あれから50年以上も経っているのに、 |
| その時の光景がありありと思い出される。 |
| 少年の日、勉強、勉強と追いまくられる時代でなくてよかった・・・ |
| いま本当に心からそう思う。 |
| 旅 |
| 若い日、アルバイトで得た金を握って一人、旅に出ました。 |
| 夜行列車に揺られて着いたのは山陰地方・・・・ |
| この先オレの人生はどうなるんだろう、 |
| そんな漠然とした不安を抱えた私を出迎えてくれたのは、 |
| 見渡す限りの茫洋とした日本海と山陰の秀峰大山でした。 |
| 名も知らない海岸の岸壁に座ってぼんやり海を見ながらあんパンをかじり、 |
| 登るつもりなどなかった大山に登り、 |
| その頂から見る景色に胸をうたれました。 |
| あれから40数年・・・ |
| あのときの”旅”の続きをずっとしてきたような気がします。 |
| 一句 |
| さびしいとき、さびしさの中に埋まってしまうのが凡人です。 |
| おのれのさびしさを客観的にとらえることは容易ではありません。 |
| さびしいとき、わたしはいつもこの句を思い出すことにしています。 |
| いただいて 足りて一人の箸をおく 山頭火 |
| 青春 |
| 今ではだれも読まなくなった小説かも知れない。 |
| 伊藤左千夫の「野菊の墓」・・・・・・ |
| 15歳の少年の、年上の女性への淡い恋心を描いたもので、 |
| 高校生のころ、大きくこころを揺さぶられた作品だった。 |
| ”純愛”と呼ばれた男女の姿が映画や小説に多く取り上げられたころだ。 |
| 今の若い人たちには笑われるかもしれないが、 |
| おじさんたちにも、そんなものにあこがれた青春があった・・・・ |
| 残像 |
| どんなに長い人生だと思っても、閃光を発して輝くのはほんの一瞬だ。 |
| ずっと輝いていたいのは山々だが、 |
| そんなことになれば、おそらくすぐに燃え尽きてしまうだろう。 |
| だから、輝くのは一瞬でいいのだ。 |
| その”残像”で残りの時間は生きていける。 |
| 同じ |
| みんな同じはずなのに、自分だけがなぜかみすぼらしく思える? |
| なぁに、相手もきっと同じことを考えていますよ。 |
| 別れ |
| 人事異動の時期ですね。 |
| 見送ってくれる人のほとんどは別れを惜しんでくれるでしょう。 |
| いい仕事やつきあいができたのですね。 |
| 「やれやれ、これでスッキリした。」と内心思う人が |
| いないことを祈ります。 |
| 過ち |
| これまでの人生で最も愚かだったと思う過ちを |
| 一つ挙げてごらんなさい。 |
| その過ちの原因の中に、 |
| 最も自分らしい、性格や気質があるとは思いませんか。 |
| 自分を見つめるのなら、 |
| いつもそのことを思い出すことです。 |
| 退職 |
| この春で退職を迎えた人も多いだろう。 |
| 長い間ご苦労さまでした。 |
| ”退職”とは、字のごとく職を退くだけではない。 |
| あすから何の肩書も持たない、市井の一普通人になるのだという、 |
| 覚悟を決めることでもある。 |
| 「お仕事は?」と聞かれたら躊躇なく |
| 「無職です」と答える覚悟である。 |
| 球 |
| 互いにカドのある、尖った二人が夫婦となり、ぶつかり合い、もみ合い、 |
| 次第に丸くなり、やがて一つの”球”になる。 |
| 子どもができるとその球はもっと大きくなる。 |
| 少し厄介なのは、どこへ転がっていくかわからないことだが、 |
| どこへ転がっていこうといつも一つの球であることは変わらない。 |
| 家庭を持ち、人生を生きるとは、 |
| 出来るだけ真ん丸な球をつくり、それを大きくしていく営みだ。 |
| 誤算 |
| 春めいたある日の朝、 |
| 部屋の窓ガラスに小さな虫が一匹とまっていた。 |
| 外は懲りずに降り続く雪・・・・・ |
| 出てくる時をまちがえたその虫は、 |
| どうすればいいのか、戸惑っているように思えた。 |
| 「君たちにも誤算があるんだね」・・・・ |
| そっと窓を開けて外に出してやった。 |
| 明日はいい天気だから、何とか今日を生き延びなさい。 |
| 力比べ |
| 冬と春が力比べをしている、という現象を |
| 日々目の当たりにしている。 |
| 「これでどうだ」と言わんばかりに降り続く雪も |
| 一旦止めば日光と春の陽気が「お返しだ」とばかり融かしていく。 |
| 見ていてこれはなかなかおもしろい。 |
| 天空の力比べを |
| 人間はだまって観戦するしかないところがいい。 |
| 生 |
| これを見るために生きてきた気がする・・・・・ |
