枯れる




枯れる



生きるべきすべての役目を終えて

静かに 声も立てず 抗いもせず枯れてゆく草

枯れる・・・・・・・・・

すべての終焉を示すこの言葉が

悲壮感を伴って我々に響かないのはなぜか

だれかと競うわけでもなく

他を押し退けて 一人日の目を見ようとするわけでもなく

ただ あるがまま

自分の仕事を成し終えたことだけを誇りに

逍遥として 冬の日溜まりの中で 息絶えようとしている

潔い 真っ直ぐな意志が そこに見えるのです

 

過ち



冷静に考えてみよう

怒りという衝動は 

自らの欠点ゆえに増幅され 相手に伝えられる

自分が犯したくないと思っている過ちを

容赦なくつきつけてくる相手には

わけもなく腹が立つ

人は 自分の欠点には寛大だが

同じものを他人が持つことは 

許さないものらしい


 

ここにいること




うさぎもイワシも スズメも草や木も

地球に住む生き物たちのすべてが

自分が「自分」であることを喜んでいる

人間も他の生き物も

それぞれに違いがあるから みんないい

ほかの誰でもない「自分」が ほかのどこでもない「ここ」に

今 いる

そのことがいい

 

 

わがまま



何千何百の名言よりも

心に落ちる 平凡な一言がある

幾多の友人がいても

会ってみたい 見ず知らずの他人がいる

行き先の見えない道に迷い込んだとき

人は ほんの少しわがままになるものらしい



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