| そんなものにもうめぐり会えただろうか。 |
| 教訓 |
| 人生、よくわからないことばかりですが、 |
| ただ一つ、少しわかってきたことがあるとすれば、 |
| いいことも悪いこともいつか自分の前を通りすぎていくということでしょうか。 |
| 少し長く居座ってしまうこともたまにありますが、 |
| そのうち必ず動いていきます。 |
| 何かの役に立つなら覚えておいてください。 |
| 経験から |
| おもしろいものはやがて哀しくなる。 |
| 転換点 |
| 遠い昔のあの日の、あのことが自分の”運命”を決めた・・・・・ |
| そう思える出来事がある。 |
| 喜ばしいこと、悲しいことのいずれであろうと |
| あの日の、あのことが間違いなく”転換点(ターニングポイント)”であった。 |
| 人はだれも、その一点を |
| 感動、後悔、未練のいずれかの思いで思い出す。 |
| 謎 |
| 深く知ろうとすればするほどわからなくなるもの・・・・ |
| 男にとっての女、女にとっての男。 |
| 表面の理解はできても、本質は決して相手に悟られないように |
| 男も女も創られているので、 |
| わかったつもりでも、それは「つもり」に過ぎない。 |
| どんなに頑張っても謎が解けないから互いに惹かれる。 |
| 本能 |
| 我々”男族”には、太古の昔から叩き込まれた遺伝子がある。 |
| 「闘争心」である。 |
| 自分や家族、大切なものを守るために闘うことが求められ、 |
| それに合った骨格や筋肉や気質が与えられた。 |
| 近頃、”草食系男子”などと、たわけたことを言う者もいるようだが、 |
| たとえ草を食っていても、闘う意志と力は消えたりしない。 |
| 流行りものにうつつを抜かすのもいいが、 |
| ”牙”だけは磨いておけ。 |
| 人間 |
| 人間は |
| 牧場で牛を見て、「かわいいね」と言った帰り道で、 |
| ステーキを「おいしい」と言いながら食べる生き物である。 |
| 色 |
| 人生のスタートラインに立った時、 |
| みんな等しく12色の絵の具をもらったと考えてごらんなさい。 |
| どの色とどの色を混ぜて、どんな色を創り出すか、 |
| それが”わたし”の仕事です。 |
| 同じ色を使っても、隣の人とは違う色ができるでしょう。 |
| 最後まで使わない色だってあるかもしれません。 |
| でもそれも”わたし”の選択です。 |
| 最期にいい絵が描けていればそれでいいじゃありませんか。 |
| 受け入れる |
| 年とともに受け入れなくてはならないことが増えてくる。 |
| 身の回りの環境、人間関係、体調の変化・・・・ |
| 若いころは受け入れるものを選ぶこともできたが、 |
| この年になるともう否応はなくなる。 |
| しかし、不思議なことに、 |
| 受け入れることに思ったほど抵抗感はないものだ。 |
| まあ、しかたがないか・・・ |
| これで大抵のことは丸くおさまるからおもしろい。 |
| 支流 |
| 本流を流れるのは若い君たちです。 |
| そこに注ぎ込む支流の流れを支えていくのは私たちです。 |
| 社会の表舞台で活躍することはもうないでしょうし、 |
| 時代を動かす流行を発信する力もありません。 |
| でも、君たちのじゃまはしないつもりなので |
| 支流のことは心配しないで |
| どうかしっかり本流を流れてください。 |
| 消さないで |
| ふと脳裏に浮かぶ景色や人や場面があるとすれば、 |
| それは「忘れないでくれ!」という主張です。 |
| 消してほしくないんですね。 |
| 過去に生きた自分がそう言っているんです。 |
| 自己主張 |
| 「いい人だ」と思われたいなら、 |
| 自己主張をしないことです。 |
| 「できる人だ」と思われたいなら、 |
| できるだけ自己主張をすることです。 |
| 答え |
| こんな私にだれがした? |
| あなたでしょう。 |
| 傲慢 |
| 傲慢に陥る恐さは、当の本人にはわからないもの。 |
| 傲慢になって身を滅ぼした人物など、歴史を見れば数えきれない。 |
| 以前は謙虚であった人間がなぜ傲慢になるのか・・・・ |
| 簡単である。 |
| 自分に対する「過信」が思い上がりを呼び、やがて他を見下すことになるのだ。 |
| 多くの場合、本来持つべきでないものを手にしたときに |
| 恐ろしい”過信”が生ずる。 |
| 適齢期 |
| 何事においても「適齢期」というものはあるようです。 |
| そのことに一番適した年齢・・・・ |
| その年齢が適しているという根拠を示されれば確かに納得です。 |
| もちろん50代や60代がちょうど適齢期だというものもあるはずです。 |
| 今が最適な時期だというものは一つくらい |
| 見つかっているでしょうか。 |
| 確定申告 |
| 係りの人が見せてくれた書類には |
| 自分も見たことがない、年間の収入の詳細が記されていた。 |
| 給付する仕事には手抜かりがあるようだが、 |
| 徴収する”お上”の仕事には昔から手抜かりはない。 |
| まったくみごとなものである。 |
| 孫へ |
| 生まれるまでずいぶん心配したが、やっと会えたね。 |
| 誕生、おめでとう。 |
| 母さんはおまえを守るために50日もの入院に耐え、 |
| 父さんや兄は、そんな母さんを懸命に支えてくれた。 |
| そんな話はやがて笑い話になるのだろうが、 |
| 苦しいときやつらいときに思い出せば、 |
| きっとお前の強い味方になってくれるはずだ。 |
| 望まれて、愛されてお前は生まれてきたのだよ。 |
| そのことだけは決して忘れないでほしい。 |
| さあ、おまえの人生の始まりだ。 |
| 元気よく、笑って歩いていきなさい。 |
| 感動 |
| 「感動」が人生を味わい深い存在にしてくれる。 |
| このごろ、心がふるえる「感動」を一つでも持っただろうか。 |
| 感動のない暮らしは、 |
| 何となく生きてはいけるが、胸のおどる充実感は期待できないだろう。 |
| できれば日々感動に出会える暮らしでありたい。 |
| 選択 |
| いいじゃありませんか、だれが何と言っても |
| あなたはそういうように考え、行動する人なのですから・・・・・ |
| 僕はあなたらしい選択だと思いますよ。 |
| つべこべ言う人には言わしておけばどうですか。 |
| 片想い |
| この世で一番純粋な恋愛は「片想い」です。 |
| 叶わぬ恋であるがゆえ、色あせることもなく、 |
| 年を経るごとに美しさが純化されていきます。 |
| 実際に成就した恋愛の何千倍もの隠れた想いが |
| いまもこの世を飛び交っています。 |
| 組織 |
| 個々人は善人でも、 |
| 彼らの集合体である”組織”というものは |
| 時に彼が善人であることを許さない。 |
| ”組織”とはそういうものである。 |
| 自然 |
| 自然が美しいのは |
| 無駄がないからです。 |
| ホンモノ |
| 水など身の回りのどこにでもあるものなのに、 |
| 旅先できれいな清流や山里の湧水を見ると癒されますね。 |
| それは、 |
| それが”ほんとうの水”の姿だからでしょう。 |
| ふだん目にすることのない、水のほんとうの姿をみた感動が |
| きっと癒してくれているのです。 |
| 何でも”ホンモノ”はいいものです。 |
| 勝負 |
| ずいぶん長く走ってきた車ですから、最新の車と |
| 出足のよさを競っても無駄でしょう。 |
| 馬力の強さやスピードや燃費を競うことも無意味です。 |
| 勝負ができるとしたら |
| 安定走行でしょうか。 |
| それなら何とか勝負になりそうです。 |
| 美しい |
| 若い女性はみんな”きれい”である。 |
| はつらつとした輝きがそう思わせるのだろう。 |
| ただ、きれいではあるが、”美しい”と思う人はまれ・・・・・ |
| 長年人生を生き、その生きざまを磨いたころの女性には |
| ”美しい”と感じる人が多くなる。 |
| 起動 |
| 出発、旅立ち、スタート、決断・・・・・ |
| 言い方はちがっても、 |
| 行動を起こすという意味であることに変わりはありません。 |
| 準備が整ったなら、そろそろ起動の時ではないですか。 |
| 準備がまだ整わないなら、 |
| 起動の日を夢見て、急ぐことですね。 |
| 極意 |
| 居合道の極意は「刀を抜かずに相手を制する」ことだという。 |
| 圧倒的な存在感と”気”で、相手に「勝てない」と思わせることなのだそうだ。 |
| 修練と修行を身につけたその道の達人の前に立つと |
| 身がすくんでしまうという経験は確かにある。 |
| そんな実力のない者が、やたらと刀を抜いて振り回し、 |
| おのれを誇示したがるという。 |
| 向き合ったときにはすでに勝負はついているということを覚えておこう。 |
| 親切 |
| テレビの紀行番組で地方の田舎を訪ねたリポーターが口を揃えて言う。 |
| ・・・・・親切な、いい人たちばかりでした・・・・・ |
| 旅人に親切にするのは、人がいいからもあるだろうが、 |
| 自分たちのすんでいるここはいいところだよ、と |
| 知ってほしいからだと思う。 |
| そんな気持ちがたしかにあると、山里に住んでみてわかる。 |
| 残す |
| 残したものによって、 |
| その人間の値打ちが決まることがあるんだよ。 |
| だから |
| 「これが私のやったことだ」と言えるものを残しなさい。 |
| そのために今日も頑張るんだ、と自分に言い聞かせなさい。 |
| 見切り発車 |
| ”見切り発車”とは、 |
| 結論をみる前に動きだすこと・・・・・ |
| 毎朝、われわれは今日という一日を |
| 見切り発車で始めている。 |
| 予定通りになかなかいかないのは |
| 多分それが理由であろう。 |
| 慣れる |
| 慣れないと無駄が多すぎる。 |
| 慣れすぎると無駄はないが、進歩や進展がなくなる。 |
| 慣れることは大切だが、慣れすぎてはいけない。 |
| 慣れすぎないためには、 |
| 慣れなかったころの失敗を忘れないこと、 |
| それしかない。 |
| 相棒 |
| 自分の趣味を考えてみればうなづけるだろう。 |
| 始めたころは、とにかくおもしろい。 |
| 技術やわざがどんどん身についていくことが実感できて、 |
| やり始めてよかった!と多くの人が思う。 |
| だが、しばらくやっていると”進歩”がはたと止まってしまう時期がくる。 |
| もっと”高み”が見えてくる時期だ。 |
| 見えてはくるが、自分の力量が及ばないことに気づかされる時期でもある。 |
| 趣味の多くはこのあたりで熱がさめてくる。 |
| この時期を何とか乗り切れたものだけが |
| 生涯自分のそばを離れない「相棒」となる。 |
| 筋 |
| ぼくのこれまでの人生に、 |
| 一本「筋」は通っていただろうか。 |
| 変節することなく、貫き通したものはあっただろうか。 |
| そんなものを持ちたいと願って挑んだ人生ではなかったが、 |
| このごろ、それが気になり始めている。 |
| あなたはどうだろうか。 |
| 普通 |
| 未練が断ち切れなく、後悔が次々にやってきて |
| 弱気になり、ひどく落ち込む・・・・・ |
| そんな経験はだれにもあるもので、 |
| そんなものとは無縁の、達観した人間なんて、めったにいるものではありません。 |
| 悩みの中でおぼれそうになりながら、 |
| 何とか明日はいいことがあるようにと願うのが |
| 弱弱しくても普通の人間だと思いますよ。 |
| あこがれ |
| 月がどんなにあこがれても、太陽にはなれないが、 |
| 太陽の光を全身に浴びることはできる。 |
| 「あこがれの人」というのはそんなようなもので、 |
| 手は届かないが、感じることはできる人のこと。 |
| 簡単に手が届けば”あこがれる”こともない。 |
| 一瞬 |
| 地球や星の一生からみれば、 |
| ぼくやあなたの人生なんて、ほんの”一瞬”のできごとなんです。 |
| そう思えば、少し楽になりませんか。 |
| 自慢 |
| おじさんたちが自慢できることはただ一つ、 |
| 表に見える、豪華さ、華やかさ、目を引く装飾や甘言、 |
| 立派に見える言動には必ず「裏」があり、 |
| うかつに信じてはならないという信念です。 |
| そんなものにいやというほど騙されてきた世代ですから・・・・・ |
| 頼りになる |
| 「あの人がいてくれれば大丈夫!」と思われる人は、 |
| 単に問題解決能力があるというだけではない。 |
| 周囲の者に的確な指示をわかりやすく出してくれ、 |
| 誰もが心配する、「これからどうなるか」を示してくれる人だ。 |
| まわりがみんなうろたえていても、決して取り乱さず、 |
| 冷静な判断ができる人でもある。 |
| 肩書や地位とは無関係であることは言うまでもない。 |
| 頼りになるそんな人は必ず近くにいる。 |
| 大切 |
| 他人を思いやる気持ちは、 |
| 自分を大切にする日常を持っているから生まれる。 |
| ”やさしい”という言葉があてはまる人は、 |
| いつも自分と正直に向き合っている人である。 |
| 決断 |
| 北へ飛び立つ鳥は、 |
| 一度飛び上ったら、もう後ろを振りかえらない。 |
| 飛ぶ自信がないからと、元の水辺に舞い戻る鳥もいない。 |
| 何千キロを無事に飛んでいけるだろうか、などと心配もしないのだろう。 |
| ”決断”の、みごとな姿である。 |
| 強い |
| 自分にはとてもできないと思えることをやっている人を見ると |
| 「強い人だ」と感じてしまう。 |
| だが、ほんとうは「強い」のではなく、 |
| 今にも折れてしまいそうな「弱さ」と必死に闘っているだけなのかもしれない。 |
| おしゃれ |
| 若いころのおしゃれは、自分を目立たせるためにするが、 |
| 年をとってからのおしゃれは、 |
| 自分を目立たせなくするためのものになる。 |
| 土 |
| ふだんそんなことは考えたこともないでしょうが、 |
| 土が見えるというのは本当にすばらしい恵みなんです。 |
| 雪の中でまったく土を見ない暮らしを3か月も続けていると、 |
| 心からそう思います。 |
| 学んだこと |
| 田舎暮らしで学んだことですか? |
| そうですね・・・・ |
| 何でも自分でやってみる、ということでしょうか。 |
| 以前ならお金を出して買っていたものや、 |
| 業者さんに頼んでやってもらった修理や修繕を |
| 見よう見まねでもいいから自分でできるだけやってみるんです。 |
| うまくいかないこともありますが、 |
| たいてい何とかなるもんです。 |
| できあがったものを見ていると |
| 見栄えはよくなくても、結構うれしいもんですよ。 |
| 便利 |
| ”便利になる”というのは、 |
| その分だけ人間が動かなくなるということです。 |
| 動かなくなるということは、 |
| 人間の持っている機能のどこかが”退化”していくということです。 |
| もし仮にこの世から「携帯電話」がなくなれば、 |
| 人間はもっと勤勉になるかもしれません。 |
| 利子 |
| 仕事一筋もいいが、 |
| 若いうちに、興味のわいたことは何でもいいからやっておきなさい。 |
| やっていて「おもしろい」と感じる心をうんと育てておきなさい。 |
| 年とともに一旦は離れても、 |
| そのうち、また出会う機会が必ずやってくる。 |
| 若いころに”貯金”しておいた「利子」が返ってくるのだ。 |
| 年を重ねてくると、 |
| その「利子」だけでずいぶん楽しく過ごせるものだよ。 |
| 仙人 |
| 真っ当な年寄りになるためには |
| ”仙人”を目指すことだと思っています。 |
| カスミを主食とし、空を飛び、地にもぐり、 |
| 鳥や獣とたわむれ、草花のなかに眠り、 |
| 真贋を見抜く目を持ち、飄々として競わず、争わず、比べず・・・・・・ |
| 夢のような話ではありません。 |
| その気になればどこにいても |
| そのための”修行”はできると思っています。 |
| 時代 |
| ぼくたちが子どものころ、 |
| 今と比べればたしかに貧しい時代でした。 |
| 信じられないでしょうが、 |
| 子どもたちのズボンのひざや上着のひじはいつも継ぎはぎ、 |
| ズックと呼ばれた黒い布製の靴はつま先に穴があくまで履いていました。 |
| それでも、だれ一人恥ずかしいなんて思わなかったし、 |
| それでいじめられたり、仲間外れになることもない時代でした。 |
| 鉛筆も短くなるとキャップをつけて、2,3センチになるまで使いました。 |
| 消しゴムはパチンコ玉くらいまでは大事に使ったものです。 |
| そんな、今では信じられないような子ども時代を経験したことが、 |
| ぼくたち世代の人格形成に影響を与えていないはずがありません。 |
| うまく説明はできませんが、 |
| 何だか妙にいとおしい記憶です。 |
| スピード |
| 目の前を流れていく時代のスピードに乗り遅れまいと |
| 懸命にがんばってきました。 |
| 乗り遅れることは何となくこわいことだったので、 |
| なりふり構わず走り続けたんです。 |
| そんな若い日はもう遠い昔・・・・・ |
| この年になると、本流のスピードにはもうついていけません。 |
| ”時代おくれ”という、ちょっぴり不名誉な切符を持って、 |
| 近くを走る鈍行でのんびり走ることにしました。 |
| 心配はいりません。 |
| たくさんの仲間がいますから・・・・・ |
| 執着 |
| 大切にしてきたものほど、手元を離れていく。 |
| いつまでもそばにいたいと思う人ほど、遠くへ行ってしまう。 |
| 永遠に続くものなどこの世にはない・・・と何度聞かされても |
| いつまでも大切にしたいもの、そばにいたいと思う人は消えない。 |
| そんな”執着”が |
| どんなに未練がましく、みっともなくても |
| 人間の味である。 |
| 答え |
| 50年後には日本の人口が8000万人台になるんだそうです。 |
| 「昔日本には1億3000万人もいたんだよ」という話を |
| 子どもたちはきっと学校で教わるのでしょうね。 |
| 「どうして減っちゃったの?」と聞く子どもたちに |
| 先生はなんと答えるのでしょうか。 |
| 我々が汗水流して築いてきた繁栄が |
| 失敗であったという話にならなければいいのですが・・・・・ |
| 環境 |
| 笑いながら育った子どもと、笑えずに育った子どもが大人になる。 |
| どんな大人になるか・・・・・ |
| たいていのことは本人の努力で決まるが、 |
| ただ一つ |
| 笑っている人たちの輪に自然に入っていけるかどうか、だけは |
| 幼いころの環境が決定的に左右する。 |
| 空いた席 |
| 満員電車の長椅子に一つだけ空いた席があるとしよう。 |
| そこに座るかどうか、迷うことがある。 |
| 早く座らないと誰かが座るので、両横の人を押しのけて図々しく割り込むか、 |
| それとも、みっともないから座るのをあきらめるか・・・・ |
| うまく説明はできないが、そのどちらを選ぶかは、 |
| その人の最も基本的な資質とかかわっている。 |
| 似たような状況が身の回りにあれば、 |
| きっと同じようにするだろう。 |
| 脅威 |
| 自然の脅威といえば、 |
| 地震でも台風でも大雨でも、たいてい騒がしいものだ。 |
| ただ一つ、音もなく迫ってくる脅威がある。 |
| ”雪”・・・・・・・ |
| 2メートルを越す積雪は静かに物音ひとつ立てずに |
| 人々の暮らしを包囲する。 |
| 放っておけば、家を倒壊させ、道路を寸断させ、人が暮らすことを拒絶する。 |
| そんな無言の圧力こそ、 |
| ”雪”の脅威・・・・・・ |
| 雪国の山里に住んでみてわかったことである。 |
| 悩み |
| なったことがないから確かではないが、 |
| 大金持ちになっても、それなりの悩みはきっとあるのだろうね。 |
| お金があるがゆえの悩み・・・・ |
| 幸せそうに見える他人にも |
| きっと悩みはあるんだ。 |
| 成功 |
| どうすればうまくいって成功するか、はわかりません。 |
| しかし、 |
| どうすればダメになるか、ならよくわかります。 |
| 愚痴をこぼす、だれかのせいにする、あきらめる・・・・ |
| たいていこの順序で |
| 成功への道は消えていきます。 |
| やれること |
| あきらめるのが役に立つのは、 |
| やれると思うことをすべてやった後です。 |
| まだやれそうなことがあるのにあきらめると、 |
| ”後悔”という難敵に長く悩まされます。 |
| 昔から言うではありませんか。 |
| ・・・・人事を尽くして天命を待つ・・・・ |
| やれることはまだ残っていませんか。 |
| 闘う |
| 「闘う」と言うと威勢がよく、勇ましいが、 |
| 闘うことはひどく疲れることである。 |
| ヘトヘトになり、折れそうになることである。 |
| それでも「ここで折れたらおしまいだ」と自分にムチ打って踏ん張ることだ。 |
| 勇ましくラッパを吹くだけなら、子どもにだってできる。 |
| 明日 |
| 思い出してみるとよい。 |
| 明日が来ると思うから安心して眠りについていることを・・・・・ |
| 明日は来ないと覚悟を決めたことなど一度もないということを・・・・・・ |
| そんな覚悟などしなくても、今日まで |
| 何とか生きてこれたではないか。 |
| まだまだ 大丈夫だ。何とかなる。 |
| 器(うつわ) |
| 若い日には決してわからなかったことや |
| 理解しようとも思わなかったことが、 |
| このごろになって、よくわかるようになっていることに気づかないか。 |
| なぜそうなったのか、などと考える必要はない。 |
| 要するに、器が少し大きくなったのだ。 |
| それまで小さい器でもりこぼれていたものが |
| 拾えるようになったということだね。 |
| 明日 |
| 恨まない、こぼさない、嘆かない・・・・ |
| そうだよ、明日は明日だ。、今日ではないんだから、 |
| きっと少しちがった風が吹く。 |
| 同志 |
| 互いに”同志”だと言えば君はどんな顔をするのだろう。 |
| 「お前なんか知らないぞ」と言われるかもしれないな。 |
| だが、 |
| 同じ時代を生き、同じものを見、同じものを聞き、似たものを食べ、 |
| 同じように時間を費やしてきたわけだから |
| 生きた場所や大切にしてきたものは違っても、 |
| 私は”同志”だったと思っている。 |
| 同じころに生まれ、そしてまた同じころに消えていく・・・・ |
| そう考えれば、わかってもらえるだろうか。 |
| 君は間違いなく時代の”同志”であった。 |
| 踏み台 |
| 反抗期・・・・ |
| すべての親が、我が子がより高みに上がるために |
| 踏み台になってやる時期のことだ。 |
| 踏まれた”踏み台”は、傷つき、泥まみれになるだろう。 |
| それでも |
| 踏み台を必要としない子を育ててはならない。 |
| 背中が汚れるから踏み台はごめんだという親になってはならない。 |
| 記念日 |
| いつだっただろう、 |
| 我慢することを覚え、耐えることを覚えたのは・・・・・ |
| いつだっただろう。 |
| 別れる切なさを覚えたのは・・・・・ |
| 幼い日にあったであろう、その出来事をもう思い出せない。 |
| うれしいこと、楽しいことばかりが続くと信じていた”子ども”から |
| おとなの世界が見え始めた記念日だったはずなのに・・・・・・ |
| いい具合 |
| いい具合に生きていると、 |
| まわりにあるものがみんな優しく見えてくるという。 |
| 生涯をそのように生きられればよいが、なかなかそうもいかない。 |
| だが、 |
| まわりのものがやさしく感じられるときは確かにある。 |
| その瞬間は |
| まちがいなく「いい具合に生きている」時なのだ。 |
| 波長 |
| どうしても好きになれない、いやな奴はいるものだ。 |
| 自分とは生きる”波長”がちがうとしか思えない。 |
| 波長が違えば交信はできないのが道理だから、いいではないか。 |
| そのうち”波長”が合ってきたら |
| また付き合えばいいだろう。 |
| 合わない波長で無理をすることはない。 |
| 友 |
| 君とはもう長いつきあいだが、 |
| 僕のことを忘れないでいてくれるという、その一点で、 |
| ほんとうに心からありがたいと思っている。 |
| 利害損得でつながっている人間が多い世の中で、 |
| そんなものとは無縁でいられる関係なんてめったにあるもんじゃない。 |
| 面と向かったら恥ずかしくて口にできないが、 |
| 星の数ほどいる地上の人間の中で、「友は誰だ?」と聞かれたら |
| 君の名前を間違えずに言えることに僕は感謝している。 |
| 都会 |
| 山里で生まれ、育った子どもや青年たちが |
| 都会に出てみたいと思う気持ちが、同じ山里に住んでみるとよく理解できる。 |
| 豊かな自然、厚い人情、おいしい食材、のんびりした時間はたしかにあるが、 |
| 夜のネオンや雑踏、流行のファッション、豊富な飲食店やショッピング店、 |
| 生活を安定させる収入、欲しいものがすぐに手に入る便利さなどは望めない。 |
| そんな華やかな世界をテレビやインターネットでこれでもかと見せられれば |
| あこがれるなというのは酷な話だろう。 |
| あこがれる若者たちが悪いのではない。 |
| 都会の一見華やかな暮らしやその情報が、、 |
| 地方や山漁村や山里から若者たちを誘い出しているのだということを |
| 忘れてはならないということだ。 |
| だれかが |
| 信じられないような大きな喜びはもうやってこないかもしれない。 |
| そのかわり、頭をかかえこむような大きな悩みも近寄ってこなくなる。 |
| そんなもので右往左往したり、惑わされたりすることなく、 |
| たとえ小さくても”ホンモノ”だけを追い求めさない・・・・・ |
| 最近、だれかが耳の奥でそう言っています。 |
| 証し |
| 「いい上司に恵まれて幸せだった」と思うなら、 |
| きっと何か大切なものを教えてもらったのでしょう。 |
| 次は、自分がそんな上司や先輩になることですね。 |
| 学んだことの証しはただ一つ、何かが変わることです。 |
| 恩返しの方法はそれしかありません。 |
| 携帯 |
| 持っていればそれなりに使えるのだろうが |
| 今流行の「スマートフォン」なる携帯端末にはどうも腰が引ける。 |
| ゲームにはまる歳でもなく、頻繁にメールを送るわけでもなし・・・・ |
| ”普通の”携帯電話機で十分なのだ。 |
| 時代の波に乗り遅れますよ、と若い人に言われるが、 |
| なるほど、こうやって年配者が最先端の技術から遠ざかっていくのか、と |
| 技術革新に乗り遅れる道筋を身をもって学んでいる。 |
| 二人旅 |
| 振り返るとずいぶんバカなことをやってきました。 |
| 今思えば赤面の至りです。 |
| 人生、もう一度やり直せるなら二度とあんなことはしない・・・・ |
| そう思える苦い思い出の数々を道連れにして |
| もうしばらく続く自分との”二人旅”です。 |
| 幸せ |
| 今を幸せに暮らしている者たちは、 |
| 自分たちが幸せだということはなかなか気づかない。 |
| 満たされているので、ことさら意識をしないからだ。 |
| ”幸せ”は相対的なもので、 |
| 何かと比較しないと感じられない感覚かも知れない。 |
| 今が幸せだというなら |
| それは以前の何かと比較してはいないだろうか。 |
| ケンカをしようにも相手のいない人から見れば |
| ケンカをしている夫婦も幸せに見える。 |
| みんな |
| 「みんながしているから」とか「みんなが持っているから」というときに、 |
| 「みんなとはだれのことだ。名前を言ってみろ」と聞かれると |
| おそらくだれの名前も挙げられない。 |
| 姿や名前の見えない「みんな」に踊らされるな。 |
| 人生いろいろ |
| 長い人生だからいろいろなことがあるさ。 |
| いろいろなことはあったが、 |
| 今、それらを一まとめにして「いろいろ」と言えるなら、 |
| まずまずの人生であったと思うことだね。 |
| それらを一つひとつ何とか懸命に乗り越えてきたから、 |
| 今「いろいろあった」と言えるのだろう。 |
| 達人 |
| ある離島の船着き場に大きな水槽があって、 |
| 中には鯛やアジなどが泳いでいた。 |
| 夏には海水浴客でにぎわう島、多くの客が水槽の魚たちを見るのだろう。 |
| 水槽の前に一枚の紙が貼ってあった。 |
| ・・・・「おいしそう」と言わないでください。魚たちがおびえます。・・・・ |
| 渡船の関係者だろうか、発想の豊かさ、着眼の妙を教えてもらった。 |
| 顔は見えないが”達人”にひそかに拍手! |
| 目的 |
| 「元気を出せ」と言われて元気は出るものではない。 |
| 目的・・・・・・ |
| ”何のために”という目的があれば |
| だまっていても「よし!」という元気は出るものだ。 |
| やりがい、働きがい、生きがい・・・・・ |
| すべて「がい(甲斐)」と呼ばれるものの正体は「目的」である。 |
| 出会い |
| いっしょにいたのは、ほんの短い時間だったけど、 |
| 別れがつらかった人がいませんか。 |
| また会えるかどうかはわかりませんが、 |
| 思い出せば胸の奥が”ツン”と痛くなる人なのでしょう。 |
| いい出会いをしましたね。 |
| そうです。とてもいい出会いだったのです。 |
| 記念日 |
| それがどんな日であれ、”記念日”は大切だ。 |
| だれもあまり口にしないのだが、 |
| 君は自分の「独立記念日」を覚えているだろうか。 |
| 独立記念日・・・・・ |
| その日があったから、今日があると言える日だ。 |
| 君にもきっとあった。 |
| 輝く |
| 人の生涯には、 |
| 何度か、ひときわ明るく輝く時期があるもんだ。 |
| 君にも思いあたることがあるだろう。 |
| たとえ断片的でも、輝いていたという記憶があるから |
| 人は生きていけるのかもしれないね。 |
| ”輝いた”という事実にはそれだけの力があるんだな。 |
| 強く |
| 強い人間になりたいだって? |
| それなら、うんと”恥をかく”ことだね。 |
| 情けなくて、恥ずかしくて、穴があったら入りたい気持ちを |
| いやになるほど何度も何度も味わうことだよ。 |
| あこがれ |
| あこがれる・・・・ |
| いい言葉ですね。 |
| 夢見る…というと何だか頼りない気がしますが、 |
| ”あこがれる”には現実感があります。 |
| ささやかな”あこがれ”だったものがその後、大きく成長して |
| 自分の人生に彩りをそえてくれた、ということはきっとあるでしょう。 |
| 何かやだれかにあこがれなくては、 |
| 仕事も恋も趣味も始まりませんよ。 |
| 大人 |
| ・・・・幼い子どもたちが最初に向き合う”大人”があなたたちです。 |
| その子がどんな”大人像”をもって将来を生きていくのか、 |
| それを左右する大きな責任があなたたちの肩にかかっている。 |
| どうか、彼らのあこがれや目標となる”大人”になってやってください・・・・・ |
| かつて新任の若い先生たちにそう諭した校長がいた。 |
| いい話であった。 |
| トップ |
| 同じスタートラインに立って出発しても |
| トップになるのはただ一人・・・・ |
| トップを求めなければ何でもないことですが、 |
| その”ただ一人”になろうとすると |
| 狭き門どころの騒ぎではありません。 |
| そんな途方もない役割は |
| だれかに任せておきませんか。 |
| 余韻 |
| 幸せとは、”余韻”を楽しむことです。 |
| 決断して、行動して、何とか手に入れた安寧が放つ”余韻”を |
| ゆっくり味わうことです。 |
| 苦労や努力をしないで感じる幸せには、 |
| 残念ながら”余韻”はありません。 |
| ・・・・山頂まで登山電車できた客は |
| 登山家と同じ太陽を見ることはできない。・・・・ アラン |
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